2 天城でもわかる!アイデンティティウェポン概略
シャワーを浴びて普段着に着替えた私がリビングに戻ると、勝手に隆二がくつろいでいた。
「はい、不法侵入」
「まぁまぁ、それより、ほれ」
そう言って隆二は机の上に置かれた紙を指さす。
「なに、それ」
「ダンジョンの世紀の常識集だ」
「は?」
「おまえセカンドで来年度からダンジョン学園入学予定なのに、アイデンティティ・ウェポン、つまりIWについての知識がほとんどないだろう?」
「…有象無象のIWの知識なんてどうでもいいわ」
「…兎に角、最低限これを覚えろ」
そう言って隆二が示した紙には以下の内容が記されていた。
天城でもわかる、IWまとめ
用語解説
IWとは?
アイデンティティ・ウェポンの通称
ファーストとは?
最初の覚醒者たち、現在ほとんど消息不明
セカンドとは?
ファースト以降のすべての覚醒者
AWIとは?
固有アイデンティティ・ウェポンの通称、ファーストのみが所有
汎用アイデンティティ・ウェポンとは?
セカンド以降が持つIW
GIW 神々の名を冠したIW
NIW GIW以外の汎用アイデンティティ・ウェポン
能力tier
Tier0 ストーン・ヘンジ(上里天城のAWI)
Tier0.5ゼウス(理論上最強のGIW)
Tier 1 ファーストたちのアイデンティティ・ウェポン(上里天城を除くAWI)
Tier2トール、プロメテウス、エーギル、ユミル(GIW全般)
Tier3ヘラクレス(唯一のtier3GIW)
Tier4 NIWの一部
Tier5 NIW全般
「…なにこれ、どこかの厨二ソシャゲのwiki?」
「全く…IWについての解説だよ」
「長い、要約して」
「…要は、大体、AIW>GIW>NIWの順に強力なIWだということ、例外もあるが」
「なるほど、理解、以上、解散」
「ホントに大丈夫かこいつ…で、だ」
「なーに」
「お前のIWはなんなのだよ?ダンジョン学園に入るんだろ?最低限NIWは持っているのだよな?」
「あれ言ってなかったっけ、GIWのヘラクレス、だったけ?」
「おいおい、iter3とはいえGIW持ちだったのかよ」
「…で、そんなあなたのIWは?」
「GIW、ロキ、因みにtier2だ、はい、俺の勝ち、なんで負けたか、明日までにぐぼがぁ!?」
なんかうざい、ので腹パンしておいた。
「…にしてもロキかぁ」
「げほっ、げほっ、この暴力女が…てか、にしてもって、なにがだよ」
「いや君にぴったりな能力だねって」
「…どういう意味だ」
なぜか、室温が少し下がった気がした。
「それは、君が一番よくわかっているのでなくて?」
…少し、沈黙。
「…はぁ、長い付き合いなのに、天城、時々お前が良くわからなくなるよ」
「そらご愁傷様」
「…まあいい、取り敢えず、入学の準備はちゃんとしておけよ?」
「はいはい、わかったわ」
その後、少し雑談をして隆二は帰っていった。
その後ろ姿は少し影が差していた。
…ぶっちゃけ、隆二が何を腹に抱えているか大体解るが…
「まあ、年頃ってやつでしょう」
そんなことより、隆二に言われた通り、入学準備を、しなくちゃね?