1.不思議な世界
甘い匂いがした、どこかで嗅いだことのあるような――――――
目線を感じて、目を開くと……。
「き……きゃぁあああ。」
目の前にいたのは、小さな羽の生えた……妖精?
向こうも私の悲鳴にびっくりして、目にもとまらぬ速さでどこかに行ってしまった。
「ここは……。」
私は花が沢山咲いている花畑のような所にいるようだ。
(あれ……ここ何処?確か……紫色のマーブルの猫にあって……それで……。)
混乱する頭で必死でここは何処か考えるが、全く分からない。暫く考えていると、1つの可能性に辿り着く。
(ここは……あの世?)
いるはずのない妖精……みたいなものがいるのだ。あの世でもおかしくない。
そう考えて、最初に出てきた感情は「嬉しい」だった。
(これで……やっと、あいつらから解放された……。)
嬉しくて、嬉しくて、花畑を駆け回る。疲れ果てるまで……笑いながら……。
そんな私を妖精たちは木の後ろから怪しそうに覗いている。
(まあ、不審な人に見えるでしょうね……今の私は……。)
そして、くるくるしていると目の端で何かを捉えた。大きな……キノコ?
近寄ると、扉も、窓もある。家だ!なんかファンタジーみたいだ。
(だれが住んでいるのだろう?)
コンコン
扉が開いて、目にしたのは赤みがかった茶髪の女性だった。