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ハンファクール帝国物語  作者: ケンタ〜
プロローグ
1/13

叙爵式(ジョシューオソ)

「スファー・フラージュ=スファル・テレール伯爵(サース・テレール)・テリ」


 広く響き渡る凛とした女性の声が、俺の名前を呼んだ。

 しかしその名で呼ばれても、俺に頭にはなじみなく、やはりまだ違和感がある。


「そなたが帝国貴族として叙せられ、そしてそれを認め、義務と責任と権利を負う事を、皇女殿下わたしに誓え」


「――――仰せのままに」


 俺は慣れない言葉を、慣れない言葉で口にして、目の前に立つ、純白の皇族衣裳に身を纏った女性の手を取った。


 そして、俺は事前に覚えた、たどたどしいセリフを口にした。


「私が果たすべきすべての義務と責任を負い、その権利を帝国のために使う事を誓います」


 そして、俺は手に取った、まるで雪のように白い手の甲に、接吻した。

 ひんやりとした感触が、俺の唇に伝わる。


 そして頭上から、声がする。


「――これより、わが帝国ハンファクールは、そなたを帝国を統治する高貴な一員である貴族として認める」


 その瞬間、大きな鐘の音が響いた。


 しかし、それだけだった。

 ここには、二人しかいない。


 参列する者も、来賓の貴族もいない。


 だれもいない、たださびれた教会の中で。


 俺は、貴族に叙せられた。

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