第4話 違和感
転校早々に学校のボスを倒した伸郎、他校にもすぐ噂が広がり喧嘩を吹っ掛ける者が多かった。悪い奴を秒でお片付けすることを伸郎は繰り返していた。今日も1人、懲りずに現れた。
「お前が最近、噂の伸郎か?俺も柔道をやってて負け知らずで有名なんだよ。お前を倒せば柔道かつ喧嘩最強の称号は俺に」
敵は急に伸郎へ攻撃を仕掛けた。
「そうか、その割には技がなってないぞ」
敵の攻撃を交わしながらも即座に柔道の背負い投げをして格の違いを見せた。一気に技をかけて諦めて帰って貰おうとした。
「くそっ、まぁいい、お前を倒せばやり方はどうだって良い。もっと有名になれるしな」
隠し持っていたメリケンサックを嵌めてパンチを仕掛けた。
「ボクシングを意識したパンチか?それもまだ技になってないな」
手首を掴み伸郎は相手に話をした。少し強く手首を掴んだだけだが敵は悲鳴を上げ走り去った。余程、痛かったのか涙が溢れていた。
「なんだ、正しいストレートパンチを教えてやろうと思ったのに」
伸郎の妹と噂の和夜を狙う者もいた。人質にすれば伸郎を倒せるかもしれないと考える者だ。しかし、騎士が引っ付き虫のように離れず守っていたため安全だった。
「騎士さん。そんな毎日、家まで送り迎えしなくても良いよ。兄さんが居るんだし」
「一緒に居たいから・・・後、出来れば『くん』付けがいいな」
「そうかぁ・・・」
正直、和夜は男、ましてやイケメンとここまで接することがなかった。念願の2次元イケメンキャラとくっ付ける大チャンスで嬉しかったが騎士を狙っていた女子の視線が怖く離れたい気持ちが少しあった。
和夜は1人の部屋でベットに体を預けてた。
「騎士くんを狙っていた女子は怖いけど南ちゃん、茅野ちゃん、メガネという素晴らしい友達が出来て本当に良かった。騎士との関係を応援されてるのは困ってるけど・・・高校生の設定だけど元は21歳、高校生と恋愛展開はアウトな気がするなぁ」
いくら漫画世界の設定とはいえ和夜は悪いことをしている気分だった。
「どうだ?若い男を引っ掛けた気分は?」
マンが和夜をからかいに現れた。
「正直、イケメンキャラとの接近は嬉しい設定ですが罪悪感があります」
「まぁ今はどこからどう見ても高校生だ。そんなに気にすることはない。後、別に俺はお前のためにアイツを用意した訳じゃない」
「えっ?じゃあ、なんでこんな少女漫画みたいな展開に?」
「知らん」
「えええ・・・そうだ。マン先生、父はバトル漫画の主人公かつ最強キャラの設定にしたとおっしゃってましたよね?実はバトル漫画での戦闘にとても憧れてて、私も戦えるキャラにして貰うことは出来ますか?」
「断る」
和夜はがっかりし、スマホを手に取り「影弁慶伝説」と言うお気に入りのバトルアニメを見る。影弁慶は和夜が1番尊敬している、なりたいヒーローだ。
学校のボスは倒してしまいザコキャラに囲まれる位しかなくなってしまった伸郎はランニングの際に悪そうな奴が居ないかも探すようにした。まだラスボスらしき者は居ない。強いと感じる者もおらず、それっぽい奴を見つけても秒で倒すのみだった。だが違和感を感じていた。理由は最初は不良達との殴り合い蹴り合いの攻撃をするベタな不良漫画の流れだったはずが普通の人間では出せない攻撃をする者。それだけでなく明らかに高校生ではない怪しい者からの攻撃が最近、増えていたのだ。例えば手から火を出す者や手で触れずに物を動かす者等の超能力者と思われる者。種類を挙げればキリがない。そして、高校生とは思えない貫禄のある者が躊躇なく凶器を出す場面に会うことも多くなった。最初は高校生にさせられ、ただの不良漫画と思っていた。しかし、違うと感じ始めていた。