第6話 食事
待ちに待った高級レストラン、ではなく放課後が来た。和夜は緊張しながらも他校の可愛いJKと美味しい物を食べれることにワクワクしていた。騎士は和夜が食事を楽しみにしているのは良いが1人で怪しい集団の所へ行かせることに嫌な予感がして気が気ではなかった。良い子は怪しい人に付いて行ってはいけないよ。
校門には既に黒葉と男の軍団がスタンバイをしていた。小走りで黒葉に少し緊張した微笑みを見せながら和夜は向かった。それに対し黒葉もニコッと可愛く返す。和夜の後ろに居る騎士は怪しい集団を睨みながら
「本当に何もしない?したら許さないよ」
念入りに釘を刺した。男共も騎士に睨み返した。その不穏な空気を悟り冷や汗が出そうになりながら
「騎士くん、心配し過ぎ、大丈夫だって」
苦笑いで和夜は答えた。
「ええ、本当に食事をするだけよ。約束通り彼女は連れて行くわね」
騎士を置いてレストランへ向かった。騎士はこっそり跡を付けていた。
レストランへ向かう際は全員、無言だった。和夜はとても気まずかったが途中から関係のないことを考えており忘れていた。黒葉さん、良い女って感じだなぁ、身長も低いし胸も大きい訳じゃないけど何か色気を感じる、っているかモテモテで羨ましいなぁ、と考えていた。身長や胸などお前が言うなと言ってやりたくなる。褒めているようで少し失礼なことを考えていた。しかし、可愛い見た目に憧れる気持ちは本気だ。それだけでなく、男の方は身長高けぇなぁ、騎士くんも高いけど、というか高校生に見えん、何か自分より年下だと思うと悲しくなってくる・・・ここに来る前の世界でもそうだったなぁ、年下に見えない大人っぽ過ぎる年下、等このようなことを思っていた。そして、目的地に到着していた。
黒葉の斜め後ろを和夜は付いて歩いた。個室に着き2人は席に座った。
「じゃあ2人で話をするから皆は一旦お外で待っててくれるかしら」
「承知致しました!・・・おい、そこの女。お前こそ黒葉様に危害を加えるなよ?」
「しないですよ!?」
急に疑いの言葉を浴びせられると思わなかったため和夜は焦って答えた後にしょんぼりする。
「私なら大丈夫だから。悪い人じゃなさそうでしょ?そんな方にそういうことは言っちゃ駄目よ」
「失礼致しました!では俺達は外で」
そして女性2人きりの個室となった。
「ごめんなさいね。あの人達が急に失礼なことを言ってしまって」
「いえ!・・・騎士くんも似たようなことしちゃってますし」
「そう言ってくれてありがとう」
店員が個室へ入って来てドリンクメニューを見せる。
「お飲み物はどのように致しますか?」
「私はいつものコーヒーはやめて、今日は紅茶にするわ」
「私は・・・オレンジジュースで」
和夜は安心した。1人ジュースは恥ずかしいけどコーヒーも紅茶も苦手だからジュースがあって助かった、と思った。
店員が飲み物と食事を運び出て行った。
「おおお、うまそ・・・美味しそうですねぇ」
緊張した和夜に微笑ましく笑いながら黒葉は言った。
「緊張しなくても良いわよ。食事を楽しみましょう」
食べながら談笑をした。そして、黒葉が真面目な雰囲気になり言った。
「本題なんだけど実は貴方にお願いがあるの。貴方、伸郎さんの妹で騎士さんととても仲が良いじゃない?私達の仲間になるように説得して頂けないかしら」
「私がですか?」
「ええ、その方が引き受けてくれると思うの」
「うーん、そうですねぇ・・・話すのは良いですが説得は厳しいですかね・・・」
「そこを何とかお願い出来ないかしら?」
「すみません、実はパ・・・兄と話しているのを聞いちゃって。兄が言っていたようにずっと一緒に居るのは出来ないけど何かあったら連絡して来て貰うじゃ駄目なんですか?」
黒葉は眉を八の字にし下を向いた。お互い無言になってしまった。和夜はまた気まずさを感じ自分の発言が何かまずかったのか脳内でパニックを起こしていた。そこへ、黒葉が口を開いた。
「貴方は悪い人じゃなさそうだから。話そうかな。私が強い男性を集める理由。ほぼ初対面の人にこんなことを話すべきじゃないと思うけど」
「良いんですか!?無理に話さなくても大丈夫ですので」
「良いの。信頼出来そうな人だから」