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ハッピーエンド執行人  作者: いちごみるく
第二章 血にまみれた赤ずきん
23/25

23.失ったもの sideカナタ

天涯孤独になってしまった私は施設に入った。私と同じ様な境遇の子たちが集まって暮らす狭い家。

父と母を失った傷は大きかった。お母さんにいつか褒められた歌を口ずさんだ。

貧しかったから……。お金持ちじゃなかったから、不幸になった。

「絶対に金持ちと結婚してやる……。貧乏だと幸せになれない。」

小さいながらの決断は大きかった。

可愛い作り笑いと面白い作り話。

噓で塗り固めまくった自分はたちまちクラスの人気者になった。歌がうまかったのも少なからず影響した。

カメレオンのように変わる自分。

「有栖さんっておしゃべりだよね。」

良いことだと思うわ―――担任の先生はそう言った。

先生も見分けられなかった。全部が噓だと。

まあ、もう自分でもわからなくなっていた。

「カナタさんって近寄りがたいよね……。」

頑張って勉強して入った大学のサークル仲間はそう言った。

有名大学の特待生。成績優秀、スポーツ万能。礼儀正しい自分は近寄りがたい存在だった。

彼女らは知らなかった。全て小さい頃の決断による演じられたものだと。

「カナタって天然だよなぁ。」

お金持ちの婚約者はそう言った。

当たり前だ、お前と結婚出来る様に演じたキャラなのだから……。

結婚式前日、偽りの自分に微笑む彼を見て何故だかむなしく感じた。

裸足で彼の部屋から逃げ出した。あんなに金持ちになりたかったというのに、どうしても考えてしまったのだ。

今まで失った物たちを。


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