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まるで箒星の様に



 息を切らしながら、間宮二郷は必死の形相で階段を駆け上がる。

 流れる汗を拭く余裕すらもなく。酸素不足で引き攣り痛む肺を無視して。

 歯を食いしばり、ただ上へ上へと進んでいく。


「…………二郷、くん……私……足手まといだから……置いて、いって……」


 そんな二郷の耳に届く、か細い声。

【モリガミサマ】と物理的に距離が開いたことで、ほんの少しだけ痛みが引いたのだろう。二郷の腕に抱えられた東雲四乃は、助けを求めるでも苦痛を訴えるでもなく、朦朧とした意識のままに、ただ二郷に向けて再度自分を置いて逃げるよう懇願をした。

 その自己犠牲の言葉を聞いた二郷は、一瞬だけ哀しみに顔を歪めたが……しかし直ぐに、安心させる為の笑みを作り、強く首を振る。


「ぜぇ……っはぁ……そいつぁ、嫌だね。前にも言っただろ、東雲四乃ちゃん……アンタが死んだら、俺は自分の腹掻っ捌いて死ぬ。つまり俺とアンタは一心同体の一蓮托生。運命共同体って訳だ」


 息切れだらけの二郷の返答。それを受けた四乃が抱いた感情は、悲しみと焦燥。そして……ほんの僅かな幸福感。

 それでも、どうにかして二郷に生きて欲しい四乃は、更に説得を続けようとするが……それを遮るようにして、今度は二郷が口を開く。


「それ、にな……あのゴミカスが【アナログジャック】に捕まったってんなら……少なくとも時間は稼げる。あわよくば……倒せちまうかもしれねぇ。だからさ、希望を捨てんなよ。俺を信じてくれ」


 力強く四乃にそう言い聞かせてから、二郷は更に足に力を籠めて階段を一段飛ばしで駆け上っていく。

 そして、駆け上がりながら……その脳内で想起する。


(……ああ、そうだ。【アナログジャック】を使った以上、時間は確実に稼げる。ひょっとしたら倒せちまえるかもしれねぇ……だけど、すまねぇ。悪い。ごめんな。こんな事に使っちまって)


 自身がかつて原作漫画で読んだ【アナログジャック】という存在の、設定と物語を。

 想起して、謝罪する。

 被害者であり加害者である、その化物に対して。




 ────【アナログジャック】。


 それは、特定の個体の名称ではない。

 妖怪や化物に類する種族の名前でもない。

 その名は、現実と連続した世界に現れた『死後の世界に繋がる孔』の事を示している。


 本来、現実と死後の世界の境界というものは、明確に分かれているものだ。

 幽霊を見たという話は聞くが、地獄を観測したという話は聞かないように、死後の世界を生者が観測する事は出来ない。

 しかし、人類の文明の発展によって生み出された、テレビという道具……此処ではない何処か。遠い世界の姿を映す便利な道具が開発されてしまった事で、ある時、本来観測できない筈の死後の世界が偶発的に映し出され、現実世界と繋がってしまった。


 生者が目視し認識してしまえば、逆説的に死者として扱われ……無理矢理に死後の世界に引きずり込まれる。そんな地獄への道が出来てしまったのである。


 無論、人類社会は文明の発展を阻むそんな現象を、許すわけにも認める訳にもいかなかった。

 故に、当時の政府は、発生したアナログジャックへの対策として────生贄を。死にかけの少女を人柱として用いる事で、秘密裏に現象を収めたのである。


 現実と死後の世界の境界に生死の境に有る人柱を置き、生きる事も死ぬ事も出来ない状態にする事で楔とし……生と死の世界の連続性を喪失させたのだ。


 やがて時が経ち、アナログ放送からデジタル放送への技術革新によって、テレビに死後の世界が映し出される事は無くなったが、しかし人柱は今でも現実と死後の世界の境界に捕われたままでいる。

 永遠に死の苦痛を味わい続ける。そんな地獄のような状況から彼女が抜け出す方法は、ただ一つ。

 それは、自分の代わりとなる存在を見つけ、入れ替わり────新たな人柱とする事。

 故に彼女は、未だ残る古いテレビに自身の姿を映し、波長が合う……自分に気が付いてくれる『代わり』の人間を求め続けているのである。

 求めて、入れ替わり、助かろうとしているのである。


『さかさネジ』の原作では、その噂を聞きつけた無知な動画配信者が【アナログジャック】が映るテレビ画面を動画撮影し、更にネットで公開してしまった事で、赤色の死後の世界……楔となる人柱の居ない、剝き出しの地獄への入口が世界中で開いてしまい、人類が絶滅していく。そんな顛末が描かれていた。


 侵食する死後の世界の孔。

 救いを求め、他者を誘う人柱。

 その二つの性質を孕んだ怪異現象。それが【アナログジャック】なのである。



(けどなぁ。確かに人の命を奪う危険極まりねぇ怪異だがよ────それでも、元を辿ってみりゃあ、【アナログジャック】は何の罪もねぇ被害者なんだ。便利に使っていい道具なんかじゃねぇ……なのに、俺にはこうするしか出来なかった。こうしなきゃ、逃げる事も出来なかった……だから、本当にすまねぇ)


 ……以前に五辻レイに話したように、間宮二郷は、例えどんな手段を使ってでも東雲四乃を助けると、そう決めている。

 その為なら、騙す事や暴力を振るう事、外道や非道も行う覚悟はある。

 だがそれは……その行為に対して胸が痛まないという意味ではない。

 むしろ、彼が憧れている物語の主人公達(ヒーロー)との差異を認識してしまい、その乖離も相まって、自己嫌悪と罪悪感はより根深いものとなる。


 それらを抱えたまま、けれど二郷は前へと進む事をやめない。やめる事が出来ない。

 辿り着いた屋上へと続く扉の前。

 制服の内ポケットから、以前に担任の三塚女史から借りていた扉の鍵を差し込むと、二郷は背後の闇を振り切るように、慣れた手つきでそれを回した。









 軋む音と共に、四ツ辻中学校の屋上と階段を隔てている金属製の扉が開かれる。

 それと同時に、転がるようにして飛び出したのは、間宮二郷と、その腕に抱かれた東雲四乃。


 彼らが目にした光景。開かれたドアの先の風景。

 太陽は西の山影に沈み、残滓を残す程度となっている。

 そして漆黒の夜空には、太陽の代わりに現れた『腐れ月』が、赤く光りながら気味の悪い笑みを浮かべていた。


「っは……はあ……! や、やっと着いたぜ……! ぜぇ……ひぃ……く、くそっ、やっぱし基礎体力が足りねぇ……おえっ!」


 当然の事ながら、夜の──それも施錠されていた屋上には、二郷達以外の誰の姿も見えず、所々が罅割れたコンクリの床。そして、暗闇と静寂だけが存在している。


 此処の出口は、二郷達が登ってきた階段以外にはない。

 つまり、完全な行き止まり。逃げ場のない八方塞がりの空間だ。


 単なる逃走という観点から見れば……逃げ場の無いこの屋上を選ぶのは、最悪だ。悪手極まりないと言えるであろう。

 真っ先に校舎から脱出し、外に逃げる事こそが正解なのは自明の理である。

 しかしながら……そんな事を、間宮二郷が理解していない筈がなく。

 それでも尚。それを承知したうえで、二郷が逃走先として屋上を選んだことには、当然のことながら理由があった。


「──っし! 撤去はされてねぇな! 清掃活動とかで廃棄なんざされちまってたら、どうしようかと思ったぜ……!」

「…………どう、して……屋上……に……?」


 周囲を見渡し、頷く様子を見せた二郷。

 その姿を二郷の腕に抱えられたまま見ていた四乃は、霞む思考の中で、ようやく此処が校舎の屋上である事を理解し、未だ激しく痛みを訴える右眼を抑えながら二郷に尋ねる。

 そんな四乃の問いに対して、二郷は呼吸を整えながら少し考える様子を見せると、やがて屋上の角を指差して口を開いた。


「ああ。そいつぁ……俺なりに、足りねぇ頭使って考えて捻り出した結論だ。現状【モリガミサマ】対策の罠は、悔しいが半分も設置し終えてねぇ。それに、設置した罠の所に誘導する事も出来なくなっちまった。けどよ」


 二郷が示した先。夜闇に覆われた、何もない筈の屋上の角。しかし闇に目が慣れれば……其処に、大きなブルーシートを被せられた何かが有るのが見えてくる。

 そして、二郷がそのビニールシートに歩み寄り、端を握って勢いよく取り払うと────其処には


 御幣。

 神酒、榊。

 鈴、鏡、火打石、数珠。

 経文、錫杖、独鈷、線香、護摩木。

 護符 短刀、麻紐、藁人形、水晶玉、ニンニク

 聖水、ハーブ、十字架、蝋燭、米、鷹の羽、小さな仏像。

 除菌消臭スプレーに……どこかの民族の伝統的な人形まで。


 種類問わず、宗派問わず、信仰問わず。

 雑多な、とにかく数を集める事を目的としたかのような、除霊に関わる品々。

 間宮二郷が【モリガミサマ】対策に合間を縫って買い、探し、拾い集めていた、霊具の数々が置かれていた。


「設置し終えてねぇって事は……逆に言やぁ、その分の除霊道具は一か所に纏めて置いてあるって事だ。つまり保管場所のこの屋上に来れば、その全部を使える。こんだけ量があんなら──ま、多少は役に立つだろ」


 無論、万全には程遠い。除霊の道具は適切な場所に適切な方法で設置して、適切な相手に使ってこそ、初めて最大の効果を発揮するものだ。

 本来であれば……これらの道具も含め、校舎の中に全てを宗教、信仰上適切に設置し、学校中を【モリガミサマ】対策の罠だらけにして、五辻レイのサポートを受けながら各所の罠を起動していく作戦であったのだ。

 しかし、五辻レイがいなくなりサポートが得られなくなった今、その作戦を実行に移す事は出来ない。

 ならば、無いものねだりではなく、今ある物を全て用いて対応するしかない。

【モリガミサマ】という正体不明に対して、どの道具がどの程度の効果を示すのは二郷にも判らない上、現状のただ積み上げられているだけの状態では、実際の効果の半分も出れば御の字であろう。それでも


「無策に走り回るよりだいぶマシだ。まだ────抗える」

「……っ!」


 その言葉を聞いた東雲四乃は、間宮二郷が【モリガミサマ】に立ち向かう道を諦めていない事を理解した。

 ……これまでの経緯を鑑みれば、【モリガミサマ】を打ち倒すという行為がどれほど無茶なものであるかは、痛みに朦朧とする四乃の思考でさえも理解できる。

 だからこそ、「無理」「逃げて」。そんな言葉を言いそうになった。言葉が悲鳴のように再び口から漏れ出そうになった。


 けれども……四乃は、今度こそはそれらの言葉を口にしなかった。

 それは、間宮二郷の言葉を。彼女の間宮二郷(ヒーロー)を信じると、彼女もまた決めているからだ。


 一蓮托生、一心同体────死が二人を分とうと、最期まで信じると。そう決めているのだ。

 だからこそ四乃は、意識にノイズが走る程の強い痛みで明滅する思考を懸命に動かし、状況を確認するべく二郷に尋ねる。


「……二郷くん……は、【モリガミサマ】が……まだ生きてると思っている……?」


「……おう。【アナログジャック】が【モリガミサマ】を地獄へ落としたなら、アンタの右眼の痛みが消えてないのはおかしい。消えてない以上、少なくとも『まだ』居るものとして行動すべきだ。対策も切り札も、いつでも切れる状態にしておかねぇとな」


 腕の中の四乃を優しく床の上に下ろし、その周囲に除霊道具……雑多で大量なそれらを一つ一つ丁寧に、しかし手早く。出来る限り宗教や信仰的に『使える』ような状態にしながら並べていく二郷。


「なぁに、心配すんなよ東雲四乃ちゃん。俺は最強無敵の主人公(ヒーロー)様だぜ? 切り札なんてもんは沢山あんのさ。負ける訳がねぇ」


 二郷は、声の震えを隠しながら笑顔を浮かべる。

 実際のところ、その言葉と笑顔は、状況が思った以上に悪い事を隠すための虚勢でしかない。


 けれどそれとは別に、この時点での間宮二郷の取った戦略……行動に間違いは無く、適切なものであった。

【モリガミサマ】の性質上、どれだけ遠くに逃げても、一度認識された人間は必ず追いつかれ殺される。

 ならば、防衛線を張って迎え撃った方が幾分かマシであると。

 霊具を総当たりに当てて、可能な限り力を削り取る事こそを試みるのは、正しい。

 ただ、惜しむらくは────


「……よし。こんだけ数撃ちゃ、どれかは当たってくれるだろ。それに……三十分も経って現れねぇって事は、死んでこそいねぇが【アナログジャック】に本格的に封じられて身動きが取れなくなっちまったのかもな────」



 惜しむらくは、この期に及んでも【モリガミサマ】という化物の恐ろしさをまだ測り違えていたという事。



「……っ!? 二郷くん、後ろ……!!」

「は────ぐがっ!!!?」


 四乃の声と同時。

 突如として。間宮二郷の背中に大型車が衝突したかのような強い衝撃が走り、それを受けた二郷の体は、まるで風に飛ばされる紙屑の様に易々と吹き飛ばされてしまった。


「ぐ、ぎっ────ぁ……が…………。 …………な、ぎ……なに、が……!?」


 落下除けの金属フェンスが大きく歪む程の勢いで叩きつけられ、それでもかろうじて落下を免れた二郷。

 だが、そのダメージは深刻だ。咄嗟に受け身を取って尚、複数の骨に罅が入り、下手をすれば何処かの骨が折れているかもしれない。脳も急激な振動を受けた事で強い吐き気を訴えている。


「う、ご……おぇ……!!」


 耐えきれず、嘔吐。

 吐瀉物には赤色が多分に混じっており、そのダメージは臓器にまで及んだ事を示している。

 それでもなんとか意思の力を振り絞り、視線を先程まで自身が居た場所へと向けると、其処には


「っ……あ…………!? っ……嘘、だろ……?」







『  は c  び   聯ば   ィ   根   あ 』







 悍ましい巨大な顔。【モリガミサマ】が居た。

 そして予想以上に最悪な事に。更に悍ましい事に


 ────その背後に、赤い空間が見える。


【アナログジャック】のテレビ画面と同じ赤色の空間が、【モリガミサマ】の背後に、沼の様に広がっているのだ。


 赤い沼から伸びる【モリガミサマ】を拘束しようとする無数の赤色の手。それらを容易く全て食い千切りながら【モリガミサマ】は滲み出るようにして、完全にその姿を現す。


 その姿は、初めに見た時と比べて一回り小さくなっている。

 恐らくは、【アナログジャック】の拘束から抜け出す為に力を幾ばくか消耗したのであろう。

 その点では、二郷の取った策は成功したと言える。だが


『   閉  が え   』


 赤い空間が、閉じる。まるで……【モリガミサマ】の声に応じるように。

 それが示す事実は、つまり────


「ゲホッ、ごほっ……おい、おい待て。待ちやがれ……ま、まさかこのクソ野郎、掌握したのか【アナログジャック】を……! 死後の世界への拘束を、克服しやがったのか……!?」


 悲鳴のような声をあげ、驚愕する二郷。

 そう、彼の予想通りに【モリガミサマ】は……この化物は、幾許かの力を消耗した代わりに、死後の世界と現実を隔てる境界線さえも通り抜ける権能を手にしたのである。


 それはつまり、今後あらゆる結界も封印も聖域も……【モリガミサマ】を物理的に阻むことは出来なくなったという事。この世界で【モリガミサマ】の呪いを阻む事が出来るものは、誰一人として居なくなったという事である。


 慄く二郷と、再び訪れた激痛に呻く四乃。

 そんな彼らを見た【モリガミサマ】は、愉快気に嗤う。


【アナログジャック】により削がれた力は確かに大きいが……しかしそれは、東雲四乃を喰らえば、取り戻してお釣りが来る程度のもの。総合的に見れば何の痛痒もないのだ。

 それに加えて、得た力によって、今後この世界の何を用いても、自身の食事が阻まれる事がなくなったとなれば……それはもう、愉快極まりない。

 故に【モリガミサマ】は嗤う。嗤う度、その声だけで二郷が必死になって仕掛けた退魔の道具を砕きながら……東雲四乃をより絶望させるためだけに、間宮二郷へと近付いていく。

 一つ退魔の道具を砕くたびに、ほんの僅かに力が削ぎ取られるが、そんな事は気にする必要も無い。

 その方が。無力を見せつけた方が、より絶望の味は深く濃くなるのだから。 


 二郷を苦しめながらゆっくりと噛み殺し、咀嚼して、吐き捨てた人間の形を成していない肉の塊を四乃に見せつける。そうすれば、四乃は一体どれだけの絶望を味わうのだろうか。もしくは、四肢を噛みちぎって恨み言を吐かせるのも面白いかもしれない。


 そんな未来。濃厚な絶望の味を想像し、口角を吊り上げる【モリガミサマ】。

 間宮二郷は、全身を苛む激痛に、未だ動けないでいる。

 このままであれば、未来は【モリガミサマ】の望む通りの顛末を迎えた事だろう。







 だが、しかし。一つだけ……たった一つだけ。

 間宮二郷と同様に【モリガミサマ】もミスを犯していた。



 それは────【モリガミサマ】もまた、間宮二郷を測り違えていたという事。



 ようやく気付いたのは、その瞬間になってから。

【モリガミサマ】が近づき、至近距離で見下ろした間宮二郷。

 追い詰められたその表情は、絶望に染まっている筈だった。恐怖と後悔に涙を流している筈だった。

 経験上、そうなっている筈だったのだ。

 だというのに間宮二郷は……この少年は、苦しみに呻き、汗を流しながらも





 嗤っていた。





「……ウンコ野郎が。切り札が一枚だけだと思うんじゃねぇぞ。景気よくぶっ飛ばしてくれた、仕返しだ」



 冷や汗を流し、目の端に涙を湛えながら。

 しかし、其れを誤魔化すように不敵な笑みを浮かべ、二郷は【モリガミサマ】に見えないように、掌の中に『薄く光る塩の塊』を生成し、握り砕く。



 直後。遠い空から声が聞こえた。

 二郷はその声に向けて届くように、喉から滲み出た血液と共に咆哮する。



「見ろ! テメェの餌は! 間宮二郷は此処に居るぞ!! だから来い! 堕ちてきやがれぇ────【星山羊(ほしやぎ)】ぃぃ!!!!!!」




 そして、それは堕ちてきた。

 夜空に浮かぶ白き明星が、一直線に堕ちてきた。それはまるで箒星の様に。



【ひあおおおおおおおおおおおおおおおおおおお────……】



 不気味な声と共に、間宮二郷を目指して夜空から落下してきた白い塊────それは、間宮二郷がこの世界で最初に目撃した化物。

 原作において間宮二郷少年を殺した、始まりの怪異。



星山羊(ほしやぎ)】が、落下軌道上にいた【モリガミサマ】を押し潰した。





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― 新着の感想 ―
コズミックホラー質量兵器『星山羊』かぁ。SANチェックされそう。
ここで星山羊も来るのアツい〜!!!
自分を殺した怪異まで利用しての反撃〜熱すぎる…!
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