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012-余裕で勝ってしまった、やっぱり魔物に人間の勇者を殺すなんて無理な話、この天才の俺様がいてこそ初めて成立する素晴らしい作戦なのだギャハハハハ!

 いやぁ~~~~愉悦愉悦。

 天才が苦しんでるのを見るのは飯がうまいぜ。

 どうだ、得た才能で築き上げた、砂上の楼閣が崩れ去るのは。

 お前が得た幸福の全ては、誰かを踏みにじって得たものだ。

 そしてお前は今、無意識に才能に胡坐をかき、俺の配下に敗れるのだ。


「ぐっ、オリ、君は...!」

「おっと、再生したか」


 だが再生したところで、その激臭の中では戦えないだろう。

 再びゲケナに斬られ、左腕を負傷する勇者。

 ん?

 俺はちょっと気づいちゃったかもしれないな。

 腕を再生した時、血が戻る気配が無い。

 体は再生しても、血は戻らないんじゃね?


「ゲケナ、よけたまえ――――ロックバレット」

「うん」


 俺は教わった四つの魔法のうち一つで、ゲケナを援護する。

 ゲケナが真上に飛んだことで、それは全て勇者へ当たる。

 岩投げなんて大した魔法じゃないと思ったが、意外と有効だな。

 肉が抉り取られ、彼は後ろによろめく。

 カッコイイな俺。

 やっぱ魔法使いの方がかっこいいのか。

 剣士にならなくてよかったぜ。


「ひきょ、ヴオオエ!」

「うわっ、きったね」


 勇者は何か言いかけたが、マーライオンみたいにゲロを吐きだした。

 さっきまで抑えてたんだろうな、少なくとも俺も耐えれる自信ないしな。

 都市ガスは意図的に臭い付けされているが、勇者にとっての致死クラスの悪臭はゲケナに とってはあのガスの臭いくらいの感覚だ。

 若干不快というだけで、戦闘に影響はない。

 流石ゴブリン、不潔の中で生きる事に精通しているという訳か。


「そこ」

「ぐっ!」


 今度は足を斬られたな、多分だがゲケナはわざと甚振ってんな。

 コエー。

 私情とか挟まないタイプだと思ってたが、もしかして前の軍団長が好きだったのかね?

 ますますコワ〜。

 さてさて、追い詰めてはいるが、どうしたもんか。

 ゲケナは強いが、致命傷を与えてもすぐに復活する。

 俺の魔法の杖はイキって使いすぎてあと二発しか撃てない。

 俺は悪くないからな。


「ゲケナ、そろそろ終わらせろ」

「わかった」


 どうせ本気じゃないんだろって言おうとした瞬間、ゲケナの動きが一気に加速した。

 そして、一瞬で勇者の四肢が飛ぶ。

 ゲケナは一本ずつそれを拾って、遠くへ投げた。

 そのうちの一本が、俺の傍に落ちる。


「ファイアボール」


 ファイアボールで焼けるかなと思って撃った。

 燃えカスすら残らずに消えた。

 流石に痛覚は切れているらしいな、魔法なんてある世界だからブチ切れた腕にも神経が通ってるかと思ったぜ。


「勇者、名を言え。私が勝者だ」

「.......アルタ」


 へえ、可愛い名前してんな。

 だが、勿論これで勝ったわけではない。

 四肢を捥いだ程度で死んだら、今までの戦いは何だったのだろうという話だ。

 魔王が手を焼いて俺様を呼ぶほどの話でもないだろう。


「僕は....ゲホッ、僕はアルタ.......お前を殺す.....勇者だ!!」


 直後、勇者の四肢が再生していくのが見えた。

 ゲケナは素早く、勇者が持っていた剣をこっちに投げてきた。

 重い金属音を立てて、俺の前に剣が落ちた。

 これを遠ざけろというのだろう。

 ――――待てよ?

 勇者の力の源はこの剣なんだよな?

 俺だって、勇気も力もあの雑魚に負けてなんかいない。


「ゲケナ、時間を稼げ」

「うん」


 俺は聖剣を拾い上げた。

 応えろ聖剣、お前に相応しい真の持ち主がここにいるぞ。

 その瞬間、俺は――――


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