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異世界牛丼  作者: まさゆき
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勇者 リチャード

勇者リチャードは、4人パーティである。


勇者のリチャード

戦士のローラン

魔法使いのマーシャ

僧侶のテレーゼ


彼らは、全員がSクラスの冒険者であり、リチャード一行はトップクラスの冒険者パーティであった。


その日、勇者リチャードは、黒龍を討伐した帰りだった。


「さすがに、黒龍は手強かったよな~」


「ああ、俺たちのデルタストームでなければとどめを刺すことは難しかっただろう・・・・」


「なによ、デルタストームって、、私のギガフレアにリチャードのシャイニングで弱った黒龍にあんたがトドメを刺しただけじゃない!」


「くくっ、ローランなんて、私の回復がなければ、3回は死んでたわよww」



意気揚々と帰路につく4人のパーティ


黒龍は強敵であり、勇者たちの魔法力は残りわずか、ポーションやエリクサーなどの回復薬の予備も尽きかけていた。


しかしながら、拠点のジミナ村に帰ることができれば、ゆっくり休んで魔法力を回復することができる。


回復薬も、ジミナ村では難しいが、すこし離れた町の冒険者ギルドで調達すればよい。


なにより、黒龍が保有していた魔石や魔道具は、一つ売るだけでも数百人が一生遊んでくらせるくらいの高値がつく。


Sクラス冒険者としても、十分な報酬。

そして黒龍討伐の名誉を得ることができた。


リチャードは、今回の冒険は大成功だったと満足しながら、仲間たちとはしゃぐ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・



・・・・・・



・・



リチャードたちは、ジミナ村に到着して、すぐに異変を察知した。


あふれる、血の匂い。


なんだ?


何が起きた?



素早く気配を探る・・・・何の気配も感じない。。


勇者たちは視線で会話をする。


ローランを先頭にして、村に素早く駆け込む・・・





村には、人がいなかった。


正確には、生きている人間がいなかった。


村人は、全て殺されていた。


勇者たちは戸惑う。


魔物のしわざに間違いはなさそうだ。


しかし、こんなにきれいに魔物が人を襲うなど、ありえない。

魔物が村に侵入することは、よくあることだが、手当たり次第に暴れたり、人を殺したりするだけで、たいていは常駐の冒険者に討伐される。

村が全滅するなどという話は、まず聞いたことがない。


ゴブリンの襲撃で村が全滅した話はあるが、勇者たちが村を出発したのは昨日のことだ。

そんな短期間でゴブリンが村を襲撃し、そして引き上げるなどありえない。




Sクラス冒険者の気配探知は伊達じゃない。

魔物の存在はもちろん、生きた人間がいれば、隠れていてもすぐわかる。


勇者パーティ4人で村を探索したが、魔物も、生きた人間も、生きてるものは何ひとつとしてなかった。





いや・・・・それどころか・・・・・・





「ねぇ、リチャード、気がついた?」


青髪三つ編みの僧侶テレーゼが話かけてくる。


「ああ、誰一人生き残っちゃいねぇ。。。 くそ、なんなんだ、魔物のやつら!」


「そうじゃない・・それだけじゃないのよ。。 食料品がないのよ・・」


「は? そんなわけないだろ? みんな毎日メシ食って生きてるんだ。そんなバカなこと あるわけないだろ?」


「探してみてよ! 何もないのよ!」


テレーゼに言われて、あわてて村の家の食料庫をあさる勇者たち。


片っ端から、民家の箪笥や棚を漁る。


何もない・・・


どころか、水がめに水すらない。


「おいおい、どういうこった?」


勇者リチャードも、焦りを隠せない。


「井戸もダメだったわ・・・・」


魔法使いのマーシャが顔を引きつらせて報告してくる。


「毒を入れたうえに、汚物までいれてくれちゃって・・・まじサイテー・・・」



「あの、今夜のメシは・・・・?」

ローランが悲しそうな目をして聞いてくるが、誰も答えなかった。






「今夜は、ジミナ村に宿泊、朝イチでとなりのキタキタ村に移動する。」


リチャードが方針を決める。


「うげぇ、今夜は飲まず食わずかぁ・・・・」

ローランが悲しそうにつぶやくが、マーシャに冷たい目で見られて、黙る。



宿屋の主人とおかみさんの死体を隣の民家に移動させる。


弔うことができない俺たちを許してくれ・・・

そう思いながら、宿屋で宿泊する。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・



・・・・



「みな、眠れなかったか・・・」

リチャードは、疲れた顔をしているマーシャとテレーゼをみてつぶやく。


リチャードも、ウトウトしたものの、怒りと不安が入り混じった不快な感情を鎮めることができず、眠れなかったクチである。


ローランだけは、ぐっすり眠っていたようだが、お腹がすいたのか、ずっと悲しそうな表情をしている。





気配を感じた!



リチャードは素早く呪文を唱える

一筋の雷光が虚空をつらぬき、黒いカラスを撃ち落とす。


「こいつは、、、、ヤタガラスか・・・」


ヤタガラスは、カラスの魔物であり、戦闘力はほとんどない。

よほど初級の冒険者や一般人でなければまず苦戦することのないザコの魔物だ。


そいつがなぜ・・・・・わざわざこの村の中に存在している?


まるで俺たちを偵察しにきたみたいじゃないか・・・・



不気味さを感じながら、勇者たちはジミナ村を出発する。


キタキタ村まで、1日あれば到着するだろう。



だが、、、、


キタキタ村までの道中に存在する休憩用の山小屋が、真っ黒に燃え尽きていた。


リチャードは確信する。


自分たちはワナにはめられようとしている。


急いでキタキタ村に向かう勇者たち。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・



・・・・





キタキタ村は、血の匂いはしなかった・・・


何もなかった・・・・


生きているモノも、死体すらも、何もない。


あるのは無機物だけである。


何だ?


勇者は悪い夢でも見ているのじゃないかと、倒れそうになる。


Sクラス冒険者として、いかなる危機、いかなる状況においても冷静さを失うことがなかった勇者が、追い詰められて動揺している。


「ははっ、なんだよこれ・・・・・・・」


勇者からは、乾いた笑いしか出てこない。


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