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14.危機一髪?
その肉の塊は血に汚れた服の破片が付いていることからかろうじて人間だと分かるというものである。
(これが……こいつが、赤ずきんちゃんの狼……。)
狼がしゃべっていることに関してはそういうものだとツッコミを放棄する……
カナタさんは「うっ。」と口と鼻を手で覆う。
確かに見ていて気持ちの良いものではない。吐き気をもよおすものだ。
「気のせいか。」
狼はひとしきりキョロキョロしていたが、運良く少し前に隠れた私たちを見つけることが出来ず去っていった。
「……行った。出てもいいよ。」
カリナさんがそう言うまで足がすくんで動けなかった。
(意外と危ない仕事ね。一歩間違えればあの肉の塊の仲間入りしてたかもしれない。2人ともいつもこんな危険なことを……?)
「危なかった……。ありがと、カリナ。」
「どういたしまして。でも……あれが例の狼君かな?」
「だろうね。」
再び2人は歩き始めたので後から付いていった。大きな不安を抱えながら……。