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第五幕 スーツの不審者

たとえスーツ姿だとしても、鞄も持たずに挙動不審な人物は、十分不審者に見える

 猫宮の依頼を受けた翌日、四月十日。福朗は大学の授業が終了する頃合いを見計らって、早速調査の為に境戸造形美術大学を訪れていた。

 本日の福朗はジャージではない。グレーのスーツに身を包んでネクタイを締め、革靴を履いてビジネスマンを装っている。そのスーツには皺こそないが見る者にくたびれた印象を与え、革靴には傷が目立っている。ネクタイを緩め、首元のボタンを開けて着崩している福朗は、それでもビジネスマンを装っているつもりである。

 大学を訪れているとは言うものの、福朗は校門付近で生徒の出入りを監視しているだけ。一ヵ所に留まれば怪しまれると考えた福朗は、時折立ち位置を変えながらメモ帳とスマホと校門に向けてせわしなく視線を動かしていた。

 この美大には三人の候補者の内二人も所属しているし、写真があったのもその二人だ。楽な方から終わらせるのが福朗のやり方なので、どちらかでも早急に見つけてあわよくば接触できないか、と福朗は考えていた。ともあれ、この大学にはやたらと学科が多く、それに伴って生徒数も多い。いくら写真を手にしていても、その中からお目当ての二人を見つけ出すのは容易な事ではない。

 福朗が到着したのは十六時前だったが、今はもう十七時になりそうだ。福朗はかれこれ一時間ほど、怪しい具合で校門を監視していた。

 疲れを感じ始めた福朗はふと思う。なんでこんな探偵紛いの事をしてるんだろう、と。

 福朗が営んでいるのは『何でも屋』だ。決して探偵事務所ではない。福朗に熟せる範囲の依頼だけを受け、それを消化する。主だった依頼は店番だったり、ドブ攫いだったり、清掃だったり、修理なのだ。そのどれもが知り合いからの紹介で、大抵イレギュラーに発生する。個人の派遣業と言っても過言ではない、大変慎ましいものなのである。

 レギュラーの依頼と言えば、マダムの愛犬ポンちゃんの散歩くらい。お金持ちのマダムはポンちゃんの散歩をするだけで、ポンといいお値段を支払ってくれる。福朗としては気が引ける反面、大いに助かっているのも事実。事務所にしてもマダムから貰ったものなので、福朗はマダムに一生頭が上がらない。態度にはあまり出さないが、福朗は本当にマダムに感謝している。

 マダムはマダムで福朗に恩義を感じているし、福朗を高く評価している。福朗はその辺りも承知している為無粋な事は言わず、今後とも良好な関係を築いていきたいと思っているのだ。

 福朗は一度頭を振る。今はそんな事考えている場合じゃない、と雑念を追い出す。気持ちを切り替えて改めて校門を睨みつけるが、調査対象は一向に表れる気配がなかった。

「こんなに人がいるのになぁ……いや、こんなに人がいるからか」

 楽に思えた大学の張り込みがまったく進展を見せないので、福朗は思わず呟いていた。依頼人である猫宮には頼めないが、ここの生徒で且つバイトである明日香に頼めばよかったかもしれない。猫宮の時と同様、校内の人脈を手繰り誘い出してもらった方が圧倒的に効率がいいのだから。

 今日は止めにして明日香に頼もうかと悩んでいた時、福朗の目に知った人物が映った。明日香の友達である七熊沙和が校門から出て来たのだ。

 明日香に聞いているので福朗は知っている。沙和は大学内の事情通である、と。

 会ったのは以前、明日香に紹介されたきりだが、明日香が見せて来る写真で顔は何度も確認して憶えている。急に声を掛けるのもどうかと迷ったが、ちょうど調査に煮詰まっていたところなので、福朗は思い切って声を掛ける事にした。

「お~い、七熊さん」

 名前を呼ばれ、周囲をキョロキョロと確認した沙和は、声の正体が福朗である事に気付いた。呼ばれた時は驚いた顔をして、福朗と知った時は心底嫌そうな顔をしたが、福朗が近づいて来る頃にはなんとか真顔に戻していた。

「これはこれは、フクさん。こんにちは」

「こんにちは七熊さん。久しぶりだね。今帰り?」

「ええ、まぁ」

「それにしても、君に『フクさん』って呼ばれるとは思わなかったよ。明日香ちゃんの影響?」

「ええ、まぁ」

 沙和は出来る限り言葉少なに答えている。福朗とあまり話したくなかったからだ。

沙和が福朗の事を『フクさん』と呼ぶのは、『明日香』と同じ音である『飛鳥』という姓で呼びたくないからだ。だからと言って『福朗さん』と呼ぶのも、仲が良さげで虫唾が走る。よって沙和は明日香と同じように、対面時は福朗を『フクさん』と呼ぶ事にしている。

 沙和は福朗を嫌っている。特に沙和自身が何かされたわけではないが、一方的に嫌っている。原因としては明日香に関する諸問題になるが、今としてはもう済んだ話しだ。過去の因果による挽回できない気持ちを抱え、沙和は福朗を嫌っている。

 沙和は福朗を嫌うあまり『アンタ』『お前』『貴様』『てめえ』『クソ虫』『ウジ虫』『フナ虫』『ゴミ虫』等々、考え得る限りのバカにした呼び方をしたい、と常々思っている。しかし、その思いは我慢しなければならない。明日香の為に。いや、自分の為に。福朗を手酷くあしらい過ぎると、明日香に嫌われてしまうからだ。

 沙和も猫宮と同じ感情で福朗と接している。明日香に嫌われたくない一心で、福朗と渋々接している。沙和のヒエラルキーによれば、福朗自身のポジションなんて消しゴムのカス以下だ。要するに、ゴミとしてすら取り扱っていない。だが、頂点である明日香が沙和の意思に反して担ぎ上げるので、一応人として扱ってやっているだけなのだ。

 福朗はそんな沙和の心情を知らない。まだ沙和とまともに話していないから、福朗はゴミよりも嫌われている事を知らない。

 知らないのはある意味救いでもあるので、福朗は気負いなく、明日香の友達として話し掛ける。

「今ちょっとだけ時間ある?」

「ええ、まぁ、少しなら」

「んじゃ、聞きたい事があるんだけど。いい?」

「はぁ、どうぞ」

 沙和は今すぐ立ち去りたかったが、明日香の為に我慢する。根っこは自分の為だとわかっているが、明日香の為だと思うとモチベーションがアップするからだ。明日香の為という大義名分を引っ提げて、沙和はポーカーフェイスを続ける。受け答えはかなり粗雑だが、表情だけは崩さない。

 福朗はまだ嫌われている事に気付いてないので、沙和が快く承諾してくれたと思い質問を始める。

「デザイン科の四回生、真田君って知ってる?」

「知ってはいますが、知り合いではありません」

「どんな事知ってるの?」

「SNSで評価されて、調子に乗っていたのは知ってます」

「過去形だね。今はどんな感じ?」

「さぁ、知りません」

「なるほど。良くも悪くも噂はない、か」

「ええ、まぁ」

 福朗はメモ帳とペンを持っているが、メモを取る事はなかった。沙和から得られた情報は、昨日猫宮から聞いたものと同じだ。特筆すべき点がなかったのもあるが、そもそも必要ないと考えていたのもある。それで福朗はメモを取らないのだ。

 沙和も質問されながら考えていた。昨日明日香が猫宮を探していた事と、今福朗がここに居る事は繋がっているのだろう、と。だが、沙和はその事ついて自分から聞こうとは思わない。聞いても福朗は答えないだろうし、聞くなら明日香からの方が断然いい。そもそも福朗とこれ以上余計に話したくはないので、沙和は質問にだけ答えるスタイルを徹底する。

「んじゃ次、同じ科の四回生、高月さんって知ってる?」

「知ってはいますが、そちらも知り合いではありません」

「どんな事知ってる?」

「昨年、絵画コンクールで優秀な成績を納めたとしか」

「へぇ、それっていつ頃?」

「さぁ、知りません」

「まぁ、調べりゃわかるか」

「ええ、たぶん」

 高月の情報の時は、福朗はメモを残した。コンクールに関しては、猫宮からなにも聞いていなかったからだ。

 福朗は暫くメモを眺めてから、頭を掻いて沙和に言う。

「あんがと七熊さん。時間取らせて悪かったね」

「いえ、ではこれで」

 福朗の言葉に対し、沙和は会釈もせずに方向転換して足早に去って行った。

 小さくなっていく沙和の背中を見ながら福朗は呟く。

「俺、嫌われてね?」

 福朗はようやく気付いたようだ。沙和と一対一で会話して。無表情で無感情の返答を聞いて。福朗は沙和に嫌われている、とようやく気付いた。

 福朗は自分がモテない男だとわかっている。だからいい歳になっても結婚はおろか、彼女さえいない。だらしがないのは自覚しているし、経済力のなさは百も承知。昔はもう少し女性受けが良かった気もするが、思い出が美化されているだけなのかもしれない。明日香には好かれていると信じたいが、沙和といい猫宮といい、あそこまで邪険に扱われてしまうと、それさえも疑わしいと思えてしまう。

 自信を失った福朗は、トボトボと校門から離れていく。若い女性に嫌われるのは、オッサンの宿命であると自分に言い聞かせて。しかしいくら言い聞かせたとしても、多少心が傷付くのは防げなかった。

 傷心に暮れ消沈する福朗は、沙和を見つけた位置まで戻る。また校門の方を見つめるが、その目には先程までの集中力はない。

 もう帰ってしまおうかとも考えたが、沙和が出て来た事を考えると、明日香の授業も終わっている可能性が高い。どうせなら明日香が出て来るまでは粘ろうと思い直し、福朗は気合を入れ直す為に頬を二度叩く。

 その後五分が経過し、十分が経過し、十五分が経過しても、明日香はおろか、真田や高月さえも出てこなかった。見知らぬ若者ばかりが通り過ぎる校門を、ただひたすら監視する事に福朗は疲れ始めた。日が傾いて空が茜色を増すにつれ、福朗の虚しさも募っていく。

 可能な範囲でならなんでもやる。そんな『何でも屋』ではあるものの、福朗はやっぱり探偵ではないのだ。傍から見た自分がどう映っているのか想像すると、福朗はゾッとしてしまう。

 いよいよ福朗の心が折れた。明日香は来ないし、調査対象も現れない。本当に帰ろうと福朗が考えた時、不意に後ろから肩を叩かれた。

「あの、ちょっとよろしいですか?」

 声の主は女性のようだった。校門を見張っていたから明日香ではないはずだ。一体誰がなんの用だろう。そう思いつつ振り向いた福朗は、目の前に立つ人物を見て全身から血の気が引いた。

 そこに居たのは若い婦警だった。肩まで伸ばしたストレートヘアに、キリッとした目が特徴的な美人婦警。その後ろにはパトカーも控えている。

 動揺を隠せない福朗は、目を激しく泳がせながら言葉を絞り出す。

「な、なんでしょうか?」

「ここでなにをされているのですか?」

「え~っと、まぁ。仕事をちょっと」

「なんのお仕事ですか?」

「な、『何でも屋』を少々」

「『何でも屋』?」

「あっ、いえ、自営業です。はい」

 福朗のハッキリしない口調と挙動不審な態度に、婦警は明らかに怪訝そうな顔をする。そして胸ポケットからペンと手帳を取り出し、福朗を見ながらチェックを入れるようにペンを動かす。

「先程、境戸造形美術大学校門前にて、不審者がうろついているとの通報が入りました。特徴は身長百八十前後で黒髪短髪の男性。安っぽいグレーのスーツを着て、薄汚れた革靴を履いている。との事です」

「へ、へぇ~。そいつぁまた物騒ですね。俺も見かけたら注意しておきますよ」

「……ご協力、感謝致します」

「では、俺はこれで」

 そう言い残してそそくさと立ち去ろうとした福朗だったが、仕事熱心な婦警が逃がしてくれるはずもない。

 福朗は背中越しに肩を掴まれた。若くて使命感溢れる婦警の力は、鍛えているのかスレンダーな体型からは想像できないほど強く、福朗を捉えて離さない。

「もう少し、ご協力頂いてもよろしいですか?」

「い、いやぁ、そうしたいのは山々なんですが、俺にも都合というものがありまして」

 福朗は肩を掴まれたままで、婦警の方を向かずに答えた。冷や汗が止まらない顔を見られるわけにはいかなかったのだ。

「お時間は取らせませんので、少しだけお話をお聞かせ下さい」

 婦警は依然、淡々とした口調で福朗に話しかける。その事務的な口調からはなぜか、有無を言わさない迫力が伝わってくるようだ。

 福朗は振り向かないまま恐る恐る聞く。

「……ここで、ですよね?」

 婦警はキッパリと言い放つ。

「いえ、あちらのパトカーで」

 パトカーの後部座席に乗せられる自分の姿を想像し、福朗はまたゾッとする。現実逃避するように、世の探偵さん達は如何にして警察とお付き合いしているのだろうと考えたが、掴まれている力が増して福朗の思考を引き戻す。非常に困った状況ではあるものの、無暗に動いて抵抗と取られても厄介なので、福朗は頭を掻く事もままならない。

 遂に観念した福朗は、一つ大きな溜息をついてから振り返り、一縷の望みを託して必殺の一言を口にする。

「ちゃ……」

「ちゃ? なんですか?」

「ちゃうねん」

 福朗の必殺の一言により、婦警の顔が笑顔に変わった。だが、その笑顔が讃えていたのは、怒りという感情だけだった。

「茶番は結構です。こちらへ」

「……はい」

 背中に手を添えられパトカーへと誘導され始める福朗。背中に感じる婦警の華奢な手が、福朗には突き付けられた拳銃のように思えてならなかった。


 *福朗職質中*


 明日香は授業が終わると約束通り美術室Gに向かい、猫宮と会っていた。それが十六時半ば頃の話。ハガキを受け取って昨日交換しそびれた連絡先を交換し、たっぷりと一時間程話した。

 猫宮は今日も事務所に来てくれる。てっきりそう思い込んでいた明日香だが、絵を描きたいからと断られてしまったので、一人校門に向かって歩いていた。それが現在、十七時半ば頃の話。

 明日香が校門から出ると、すぐ近くに一台のパトカーが止まっていた。赤色回転灯は作動していなかったが、パトカーの存在自体が明日香に不快な印象と物騒な印象を与える。

 明日香はパトカーが嫌いだ。嫌な思い出が脳裏を過るから。警官は似たような制服に身を包んでいても個人個人として識別はできるので、それほどの苦手意識はない。だが、パトカーは別だ。明日香の目にはどのパトカーも同じように映り、同じように嫌な思い出を想起させる。だから明日香はパトカーが嫌いだ。

 嫌いなパトカーを避けるように、明日香は歩道の端を大学の敷地に沿って歩く。極力パトカーを視界に入れたくなかったが、もしかしたら自分の通う大学でなにかあったのかと思い、チラッとだけ視線を送ってみた。すると直後、首を痛めてしまうのではないかという勢いで盛大に二度見する事となる。なぜなら、見知った顔がパトカーの中に見えたからだ。

「フクさん⁉」

 パトカーの後部座席に座る福朗を見て、明日香は思わず声を上げた。

 声に気付いた福朗と、明日香の目が合う。福朗は悲し気な笑みを浮かべてから、すぐに視線を外してしまった。

 明日香はパトカーへの嫌悪感を振り切って福朗の元へと駆け出す。しかし、その行く手は婦警に遮られてしまった。

 明日香とパトカーの間に立ち塞がったのは、クリッとした大きな目がかわいらしい印象を与える、長い髪を背中で束ねた婦警だった。

 髪の長い婦警はにこやかな表情で明日香に尋ねる。

「学生さんですね。なにか御用ですか?」

「あっ、あのっ! その人! 私の知り合いなんです!」

「そうですか。今聴取を頂いてますので、暫くお待ち下さいね」

「そっ、そんなっ⁉ フクさん! フクさん!」

 声を上げる明日香が強引に押し通ろうとするので、髪の長い婦警は困り顔で押し留める。

「ちょっと貴女、落ち着いて」

「落ち着いてられませんよ、放して下さいっ!」

 福朗を聴取していた髪の短い婦警も、外で騒ぐ明日香に気付いたようだ。聴取を中断し、明日香達とは反対側のドアからパトカーを下りてもみ合う二人の方に早足で向かう。

「何事です、古森(こもり)巡査」

 古森と呼ばれた髪の長い婦警は、明日香を抑えつつ振り向いて言う。

「それがそのっ、この学生さんが聴取中の男性と知り合いだと言って」

「バイト先の方なんです! 話をさせて下さい!」

「うわ~ん、助けてよ木崎(きざき)巡査~」

 木崎と呼ばれた髪の短い婦警は、必死の形相の明日香と半泣きの古森を見て大きな溜息をついた。

「とりあえず、二人共落ち着きなさい」

「落ち着いたら話させて貰えるんです⁉」

「ええ、話してもいいから。とにかく落ち着いて」

「木崎巡査⁉」

「聴取の途中だからまだ開放はしないけど、話すくらいなら別に構わないわ」

「ホントです⁉」

「本当よ。だから落ち着きなさい」

「わかり、ました」

 約束を取り付けた明日香は、力を抜いて一歩下がる。

 明日香の猛進に耐え抜いた古森も、やっと力が抜けると胸を撫で下ろしていた。

 二人が離れたのを見計らって、木崎が福朗側のドアを少しだけ開け、ドアハンドルを握ったままで言う。

「先程も言いましたが、まだ聴取の途中なので。話がしたいのであればこのままでお願いします」

 それを聞いた明日香は、三メートルもない距離をまた駆け出して福朗の元へと向かった。

「フクさん! 大丈夫です⁉」

「明日香ちゃん……俺はもう……ダメかもしれない」

「そんな……」

「ごめんね。明日香ちゃん」

 項垂れるような福朗の反応を見て鞄を取り落とした明日香は、口元を両手で覆いしゃがみ込んでしまった。

 福朗と明日香のやり取りを見ていた木崎は、再び大きな溜息をついて呆れている。

「また茶番ですか?」

「いやだってさ、まだ帰してくれないんでしょ?」

「それは貴方が煮え切らない返答しかしないからです。我々としては、怪しい男をみすみす開放するわけにはいきませんので」

「俺ってそんなに怪しい?」

「そう表現して差し支えない程度には」

 福朗と木崎のやり取りを見ていた明日香は、話の流れに付いて行けない。付いて行けない割には、二人の様子から大事ではなさそうな雰囲気を感じ取り、両手を口元から離して質問する。

「茶番ってなんです?」

「我々は別に、飛鳥さんを連行しようというわけではありませんよ」

「だったらどうしてパトカーに?」

「それは飛鳥さんが、ふざけた態度で答えをはぐらかし続けているからです」

 木崎の回答により、明日香はようやく理解した。普通にしていればすぐに済んだであろう職務質問を、福朗が勝手にややこしく、且つ長引かせているのだ、と。

 明日香はジットリとした非難の眼差しを福朗に向け、詰問するように名を呼ぶ。

「……フクさん?」

 福朗は明日香が勘付いた事に勘付いて、バツが悪そうにあさっての方を向いた。そして頭を掻きながら答える。

「いやいや、んな事言われてもなぁ。俺にだって黙秘権があるし、それ以前に一応、俺なりの守秘義務ってのもあってだなぁ」

 そっぽを向いて福朗が頭を掻いた場合、それが言い訳であると明日香は知っている。呆れ半分苛立ち半分で、明日香の口からは言葉が出てこない。

 木崎も明日香が勘付いた事に勘付いて、福朗への非難を受け継ぐ。

「だとしてもです。その誠実さに欠ける態度とのらりくらりとした言動では、怪しまれるのも当然でしょう」

「そんなさぁ、人を遊び人みたいな言い方しないでくんない? 俺はいたって真面目な一般市民なのよ?」

「それで真面目とは。片腹痛いですね」

「ソッチの片腹事情なんて知らんけどもさ」

「事情をお話頂ければ、私の片腹事情も治まるのですがね」

 福朗と木崎、互いに一歩も引かない意地の張り合いが続き、睨み合いが始まる。

 木崎に関してはまだ仕事の範疇だ。譲らないのも頷ける。

 福朗に関しても一応仕事の範疇だ。プライベートな依頼内容を明かさない為、譲らないのも頷ける。しかし、態度言動については、概ね木崎の言う通り。

 明日香は二人のやり取りを見て、徐々に苛立ちの割合を増やしていく。

 古森に至っては二人のやり取りを見て、木崎巡査も大変だなあ、と他人事のように思う始末。

 暫く睨み合いの膠着状態が続いた末、福朗が先に口を開く。

「やれやれ。木崎さんだっけ? 頭が堅いってよく言われるでしょ?」

「そちらこそ、頭が軽いと言われるのでは?」

「頭が軽いって事は動作も軽いんだよね。即断即決できるというメリットがあるのさ」

「ものは言い様ですね。私の辞書では、それを浅い考えと言うのです」

 福朗と木崎による舌戦は、なんの益も生み出さず、誰も得しない。ただただ時間だけを浪費する不毛な諍いが過ぎていく中、遂に痺れを切らした明日香が動き出す。

「もういいですっ!」

 そう叫びながら立ち上がった明日香は、突然木崎からドアハンドルを奪い取った。

「こらっ、ちょっと貴女!」

「明日香ちゃん⁉」

 二人の上げる声を気にも留めず、明日香は勢いをつけるように少しだけ引いてから力強くドアを閉めた。振り返るように頭を寄せていた福朗は、額の右側を窓ガラスに打ち付けてしまう。

「イダイッ!」

 悲鳴を上げた福朗は余程痛かったのか、狭い後部座席で前屈みになって額を押さえている。真横からでは誰も乗っていないように見えるくらい頭を低くして。

 福朗に制裁を与えた明日香は、フンっと鼻を一回鳴らしてから鞄を拾い始める。

「あ~あ~」

 と、木崎が言う。顔には出さないが、いい気味だと思っている。

「うわ~、痛そ~」

 と、古森が言う。しかめた顔で福朗と同じ場所押さえ、本当に痛そうとだけ思っている。古森巡査は暢気な人だった。

 明日香が鞄を拾い終えた頃、パトカーの後部座席から窓ガラスをノックする音が聞こえる。それに気付いた木崎は、再び少しだけドアを開けた。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃない。ちょ~イタイ」

「自業自得ですよ。何度我々を茶番に付き合わせれば気が済むのです」

「俺を引き留めたのはソッチじゃないの」

「まだ言いますか。これだけ時間を取らされたのです、公務執行妨害で本当に連行しますよ?」

 そう言いながら、木崎はチラリと明日香に目を向けた。

 木崎の視線に気付いた明日香は、あっさりと言ってのける。

「いいんじゃないです? 連行する方が面倒だと思いますけど」

 福朗はいよいよ明日香にも見放されたようだ。このままでは本当に連行されかねないと思った福朗は、使いたくなかった最終手段に打って出る。

「あの、木崎巡査。ちょ~っといいですか?」

 福朗の声に、木崎は至極面倒そうな反応をする。それでも仕事と割り切って無視はしなかった。

「まだなにか?」

「俺の身元保証についてなんだけど、中央署所属、捜査第二課の坂東警部補に連絡取って貰えません?」

「はぁ?」

「いいからいいから。お願いしますよ」

「そんな願いを聞き入れる義務、コチラにはありませんが」

「いいからいいから、そこをなんとか」

「ですから――」

「あ、無線じゃなくて電話でね。刑事部の番号わかる?」

「……」

 制裁により額の右側が赤くなってもまだ態度を改めない福朗に、木崎は言葉を失くしてしまう。そんな木崎を見て、古森が耳打ちする。

「いいじゃないですか、連絡くらい」

「貴女はこんな男の言う事を聞けと?」

 古森の耳打ちに木崎は不服そうだが、少々言葉を崩して古森は続ける。

「結果的にはそうかもしれないけど、私達だっていつまでもここで油売ってられないよ」

「それはそうですが……」

「このまま拘束してても時間の無駄だってば。あまつさえ連行したとしても、きっと面倒が続くだけだよ? その娘も言ってたし」

「確かに……」

「だったら一度、その人の言う通りにしてみようよ。それで片が付くならいいと思わない?」

「……わかりました」

 古森の進言により木崎が折れる形で、二人のヒソヒソ話は終わった。

 木崎は正義感と責任感に溢れる婦警だ。不正を許さず不審を看過しない。それ故に頭が堅く、業務上においては融通の効かない事が多くある。

 古森とて正義感と責任感を持っている婦警だ。だが、そのどちらも木崎ほど強固ではない。それ故に状況を客観視でき、業務上においては木崎のストッパーとして働く事が多くある。

 厳格な木崎と暢気な古森。この二人はバランスの取れた、良い婦警コンビなのである。

「今連絡を取りますので、少々お待ち下さい」

 木崎にとっては福朗の言う事を聞き入れる憤慨よりも、初めて刑事部に電話する緊張の方が勝っていた。それに相手は警部補だ。刑事手帳に書かれた番号を取り出した携帯電話に入力するが、発信ボタンをなかなか押せない。

 電話を見つめたまま固まる木崎。その一方で、明日香が福朗に声を掛ける。

「大丈夫なんです?」

「電話に出てくれさえすれば。たぶん」

 短い会話の後、福朗と明日香が固唾を飲んで木崎を見る。二人の視線に後押しされるように、木崎は意を決して発信ボタンを押した。

「……もしもし、中央署の刑事部でよろしいでしょうか? ……はい。私は龍綱川(たづながわ)北派出所の木崎巡査と申します。捜査第二課の坂東警部補にお取次ぎ頂きたいのですが……はい……お願いします」

 緊張はしているものの、木崎はハキハキとした口調で坂東の呼び出しまでは成功した。

 福朗は福朗で木崎が黙って電話に耳を当てている間、坂東が電話口に出てくれるのを祈る。

 数秒後、福朗の祈りが通じたのか、また電話に向かって木崎が話し始めた。

「もしもし、坂東警部補でしょうか? ……はい……龍綱川北派出所の木崎です。境戸造形美術大学校門前にて不審な男を拘束したのですが……いえ、その男が坂東警部補に連絡をと……はい……名前は飛鳥福朗というふざけた……え⁉ 今なんと⁉ ……そんな無害だからほっとけと言われましても……いいえ、それは……しかし……はい……わかりました。お手数をお掛けして申し訳ありません……では、失礼致します」

 坂東との通話を終えた木崎は、またまた大きな溜息をついた。溜息をつき終えてから、パトカーのドアを開く。

「解放しますので、どうぞお帰り下さい」

「さっすがバンさん。話が早くて助かるよ」

 ようやくパトカーから抜け出せた福朗は、ホッと一息ついている明日香の隣に並び立つ。

 木崎としては憤懣遣る方ない状況なので、嫌みを込めて言い放つ。

「警察署にお知り合いがいて良かったですね」

「そりゃあね。実は俺、これでも元刑事だし」

「貴方が⁉」

 福朗の発言があまりにも衝撃だったのだろう。木崎はヨロリと体勢を崩してしまった。

 そんなに驚く事もないだろうと思ったが、迷惑を掛けたのもまた事実なので、福朗は頭を掻きながら謝罪の言葉を述べる。

「面倒掛けて悪かったよ」

「まさか……そんな……」

 福朗の『元刑事』発言に、木崎はまだ動揺が隠せないようだ。察した古森が対応を受け継ぐ。

「先輩だったんですね」

「元、ね」

「初めからそう仰って頂ければよかったのに」

「いやいや、言っても絶対信じてくれなかったろ? 木崎さんの動揺っぷりを見てみなさいよ」

「あ~~、木崎巡査は真面目ですからね~」

 呆然とした木崎を見て古森はクスクスと笑う。

「それに過去の職業なんて、今の保証にはならんよ」

「それはそうかもですけど、少しは対応も変わったかもしれませんよ?」

「色眼鏡で見るようじゃあ警官は務まらんよ。木崎さんの対応は正しい」

「そう思われるんでしたら、もうちょっとまともに話して下さればよかったのに」

「警官は市民を護るのが仕事だが、俺にだって仕事上護るべきものがあんのさ。君らには君らの、俺には俺の矜持があるって事だね」

 福朗がそこまで言った時、驚愕状態から回復した木崎が口を挟む。

「随分と格好をつけた言い方をしますね。それで我々が納得するとでも?」

「ちょっと木崎巡査。せっかく話がまとまりそうだったのに」

「古森さんだっけ? 悪いのは俺だからいいよ別に」

「その言い草も上からですね。実に不愉快です」

 業務の関係なくなった木崎は、福朗を怪しい男から気に食わない男へと認識を変えた。

「も~、止めなってば~」

 古森が慌てて制止にかかるが、木崎は依然福朗を睨みつけている。

 木崎の反応に小さく溜息をついた明日香は、福朗の脇腹を小突いて言う。明日香は明日香で、福朗のストッパー役であるからして。

「もうっ、ちゃんと謝って下さいよ」

 明日香の催促により、福朗はもう一度頭を掻いてから頭を下げた。

「ご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。以後気を付けます」

 学生に促されてから謝罪する福朗に、木崎はなにか言ってやろうと考えた。だが、木崎が口を開く前に、脇腹を古森に小突かれる。木崎も古森に催促されて、福朗の謝罪を受け取った。上からだったが。

「今回は大目に見ます。その言葉、忘れませんからね」

 大変ですね、と明日香が古森に微笑みかける。

 お互い様ですよ、と古森が明日香に微笑みを返す。

 こうして、丸くはないがなんとか形には納まって、福朗逮捕劇は幕を閉じたのだった。


 ↓パトカーを見送った後↓


 明日香は笑顔でパトカーを見送っていた。そしてパトカーが見えなくなるや否や、ジト目を福朗に向けて問う。

「それで? なんであんな事になってたんです?」

「なんかさ、えらく具体的な通報があったらしくてね」

「通報って……どうしてそんな事に」

「いやだって、差出人候補の内二人はここの学生だろ? 直接接触できないかと思って見張ってたんだよ」

「それで不審者扱いされた、と」

「まぁ、そんな感じ」

 経緯を察した明日香は小さく溜息をつく。

「私に言ってくれたら良かったじゃないですか。猫宮さんの時と同じように、校内で探せますもん」

「いや、うん。それも考えたけど、それは避けたかったんだよね」

 福朗の濁した言葉に、明日香は信用されていないのかと思って悲しくなる。問い直して明確に言われるのは怖かったが、それでも明日香は聞く方を選択する。

「……なんでです?」

 明日香の不安げな表情を読み取った福朗は、誤解がないように明確に答える。

「猫宮さんの場合はハガキについて聞きたかっただけだから、ハズレであったとしても悪い印象は持たれなかっただろう。でも、今回の場合は違う。猫宮さんの依頼によって調査をするんだぜ? 容疑者として嗅ぎまわられるなんて、誰も良い気分はしないよ。明日香ちゃんの立場が悪くなるかもしれんし、最悪発端である猫宮さんに非難が向く可能性もある。だからこの大学において部外者である俺が調査に赴いた、ってわけ」

「そう、ですか」

 福朗の配慮に胸を撫で下ろした明日香だが、同時に福朗を疑った事を恥じて自分を責める。一瞬だけ責めてから、頭を振って気持ちを切り替える。

「これからどうします?」

 福朗は明日香を高く評価している。面倒見が良く時に頑固で意外と行動力があり、決して打たれ強くはないが、やるべき事を前にしてくよくよしない。そんな明日香を、福朗は良い助手だと思っている。

 明日香の問いに、福朗は問い返す。

「猫宮さんからハガキは?」

「猫宮さんは来られないそうですが、ハガキはしっかりと受け取りました」

 間を置かずにハッキリと答える明日香は、やっぱり助手として優秀だ。

「なら、今日は帰ってソッチを確認しよう」

「わかりました」

 明日香に笑顔が戻った事を確認したので、福朗は歩き出す。その時、

「あっ!」

 と、明日香が声を上げた。

「どしたの、明日香ちゃん。忘れ物でもした?」

「いえ、あれ」

 立ち止まったままの明日香が指をさしたのは大学の方だった。福朗は明日香の隣に戻り、指し示す方向を目で追う。すると、フェンス越しの大学敷地内に、歩いている男の姿が見えた。

「おっと、佐田君の登場だ」

 福朗は差出人候補である事にはすぐ気付いたが、職務質問で疲れたのか、佐田と真田を言い間違えた。すかさずデキる助手、明日香が訂正を入れる。

「違いますよ、真田さんです」

「そうだっけ? 佐田とか真田とかややこしんだよなぁ。とりあえず美大のB君にしよう」

「そんな適当な……」

「いいからいいから。明日香ちゃんメモを頼む」

「はいはい」

 福朗は歩いていく真田をフェンス越しに観察する。

「顔は眼鏡のおかげで真面目そうに見えるが、学生の分際で高そうな腕時計と靴を持ってやがるな。デザインで稼いで買ったものか。自己主張が強く、身勝手なヤツなんだろう。相手に自分の意見を押し付け、否定されると怒り出すタイプに違いない」

 つらつらと言い連ねる福朗の言葉を聞きながら明日香がメモを取る。

 『腕時計と靴が高級』『自己主張が強い』『身勝手』『意見の押し付け』『逆切れの可能性あり』。

 明日香は知っている。福朗の観察眼が当てにならない事を。一応書き上げはしたものの、明日香はその全てにクエスチョンマークを添える事にした。

 一通り真田の観察を終えた福朗は、満足したように言う。

「さっ、帰ろうか」

「え? 声は掛けなくていいんです?」

「B君に? なんで?」

「あれ? だってさっき、直接接触って」

「ああ、それは高月さんの方だよ。男に声掛けてもつまらんだろ?」

 あっけらかんと言い放った福朗に、明日香はイラッとした。パタンとメモ帳を閉じてから、鞄で福朗の背を殴る。

「イテッ、なにすんの明日香ちゃん」

「女子大生に声を掛ける為に待ち伏せしてたなんて、婦警さんに捕まって当然です!」

 そう言い残し、明日香はツカツカと足早に歩き始めた。福朗は頭を掻いてから、小走りに明日香の背を追う。

「まぁまぁ、そう怒らんでくれよ明日香ちゃん」

「別に。怒ってません」

 そう言う割に、明日香の歩調は依然として速い。

「本当に?」

「ええ。ホントです」

「んじゃ、俺が既に女子大生に声掛けたって言っても怒らないよね?」

 福朗の言葉は弁明どころか、更に明日香を不機嫌にさせる内容だった。

 明日香は歩いていた足をピタリと止め、ゆっくりと首を回して真っ直ぐ福朗を睨み付ける。

「は?」

 明日香が足を止めたので、福朗も足を止めた。と言うよりも、明日香の反応が怖かったので、福朗は強制的に足を止めさせられた。

 福朗としては少しからかうだけのつもりだったが、想像以上に明日香の凄味が凄かった。これはマズいと正直に話す。

「七熊さんを見かけたから声掛けたんだよ。見ず知らずの女子大生には一切声なんて掛けてません」

「ホントです?」

「はい。ホントです」

 明日香の口調を繰り返し、福朗が肯定する。

「ふ~ん、そうですか。以前紹介したとはいえ、私が居ないのに沙和に声を掛けたんですか」

 暫くジト目を福朗に向けていた明日香だが、不意に思い当たる。

「そう、ですか……沙和が……」

 明日香は知っている。沙和が福朗を嫌っている事を。具体的な通報があったと福朗は言っていた。もしかしたら沙和が通報したのかも、と思い至ったのだ。

 明日香の顔がみるみるうちに青くなっていくので、変化に気付いた福朗は心配そうに顔を覗き込む。

「どしたの? 大丈夫?」

 福朗の優しさが、どことなく明日香には痛かった。通報者が沙和である確証はない。しかし、沙和以外の人間が具体的な通報をわざわざするか。その可能性はないに等しいと思えてならない。友達のせいで福朗に要らぬ嫌疑がかかったのでは、と明日香は気後れしたのだ。

 福朗を売られたとしても、明日香は友達を売るようなマネはしない。精一杯の愛想笑いと空元気で、明日香はこの場を乗り切ろうと声を上げる。

「だ、だいじょ~ぶです! さっ、早く帰りましょ~」

 怪訝そうな顔をする福朗の背を押して、明日香は帰りを促した。背を押すついでにこっそりと、明日香は自分の殴った場所を摩る。ごめんなさい、と念じながら。


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