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異世界牛丼  作者: まさゆき
2/22

異世界転生

磯部の朝は早い。

磯部の勤める、すきすき屋 大倉山駅前店は24時間営業である。

朝勤、夕勤、夜勤の3交代だ。


 朝勤:8:00~16:00

 夕勤:16:00~24:00

 夜勤:24:00~8:00


副店長である磯部は、名ばかり管理職である。

労働時間は無制限


それゆえに、夜勤~朝勤の引継ぎにでるよう7:00には出社している。

そして、客足が落ち着く22時ごろまで店にいる。

だいたい15時間勤務である。


物理的に店以外にいる時間よりも、店にいる時間のほうが長い。


今日も、磯部は中古のワゴンRで大倉山駅前店に通勤していた。

時間は午前6:40 車はまだ空いておりほとんど通っていない。


磯部が法定速度+10kmぴったりで軽快にワゴンRを飛ばしていると、

いきなり大型トラックが空から降ってきた。


ちょうどそこは、上に高速道路が通っていた。


高速道路のガードレールを突破して、居眠り運転の10トントラックが落ちてきたのである。

ちょうど、運悪く、道路がガラガラなのにも関わらず、見計らったように10トントラックが磯部のワゴンRのちょうどピッタリ上に降ってきたのである。


磯部は、何も認識できずに即死した。





あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!


おれは、勤務先の牛丼屋に出勤しようとして、愛車のワゴンRを運転していた・・・


そしたら、気が付いたらコミケ会場に突っ立っていた。

 

な… 何を言ってるのか わからねーと思うがおれも何がなんだかわからなかった… 




磯部は、異世界に転生していた。


磯部は、出不精でかつ友達もいないので、コミケになど行ったことがなかった。

それでも、毎年コミケのあとには、ネット上でレイヤーたちの写真が出回るので、それをなんとはなしに眺めていた。


コミケのレイヤーが多数いる世界、いわゆる異世界に転生していたのである。




「あ、あの~、すいません」

磯部はひょろっとした商人風の男に声をかけた。


「?」


「ここって、東京ですか?」


「トウキョウ・・・? いや知らねぇなぁ。 ここはエスタミルだぞ。 にいちゃん、変な服着てるな、何もんだ?」


「東京じゃない!? エスタミル??」


磯部は混乱した。


磯部が混乱している間に、男は去っていった。



その後、磯部は、様子をみることにした。


エスタミルの街を歩き回る。


そうして、ようやっと自身の立場を理解した。


異世界に転生したのだと。



・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・



・・・・





磯部は恐怖した。


いきなり知らない世界に放り込まれて、いったいどうしろというのだ。


おれは、ずっと人に指示されて生きてきた。

親が言うから、学校へ行き

世間が就職しなければならないと圧力をかけるから、がんばって就職した。

世間が石の上にも三年、仕事をすぐ辞めるのはよくないと言うから、我慢してずっと仕事を続けた。

世間が転職するのはよくない、職場に迷惑をかけるのはよくないというから、職場に不満があっても仕方なく我慢して働いてきたのだ。


それを、いきなり異世界に転生させられるなど・・・

一体俺はどう生きていったらいいんだ!?


今まで自分の意志で、人生の選択肢を決めたことなどなかった。

いつも世間がいうから、こうしないと怒られるからと

そんな基準で生きてきた。


その世間がいきなり、消えてなくなってしまったのだ。


俺には、もう何をどうしていいかわからない・・・・・


磯部は、いままでの人生を激しく悔いた。


涙を流して悔いた。




そうこうしているうちに、日が暮れてきた。


磯部は悄然として、町の片隅を歩く


「すいませ~ん、ちょっといいですか?」


振り向くと、にこやかだが目つきの鋭い武装したマッチョが話かけてきていた。


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