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バーチャルとは

チャット…


携帯画面での会話。


五郎が登録していたサイトにはいくつかの話題別にチャット部屋が分かれていた。


その部屋部屋に集まる種族が在るように思えるほど、会話の内容や部落的な発言をする者も中には居たような気がする。


ネットで活字遊びをしている人なら、荒らしなどの存在を知っているだろう。


女子に嫌がらせをしたり、誰彼構わず不快にさせる発言をする輩だ。


そういう輩が入室して来ると、無視などして対応するのが常套手段なのだが…

五郎は違った。



『俺が守らなきゃ』



正義感なんかじゃない。

やっと見つけた自分の居場所にケチを付けられるのが勘弁ならなかったのだ。


「ヲイ!お前ゴラ!消えちまえ糞ガキ!」

「どこ住んでんだゴラ!」


当然、リアルならば足元に這い蹲らせているであろう相手に活字で威嚇する事のじれったさは今でも忘れない。


無論、相手も名乗る訳ではないので活字罵声の堂々巡り…


が、五郎には策があった。


『俺が相手になっていれば、他の人に嫌がらせする隙がないだろう馬鹿めが』


チャットデビューからとんでもなく面白い人で人気者になったこっさん。


『本性出してみんなに嫌われても仕方ない。俺が守ってやる!』


「こっさん!ありがとう」

「やるなあ!こっさん」


荒らしが去った頃、みんなが入室して来る。


「…実はこんな奴ですまん」


「何いってんのこっさん最高!」

「狂犬こっさん最高!」


心のどこかで彼らの事を根暗な臆病者と思っていた五郎…


『俺を怯えないのか?嫌わないのか?』


「ありが…とう…皆さん…ありがとう」


そう、誰にも見えない携帯のこちら側で五郎は涙を浮かべていた。


「こっさん!俺の部屋に遊びにきてよ」


発言したのはキング。


「部屋!?」


「そう、チャット待ち合わせ用の掲示板に俺のスレッドがあるからさ!」


『掲示板…スレッド…なんのこっゃ…』


なんとか掲示板へのリンクまで誘導してもった五郎。


『これが掲示板!なんだこの膨大数の部屋は!』


チャットデビューの五郎は五つのカテゴリー分けしか知らなかった訳だから、その初めて見た大型掲示板には驚いた。


井の中の蛙が這い上がった瞬間である。


キングのスレッドへの、いや掲示板への初めてのレス。



「来ちゃったよ俺、ヨロロング!」




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