暗夜行路2 タルミッタ
翌朝、深い森に足を踏み入れる、
エリス、アドルフ、磯部の3人パーティ。
タルミッタは、湖のほとりにあるエスタミルより規模は小さいものの、
一通り街の機能はそろっている小都会らしい。
街の中心にイオンモールがある田舎町
大牟田市みたいなイメージかなと、勝手に磯部は想像している。
いや、どちらかというと、湖のほとりなんだから、滋賀県のどこかだろうか?
しかし、残念ながら磯部は滋賀県にいったことはなかった。
そんなことを考えながら、エリスの後ろをてくてく歩いていると、エリスがつぶやく
「おかしい・・・・・・」
コミュ障な磯部が、
これは話かけた方がいいのだろうか?
それても、流していいんだろうか?
どっちがいいんだろうか?
と迷っていると、エリスが独り言を続ける。
「魔物がぜんぜんいない、、、」
「魔物がいないんだったら、最高じゃねえか!」
アドルフが元気よく返事をする。
「そりゃそうだけどさ、、
でも、そんなことって今までないんだよ。
何かがおかしい・・・」
「例の、勇者リチャードの消失事件と何か関係があるんでしょうかね?」
話を切り出すタイミングを迷っていた磯部が
あわてて話かける。
「わからない・・・
それでもいつもと違うってのは、不気味だねぇ。」
「はは! エリスのようなベテラン冒険者でも
いつもと違うと戸惑うんだな。
いいじゃねぇか!
予定よりもタルミッタに早くつけるぜ!」
「そうだねぇ・・」
自分自身の話がなんとなく流された感じになって
ちょっと寂しい気持ちになりつつ、
磯部はもくもくと歩く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
結局、魔物と一回も遭遇することなく
タルミッタに到着した。
「はぁ、、、ようやく到着しましたね!
じゃあ、さっそく宿に行きましょ・・・・・・・・・・・・」
「はい!アウト!
アタシらゴールドマン=ハロルド商会に命狙われてるんだよ!
宿に行ったらこちらの動きがバレバレじゃないか!」
磯部のクビを後ろから腕で軽く締め付けるエリス。
磯部は少しだけうれしそうにしている。
アドルフが、ちょっとうらやましそうに見ながら、
「え? でも、それじゃ、今日の宿はどうするんだ?」
と問いかける。
「そいつは、、、
まぁ、非常事態だ、致し方なしさ」
とエリスが返す。
ついて来い、とエリスの指示に従って
カルガモの子供のように、エリスに付き従うアドルフと磯部。
エリスは、湖のほとり、街のはずれにある
小さな一軒家をさがす。
「この家は、ダメだな・・・」
何軒か街はずれにある家をめぐる。
「! ここだ!」
エリスはそういうと、
まわりを少し見て、
剣を抜き、
キィン!
と家の玄関扉を切り開ける。
家をめぐっている最中から、
なんとなくエリスの意図を察知していた
アドルフと磯部は、無言である。
「さあ、今日はここに泊まるよ!」
後ろめたい表情をしつつ明るく言うエリス。
「そ、そうですね!
そうしましょう!」
「おお~、なんかよさげな家だよな。
くつろげそうだ~♪」
明るく返事をする
磯部とアドルフであった。
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・・・・・・・・・・
・・・・
この家の家主は冒険者だった。
ポーションや魔石などの冒険者の必須アイテムが常備されていた。
さすがに、高価な魔石や魔法武器などは気が咎めるので遠慮したが
ポーションと薬草をいくつかもらっていくことになった。
また、非常食などもそろっており、夕飯にも困らなさそうだった。
「ふんふん、勇者リチャードの消失事件の捜査に駆り出されたクチだねぇ。
おそらく当分かえって来ないとは思うけど、長居は無用か。
まぁ、今日はもう遅い。ゆっくり休もう!」
野宿続きで疲弊していた、アドルフと磯部は心底うれしそうであった。
人さまの家に勝手に上がり込んでゆっくり休むなど
犯罪もいいところだが、背に腹は代えられない。
磯部もアドルフも、そこを深掘りするつもりは1mmもなかった。
「じゃあ、アタシは温泉いってくるわ!」
エリスがそういう、
「温泉!?」
磯部が驚く、
てっきり、この家に引きこもって明日まで過ごすのだと思っていた。
「俺も行くぞ!
磯部もいくだろ?」
アドルフが手を挙げる。
温泉なんてあったのか・・・
しらなかった!
コクコクコクとうなずきまくる磯部。
「あんたらも行くのか・・・・
まぁ、しょうがないかぁ・・・・・」
なんとなく、ちょっとテンションが下がっているエリス。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・
エリス、アドルフ、磯部の3人は、温泉にいった。
温泉は混浴だった。
磯部は、いろいろな意味でしあわせになった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・
「「ふぅ・・・・・・・・・・・・」」
満足してくつろぐ、磯部とアドルフ。
「あんたら、、、、」
しあわせそうで心底うらやましいわ
と嫌味がクチに出てくる前に押さえるエリス。
ひとまず、今日のところはゆっくり休むしかない。
そうエリスが考えていると、、、
ドゴオ・・・・・・・・・・・・・・・
いきなり、爆発音が聞こえてきた。
何ごと!?
と外に出るエリス、アドルフ、磯部
外を見ると、遠くに大きな火柱と、
そして空を飛ぶドラゴン。
遅れて、カンカンカンカンと
甲高い鐘の音が聞こえる。
「敵襲!! 敵襲!!」
わらわらわらと離れた住宅地から、村人たちが出てきている。
「ドラゴン・・・ですか?」
「ドラゴン、だな・・・」
呆然とする磯部とアドルフ。
エスタミルを飛び出したからというもの、ろくにゆっくり休めてない。
カンベンしてくれと思いながら呆然とする磯部。
「はぁ、、、、、、、」
ため息をついて、家に戻るエリス
「ちょ、、なんか、避難とかしないんですか?
カンカン警報なってますけど?」
エリスに問いかける磯部
「はぁ、、
魔物の襲撃・・・
まさか、タルミッタに来るとは・・
ちょっと頭を整理しなくちゃね
ひとまず、ご飯をたべましょう」
「えぇ、でも、、、」
「うちらにできることは現状ないわ。
もし勇者リチャードの消失事件と関係があるとしたら、、、
いいえ、とにかくタルミッタに魔物の襲撃があったということは、、、
すでにフロンティアは落ちたと考えるのが、、、
とにかく、頭を整理しなきゃいけないわ
すぐに魔物の大群がくるわけじゃない。
タルミッタには、王の兵士も冒険者たちもいるんだから
すぐにどうこうなるはずもないわ」
「まぁ、腹が減っては戦はできぬ!
いつだって、メシを食うのは大事なことさ!」
そういって、台所で調理をはじめるアドルフ
非常用の保存食だけで、豪華な料理を次々と出す。
カンカンカンカンと警報が鳴るなか、
アドルフの提供するごちそうをモクモクと食す
エリス、アドルフ、磯部の3人パーティであった。




