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プロローグ
「どうしよう……。」
思わずヒカルは呟いた。
丁度、さっき家出というやつをやってしまったのだ……。
(つい……つい怒りに身を任せて、家を出てしまった……。まあ、妹の顔を殴らなかっただけましか……。でも、家にもどらないと……学校に明日行けない……そもそも生きていけない……。)
帰ろうと心に決め、家の方向に足を向けるが、切り刻まれた教科書や制服が頭をよぎる。
(ああ、帰りたくない……。)
足を180°逆に向けて、歩き出す。
(ああ、本当にどうしよう……。)
補導されないように路地裏を歩いていると
ニャン
猫の鳴き声がした。
足元に視線を落とすとそこには紫のマーブルという不思議な色をした猫がいる。
「お前も、帰れないの?」
しゃがみ込んで、猫を抱きかかえる。
その猫は腕から飛び出すとまるで「ついて来い」とでも言うかのように振り向いて短く鳴いた。
その瞬間、体が重くなった。まるで薬でもかがされたかのように、自然と意識を手放した。