表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界牛丼  作者: まさゆき
22/22

タルミッタ 攻防戦3

エリス、アドルフ、磯部の3人パーティは、

アドルフの特製ピロシキと、ビーフジャーキーを食べながら今後の方針を相談していた。



エリス:「まずは、状況を整理しましょう」




1.磯部、アドルフ、エリスの3名は、ゴールドマン=ハロルド商会に命を狙われている。

 

2.ゴールドマン=ハロルド商会は、エスタミルの冒険者ギルドとずぶずぶの関係である。

   冒険者ギルド間の結束は固い。

   従って、タルミッタの冒険者ギルドも、磯部たちと敵対すると考えるのが妥当。


3.冒険者ギルド間には、通信士がおり、重要な情報は共有されるシステムがある。

   タルミッタの冒険者ギルドにも、磯部、アドルフ、エリスの3名を拘束するよう依頼がされていると考えるべき。


4.一方で、通信士は文字情報しか伝達できない。

   従って、現状ではだいたいの雰囲気しか伝わっていないと考えられる。


5.冒険者ギルドは、勇者リチャードの消失事件で人手不足である。

   タルミッタの冒険者ギルドが積極的に磯部たちを捜索するとは思えない。


6.タルミッタは、ドラゴンの襲撃を受けている。

   この襲撃は、勇者リチャードの消失事件と何らかの関係がある可能性が高い





エリス:「ざっとこんなところかしら。」



磯部:「こうしてみると、タルミッタのギルドの連中は、我々の顔を知らないんですよね。

少し変装でもしたらわからないんじゃないですか?」


アドルフ:「だよな! 特に、俺たちの情報は文字だけだと、デカい女1人と中年男性2人の3人組ってなるよな。

つまり、エリスが男の格好をしたら、それでもう捜査範囲からはずれるんじゃないか?」


エリス:「!? それだ! そうしよう!

アタシがこの家にある冒険者の服を借りて男の格好をしたら、たしかにバレないな」


エリスが、若干失礼なアドルフ案にすぐに賛成した。


磯部:「それはそうと、ドラゴンの襲撃ってやつ、これはどう対処しますか?

さすがに、ずっとこの家に引きこもってるのは、ちょっと危ない気もします」


エリス:「ドラゴンの襲撃については、情報が足りない。

情報を集めるために、外に出る。

村人に混じって一般人のふりをして情報を収集するよ」


磯部:「そうしましょう!」


アドルフ:「それじゃ、準備しますかね」






タルミッタには、東西南北の4か所に大きな広場がある。

磯部たちがいるのは、タルミッタの西の端だったので、ひとまず西側の広場にいってみることにした。


タルミッタの西側広場には、すでに住民たちが不安そうな顔をしながら集まっていた。


磯部、エリス、アドルフの3人は、集まっていたタルミッタの住人たちから情報収集を行う。




・ドラゴンによる襲撃を受けた場所は、物流倉庫地帯、王の兵士の武器庫と食糧倉庫が密集している場所

・爆発音は、魔法が使えない王の兵士用のバクダン石がドラゴンの炎で誘爆した音

・冒険者たちがドラゴン迎撃に向っている

・念のために避難はするが、冒険者がドラゴンを退治すればすぐに戻る予定

・ドラゴンの襲撃自体は怖くない。怖いのは食糧倉庫が被害を受けたために発生する食料品の値上がりである


 

街の住人に聞いたところ、

  一応避難はしてるが、そんな大した事態じゃない。

  すぐに冒険者がドラゴンを追い払っておしまいだ。

というのがだいたいの意見であった。


さらに、襲撃場所、タルミ湖に近い住民でも避難せず、家にこもっている者もいるようである。




アドルフ:「あんまり大したことないんじゃないか?」


磯部:「う~ん、でも、襲撃場所が武器庫と食糧倉庫なのが気になります。

兵站から攻撃するって、これ、めちゃくちゃ人間くさいですよね。


普通の魔物の襲撃なら、街を真正面から攻撃するとか、

奇襲するにしてもタルミッタの街の中心にある教会とか太守の館とか街の広場とか、

そういった目立つ場所を攻撃して占領するかな~って思うんですよね。


武器を焼いて食料を焼いて、敵を弱らせてから叩くって、

めちゃくちゃ計画的にタルミッタを攻撃している感じがします。


魔物ってそんな襲撃をするんでしょうか?

なんか、こう、魔物たちがまとまって襲撃するにしても、こんなチマチマしたやり方はしないような気がします。」


エリス:「・・・・・・・・・イソベの言う通りだ。

今回の襲撃は、通常の魔物の襲撃とは違う。


街が魔物に滅ぼされるケースとしては、スタンピード、

魔物の群れが街に向かって暴走し、街が全て魔物に飲み込まれるというものがある。


スタンピードの場合、いきなり魔物の群れが街に突っ込んでくる。

今回のように、武器庫と食糧倉庫をピンポイントで狙うようなことはしない。」


アドルフ:「えぇ、じゃあ、、、、結局、どういうことだってばよ?

魔物がいきなり賢くなって、計画的にタルミッタを襲撃しようとしてるってことか?」


磯部:「そうですね・・・ タルミッタのことを詳しくは知りませんが、

食料を焼いてタルミッタを兵糧攻めにするとか?」


エリス:「普通の街なら、食料不足で飢饉が発生して住民同士の殺し合いが始まったりするだろうけど、

タルミッタではそれはありえないよ。


タルミッタはタルミ湖の湖岸にある街だ。

船で湖岸の村や街にアクセスできる。

食料を焼かれれば、確かに痛手だが、船による食料輸送が可能だ。


普通に森を人や馬で食料を運ぶとしたら、街一つ分の食料を他の街から持ってくるなんて不可能だけど

船を使えば、食料を迅速に、それも街一つ分ほどの大量の食料をもってくることは十分可能だ。


だから、住人たちも食料の値上がりは心配してても、

食料がなくなることまではぜんぜん心配してなかった。


王の兵士たちの武器も船をつかって補給することは可能だから、

武器と食糧が焼かれても、1週間もすれば、元に戻ると考えていい。

人間、水さえあれば1週間程度なら食わずに生きていける。


兵糧攻めはありえないよ」


磯部:「魔物側にドラゴンがいたら、その食料を載せた船を襲撃するんじゃないですか?」


エリス:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

アドルフ:「タルミッタ、やばいじゃん!」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




・・・・・




磯部たち3人は、タルミッタ西の広場に腰を下ろして休憩することにした。

広場には、避難してきた街の住人たちが、思い思いにすわっている。


とはいえ、みな悲観しているわけでもなく、

酒を飲んで屋台の焼き鳥を食ってといった感じで

お祭り騒ぎになっている住民たちもいる。




磯部は、思う。


自分に足りないのは、こういう危機や悪い状況でも、

それでも図太く楽しむような、そんなタフさだろうと。


小心ものなので、どうしても避難していると、

意識がネガティブ側に集中してしまう。


例えば食料がなくなって、住民同士が食料の分配で揉めるだろうとか

食料が不足する場合、他の街に移動した方がいいんじゃないだろうかとか

いつごろ食料が不足するのだろうか、

そもそも、魔物の襲撃はあのドラゴンだけなのだろうか?とか

いろんなことを常に心配して、今を楽しむことがほとんどできない。



ドラゴンから避難しているはずなのに、

楽しそうに宴会をしている住人たちをみて、

たしかに、今できることなど何もないのだから、

酒を飲んで、焼き鳥を食って、お祭りのように楽しむ

それはとても合理的に思える。


自分のように、

発生してもいない危機を心配して、

ああでもない、こうでもないと不安がって

それでも何も行動しないような

そのような人間よりは、やれることがないからないで、

酒を飲んで楽しむ彼らの方がずっと合理的だ。


自分の人生がうまくいかないのは、この点に原因があるのかもしれない。


とか、答えのないことをぐるぐると考えていると





武装した兵士が息を切らせながら走ってきた。


「逃げろ・・・・・・・・・・・・魔物の襲撃だ!・・・・・・・早く逃げろ!・・・」


どよどよと、広場に集まっていた住民たちに動揺が広がる。





住民A:「はぁ? どういうことだよ! ちゃんと説明しろよ!」


兵士:「だから、魔物 襲撃 にげ・・・」


住民B:「急に逃げろ、とか言われても、どうしろってんだよ!」


住民C:「そうだそうだ、 そんなあいまいなことを言われても、具体的にいってくれんとわからねーし」


住民A:「そもそも、俺たちの街を守るのがお前ら兵隊の仕事だろ!いったい何をやってたんだよ!」


わらわらと兵士を取り囲む住民たち。


その一方で、街の中心部にあわてて走る住民たちもいて

中心部への道が人で埋め尽くされ、閉塞する。



大混乱になった、タルミッタ西側広場をみわたしながら、

呆然とエリスに問いかける磯部。


磯部:「これ、どうします・・・・?」


エリス:「・・・・・・・・・・・どうしようもないね・・・・」


アドルフ:「なんか、霧がでてきたなぁ。」


いつの間にか、うすいもやのような、うっすらとした白い霧が漂う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ