疑念
風川いわく、私は3日間寝ていたらしいのだ。 目が覚めて、3時間もすれば警察の方がお見舞いを持ってきた。島田の顔に少し翳りがさした。しかし、笑顔に戻り挨拶をする。
警察も決まりきった挨拶をし、事故の様子を詳しく聞かれた。犯人は黙秘を貫いており、情報がなく困っていたらしい。
30分くらい話し、「また来る」と言い残し出ていった。私的にはもう来てほしくないが、仕事なので仕方ない。風川も、仕事があると帰ってしまった。
私は、静かになった病室で1人思考を巡らした。島田は、昔から一人で抱え込んでしまうことが多々あった。だが、こんなにも違和感はなかった。あの時、島田のお母さんは何を言おうとしていたのだろうか。「けい…」の続きの言葉は何だったんだろうか。
警察や刑事だろうか。いや、それはない。もしそうだったとしてもあれほど警察を毛嫌いしているのだ。それに彼は、私の知るかぎり大学を卒業してすぐに、「ハリス」で働いたのだ。関わるとしたら、成人前になる。そもそも、なぜ5年間放っていたクラスメートにいきなり近づこうとしたのだろうか。どうして、島田と仲良くなったのだろろか。
どうして、あの車は私1人の時に狙ったのだろうか。トリップしたと聞いたが、前日に雨など降っていなかった。もしかして、あの車は私を事故に見せかけた暗殺だったのだろうか。島田が私に近づいたのはこのためだったのだろうか。考えれば、考えるほど島田と私の絆のどこかにヒビが入る音がする。
思考が負の連鎖に、入りそうな時だった。病室の外から誰が走っている音がした。そして、勢よく扉が開いた。そこにいたのは、かおるだった。かおるは、私の姿を見るなり飛びついてきた。「いぎでて…よがった。」と声をあげて泣いた。私はかおるの背中を泣き止むまで撫でていた。
かおるが、泣き止むとそれを見越したように、草壁と風川が入ってきた。彼らへの疑念はあるものの、同僚と友人がこうしてお見舞に来てくれはの嬉しい。2人は、「月夜、大丈夫だったか。」と言うのとともにフルーツの盛り合わせをくれたどれも、前に好きな果物として言っていたものだった。
それから、私と島田が里帰り中に三人で遊園地に行ったこと。海に行ったこと。などの楽しい思い出を話してくれた。どの話をするときも、3人共表情豊かでどんなに楽しかったのかが伝わってくる。三人の話が一段落したとき、私は「ハリス」のことを聞いた。
すると、三人の顔から笑顔がなくなった。
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