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異世界牛丼  作者: まさゆき
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冒険者ギルド

冒険者ギルドは、商人ギルドにほど近い場所にあった。

商人ギルドがこざっぱりとした木造建築だったのに対して、冒険者ギルドは石造りの頑丈な建物であった。


これは、中で冒険者たちが小競り合いをしても建築物に被害がでないように配慮された結果である。


道すがら、熊っぽいイシュメルが仕事の内容を解説してくれた。


冒険者が森に入り、薬草が生息している場所に案内してくれる。


森には、ゴブリンやいっかくウサギなどの魔物が生息しているため、一般人は原則立ち入ることはできない。

しかしながら、冒険者自身が薬草をちまちま採取するのは効率が悪い。

冒険者を一人育成するために要する訓練やコストを考慮すると、草むしりのような誰でもできる仕事は外注したい。


そこで、冒険者ギルドの職員が商人ギルド前の日雇い労働者をスカウトして、薬草採取に同行させているらしい。



「そうだな、パーティにもよるが、冒険者3人くらいだったら、薬草採取のバイト2人くらいがついていく感じだな。」

熊っぽいイシュメルが解説をしてくれる。



「それから、この仕事の重要性についても教えておこう」


薬草の値段は、日々刻々と変動する。

例えば、大規模な魔物の侵攻があれば、冒険者や一般人が買い増しをするうえ、投機目的の資金が入るので、薬草の値段は高騰する。

あるいは、夏の異常気象で薬草の生育が悪く、どこを探してもないときも薬草の値段は高騰する。


一方で、何もなければ、冒険者以外に薬草を必要とするのは、医者くらいである。

薬草など、怪我をしなければただの草であり、二束三文で売られることも多い。


冒険者ギルドでは、このような価格変動を望ましいものと考えていない。

いざというとき、冒険者が薬草を入手できない事態を回避するために、定期的に薬草を採取し、倉庫に在庫を保管している。

倉庫の在庫は、冒険者ギルドが必要だと考えた冒険者に優先的に配給されるシステムになっている。


「つまり、お前がやる仕事は、いざというとき冒険者たちの役に立つ仕事なんだ。

 冒険者たちは、魔物から街を守る。 その冒険者たちを守るのが、お前がいまから採取する薬草になるんだ。

 今日、薬草を摘むことがみんなを守ることにつながるんだよ。」


熊っぽいイシュメルが解説をしてくれる。

どうやら、この男、親切なうえに仕事熱心である。

バイトにもちゃんと仕事の意義を教えようとするその姿勢は素晴らしいものだ。

磯部は素直に感心しながら、聞いていた。


磯部の牛丼屋も、トラックの運転手や工場の夜勤に安価でおいしい牛丼を提供していた。

彼らは、まちがいなく日本を支える労働者たちであり、彼らを支えるのが磯部のつくっていた牛丼であった。


異世界でも、仕事って大事なんだなぁ。

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