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第9話 黒葉の救済者

 目的の3人を身動き取れなくした後、泣きながら嫌がる黒葉にテントは触れようと近づいた。和夜は

「止めて下さい。彼女は嫌がっています」

か細い声で僅かな勇気を振り絞り止めに入った。テントは和夜の方へ歩いた。

「なんだよ?せっかくお前には優しく殴らないでやっているのに。しゃしゃり出てくるな」

またテントは黒葉の方へ近づき顔に触れようと手を伸ばした。

「止めろ!」

自分でも驚く程、瞬発的に声が出た。しかし、これはすぐに恐怖に変わる。

「おい、警告が分からなかったのか?」

先程よりスピードを上げて和夜へ近づきながら言った。

「おとなしくしてれば何もしねぇよ」

和夜へまた背を向けた。和夜は悩んだ。怖い、怖い、怖いけど黒葉ちゃんに危害が加わるのはもっと嫌だ!ええい!腹を括るぞ!と悩んだ末に

「お願いです!止めて下さい!」

全力で止めようとした。しかし、今回は無視された。そのため反射的に

「おい、好きな女に振られたからって下らねぇことしてんじゃねぇよ・・・止めようよ」

と後半は弱弱しくも頑張って言った。恐怖より人様へ危害が加わることの方が嫌なため和夜は挑発で注意を引くことにした。バトル漫画でありそうな台詞を真似た。それに守るべき女性はまだ高校生、自分は年上の成人女性。守らなければいけないと思った。それだけではない。知り合いに危害を加えられそうになった怒りにより出た不良風の挑発台詞だ。が、すぐに後悔へ変わった。もう少し言い方を変えるべきだった。テントは和夜にガンを飛ばしながら近づいて来た。

「お前、自分の状況が分かってねぇのか?誰に向かってそんな口、聞いてんだよ」

「・・・伸郎と騎士くんが来たら、私に何かしよう物なら、痛い目を見ますよ?・・・勿論、その女性に手を出すこともです・・・ほら人?は札束でも花束でも殴っちゃいけないって言うじゃないですか」

後半は苦笑いをしながら言った。自分でもよく分からないことを言っていた。

「へぇ」

そう言うとテントは思いっきり和夜へ腹パンをした。痛てぇ、痛てぇ、痛てぇ、こんなの耐えられん、と和夜は思い痛みと恐怖で涙が出そうだった。

「あーあ、おとなしくしてれば1回も殴られずに済んだのにな。お前には腹が立つけど黒葉も居るし大目に見てやるよ。」

鼻で笑いまた体を黒葉の方へ向けようとした所、

「おい、だから、その女性に何もするな・・・近づくな」

和夜が言い終わった瞬間また腹へ目掛けてテントはパンチをした。すると和夜は涙とうめき声しか出せなくなった。テントは舌打ちをした。

「お前もう良いわ。ムカつくし、せっかくだからサンドバックにしてやるよ」

そう言いながら和夜の髪の毛を片手で掴むと顔面へ目掛けて何度も殴った。何度も殴ったため血が出て、目も開けられず和夜の視界は赤黒く染まった。散々、殴った後は手を放し手下を呼んだ。その手下は相撲取りのようなかなり体格の良い男だった。

「お前、コイツのこと頼んだわ。1番、痛いのにしてやれ」

「はい!・・・一応、アマですけど・・・良いんですか?」

「やれって言ってんだろ!」

「はい!」

手下は和夜のロープを解いた後、体を両手で掴んだ。ハグのような状態で和夜の足が宙に浮く。すると上半身に思いっきり力を込められ、和夜の体からはバキボキととんでもない音がなった。そして、地面に思いっきり投げられた。テントは笑った後に

「多分、脊髄やったな。コイツもう寝たきりになるんじゃね?目も怪しいしよ」

と言い和夜の顔や背中などに何度も蹴りを入れた。痛みに悶えながら和夜はとても後悔をしていた。助けたことではない、挑発をしたことではない、武道を一斉やって来なかった自分を悔やんだ。運動が嫌いで何もやって来なかったが少しでもやっていれば結果はもっと違ったかもしれない。守れたかもしれない。怪我もしなかったかもしれない。

「どうせなら、両手両足の骨もやるか」

そう言いながらテントは右足に蹴りを入れた。


 その目も当てられない光景を黒葉は涙を流しながら小さい悲鳴を上げていた。心の中で止めて欲しいと強く思っていたが自分では止められなかった。ガンバは和夜が殴られる前から目が覚めていたが2人と違い、口にガムテープが付けられていたため声が出なかった。黒葉もガンバも悲惨な光景をおとなしく見ているしかなかった。


 何度も蹴られ殴られを繰り返した和夜は麻痺したのか何も感じなくなった。同時に蹴られたり殴られたりもしなくなった。痛みもなければ暴力もない、ホッとしたが黒葉の方に危害が加わるかもしれないと思うと喜べなかった。そのようなことを思っていると声が聞こえた。

「はははははは、スゲー殴られたり蹴られたり痛そうだな。大変だな。同情するぜ」

マンが現れた。先程まで赤黒く何も見えなかった視界。白い光の玉だけが見えた。

「今は時を止めてお前に話をしている。だから、時が動き出せばまた殴られ蹴られだな。時間を止めている間は幸い痛みを感じないだろうが進めたらまた痛いぞ。ははははは」

お笑い芸人のコントでも見たかのように楽しそうだ。和夜は

「あの憧れのアニメの・・・究極の無敵な奥義が使えたら・・・」

ありえない空想をしていた。

「ははははは。お前がか?」

マンは子馬鹿にした。

「まぁ、特別に、俺からお前へのプレゼントだ。お前が今、思っていた奥義とやらを使えるように設定してやろう。それしか使えないがな」

和夜は信じられなかった。


 マンの姿が見えなくなりも声も聞こえなくなったら時が進み殴られ蹴られが再開し、ある程度したら止まった。どうやら暴力をふるう側は疲れたらしく近くで休もうとしていた。信じられなかったが和夜は藁にもすがる思いで口を動す。声は出なかったが、

「究極の無敵な奥義・・・因果応報・・・無敵返し」

と唱えると男2人の悲鳴が響き渡った。驚き目を開いてしまった。赤黒かった視界が嘘のように周りの光景が見えた。自分の体は痛みが減っていて何とか動かすことが出来、上半身を起こした。ギルは顔を抑え地面に横たわっており手下は白目を向き地面に寝そべっていた。何が何だか分からなかった。また時が止まった。

「ほう、結構、面白いじゃないか」

マンの声が聞こえ、また目の前に現れた。

「お前の奥義はかなり強そうだな」

とても楽しそうだった。

「一応、言っておくがお前の怪我が治ったのは奥義のお陰ではない。俺が特別に治してやった。完全じゃないがな。だか全身打撲程度に済んでいるはずだ。今度その奥義を使う際は攻撃を受けないようにするんだな。今回のこと、感謝しろよ」

そう言い残し居なくなった。黒葉とガンバはマンのことは知らないどころか、時間停止によりマンの姿も声も分からないため目の前に起きた光景が信じられなかった。

「ああ、やった・・・良かった」

そう言って和夜は力が抜け上半身を倒し寝た。もう体が動かせそうにはなかった。黒葉とガンバは和夜の言葉から和夜がきっと何かしたのだろうと確信した。


 ちなみにマンの1人称が私から俺になっているが初登場は格好をつけて私にしていたからである。普段は俺が1人称で、それがうっかり出てしまっている。

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