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002-この世の終わりみたいな臭いゴブリン共とその将軍の女ゲケナとの出会い、この世界の地理とやらを大まかに知った俺はそれを黄金の脳みそへ刻み込む

 俺が今いる建物は、魔王城というらしい。

 歩きながら緑の奴を質問攻めにしたら分かった。

 で、今どこに向かっているかというと。


「臭いな」

「すまんな」

「いや、構わない。風呂もなさそうだな」

「フロ? ああ、体臭がなくなると、ワレワレは個体をシキベツしにくいのだ」

「ふん、それなら仕方ないな」


 でも水浴びくらいしろよと思った俺だが、黙っておくことにした。

 流石に、俺の身長を遥かに超える大男が居る中で、不用意な発言はしたくない。

 殴られたら痛いしな。


「魔王軍って労災あるのか?」

「ロウサイ? そろそろ着くぞ」


 扉もないような部屋の中に入る俺。

 そこには、広い部屋とデカいテーブル、そして。


「待ちかねた。歓迎する.....」

「ハオだ」

「ハオ」


 大男共と同じ緑の肌に、ババアみたいな白くて縮れた髪。

 歯は黄色くて同じように体臭がヤバい少女が座っていた。

 俺の本名は山崎葉織(ヤマザキハオリ)だが、一応ハオと名乗っておく。


「私の名前はゲケナ。ジェネラルゴブリン」

「ジェネラルゴブリン?」

小鬼(ゴブリン)を纏めている。ゴブリンキングのソッキンだ」


 案内役が言う。

 つまりこいつもゴブリンって訳か。


「で、ここで何をする?」

「魔王様から、イセカイジンに我が軍の情報を伝えるように伝達があった。機密は話せない、けど最低限のことは教えられる」

「なるほど」


 戦力を知らないまま戦う事は出来ないな。

 手順をいくつか飛ばしているのは、それだけ俺に期待してるって事だよな?


「ハオ、これを見てほしい」


 机の上に置いてあった、丸めた紙を、ゲケナは両手で開いた。

 そこには、家系図みたいなのが描いてあった。


「私たちの文字を理解できるかは分からないけれど、ゴブリンがこれ」

「ほう、ゴブリンキングが魔王と同視されているのか」

「昔は王がいた。今は魔王様がゴブリンの王でもある」


 ゴブリンには種類があるらしい。

 下っ端ほど臭いも強いらしいな。

 近づきたくはないが、それでも浮浪者の死体よりマシな気はする。

 ともかく、魔王ってやつは各種族の王をブッ殺して、その頭領になったらしい。

 ああ見えて強いんだな、逆らわなくて正解だった。


「ゴブリンのほかに、巨人、ミノタウロス、悪魔、オーク、ケンタウロス、サハギン、ドライアド、ハーピー、獣人、リザードマン、インプ、コボルド、アンデッド、ドラゴンが軍にいる」

「随分大所帯だな」

「それぞれ、”大型軍”、”自然軍”、”悪魔軍”、”不死軍”に分かれている。私たちは自然軍。軍団長.....ハニエル様は勇者と戦って戦死された」

「なるほど」


 さぞ強かったんだろうな。

 俺は果たして勝てるのか.....

 まあ、真正面から戦う必要はない。

 なんたって俺にはブレインがある。

 この脳が筋肉で出来てるよーな奴らと違って、黄金の脳みそがある。

 いや、別に馬鹿にしてるわけじゃない。

 人にはそれぞれ適材適所ってやつが......いや、人じゃないか。

 その分野で活躍してるなら、俺にそれを笑う権利も義理もない。


「次は地理について。ガテガ、地図を」

「はっ」


 案内役、ガテガって言うのか。

 呼びやすさ重視なのか?

 まあ体臭で判別してるっぽいしな。

 ガテガが持ってきた地図を、俺は見る。


「なるほど、ここは北に位置しているのか」

「うん」

「勇者が今いるのは?」

「ここ」


 ”ピオラ”と書かれた場所を指差すゲケナ。

 近くにシオモナ山という山があるようで、そこから河川が下に流れている。

 ん? これなら別に、俺が直接戦う必要ないな?

 まあ、勇者の話を聞いてからだな!


「まあ、都市については後で聞く。勇者について聞かせてくれ、軍団長が戦死するところを見たんだろ」


 死んだという事を知るには、現場に居なきゃならない。

 この世界に電子機器があったら別かもしれないけどな、今のところ見てないわけだし無いだろう。


「........軍団長への無礼は」

「無礼じゃない、死んだ奴に敬意は払わないだけだ」

「...貴様!」

「ガテガ、やめて」


 ゲケナがガテガを制止した。

 俺なんかまずい事言ったか?

 それとも仏教か?

 まあいい、先に話を聞こう。


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