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006-水の都ピオラを訪れた俺は節穴の衛兵を騙して侵入する。勇者とついでに話なんか出来ちゃったら最高だよな。味方になってくれなかったらまあ殺すしかないが、とりあえず何とかなるだろう、多分。

 ピオラはシオモナ山にあるカイメラ湖から流れるシオモナ川の下流にある都市だ。

 自分で言ってて何ってんだって感じだがそうだ。

 川から水を引き、それを井戸で汲んで生活する都市なので、規模は小さいが清潔だ。

 ..........あくまでも、この世界基準でだが。


「はい、通って通って」

「ありがとう」


 怪しげなローブに身を包んだ俺は、魔術師見習いとして身分を誤魔化し都市に入り込む。

 ゴブリン共が臭かったからあまり気にしなかったが、この世界は体臭がデフォでキツイようだ。

 スメハラだろ、こいつら魔王に滅ぼされて当然だ。

 魔王は少なくとも臭くなかったしな。

 さて、俺は俺で目的を果たさないとな。

 そのために魔法が使える杖と、魔法使いっぽく見えるローブも借りて来たんだからな。


「勇者が泊まっている宿を探してる、これ買うよ」

「あいよ、あっちの角を曲がって奥の赤果樹亭さ、一番奥の部屋だ」


 情報とは金で買うものだ。

 俺はそれを分かっているからこそ、ここに来るまでに旅人をゲケナを使って殺した。

 持ち物は有効活用してもらってるぜ。

 落し物は拾ったら10割拾った奴のものにしていいって事だ。

 この世界に警察は無いから今俺が作ったルールだ。


「どうせ不味いしな」


 俺は買った果物をその辺の溝に投げ捨てて、赤果樹亭に向かおうと....思ったが。

 溝に近寄って、果物を拾った。


「(とっておくか)」


 この世界なら別に汚くもないんだろう。

 俺はそれを、カバンに入れる。

 それを口にする事はない。

 俺は腹を壊すだろうな。


「勇者と話がしたいのだが」

「宿泊客に会わせろってか? バカ言うなよ」

「そう言わずに、ほら」


 俺は二日分の宿泊費の銀貨四枚をカウンターに置く。

 この先使うかもわからないしな。


「........泊まるなら仕方ねえな、奥の事は知らない。行け」

「どうも」


 俺は宿の中に入る。

 珍しく木で作られた建物だな。

 軋む床を踏みしめながら、最奥へ。

 最奥の引き戸を、ノックした。


「誰だ?」

「オリという、話がしたい」


 扉が開く。

 出てきたのは、ブロンドヘアの少女だ。

 俺の胸板の位置に首がある。


「わっ!? 大きい!」

「勇者はいるかな、この都市を訪れ、勇者が泊まっているという話を聞いたので、少し話がしたくなった」

「いますよ!」


 この女は白魔法使いか?

 俺は招かれ、部屋の中へ進み出た。


「セシル、誰が来たんだ?」

「知らない人。多分、魔法使い」


 部屋の奥には、二人の人物がいた。

 床に座って斧を磨く男と、椅子に座った青年。

 消去法で、座ってる方が勇者だろうな。


「魔法使いのオリという、勇者と話をしたい。場合によっては、旅に同行できればとここに来た」

「そういうことなら、僕に用があるという事だな。二人とも、夕飯の買い出しに出てくれ」

「分かったぜ」

「うん!」


 二人が出て行く。

 勇者は俺に椅子を勧め、俺はそれに腰掛けた。


「話というのは?」

「君の人間性を知りたくなった、その上で気に入れば仲間になりたい」


 普通なら腹を立てるような言い草だ。

 これで怒るようなら、俺はこいつを天才だと評する。

 天才ってのは理不尽なんだ。

 さあ、どう出る?

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