25/25
25.自信 sideカナタ
「小さい頃の記憶は?」
ヒカルちゃんは恐る恐る尋ねてきた。
「無いわ。いや、実際には有るんだけど、モザイクがかかってて何も分からないの。母親と父親の顔も声も覚えていないなんてとんだ親不孝ものだよね……。」
思わず嗤いがこぼれる。
「でもね、ある人に言われたの。『それなら、時分の好きな性格を演じればいい。』ってね!だから、私は演じ続けるの、この性格を。」
自信満々に言いきる私にヒカルちゃんは驚いたような顔をしていた。
(そりゃあ驚くよね。私も初めて聞いたときは驚いた。本当の自分を見せることが親友!とか美徳にされる中で、あの人は真逆のことを言ったのだから……。)
『自分のありのままの性格でいることが美徳?そんなの糞食らえ。いいじゃん、偽物でも。あなたがそのキャラが好きなら!あなたが好きなことをすればいい。そのために本当の自分が枷になることはない!』
この私を救ってくれたあの人のセリフは思い出さない日がなかった。思い出す度に心が温かくなるから。
(先輩、ごめんね。セリフ借りるわ。)
「ありのままの自分でいることに価値は無い!だから、別に大丈夫だよ!」




