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異世界牛丼  作者: まさゆき
15/22

エリスとの再会

磯部が異世界に転生してから、1年が過ぎた。


アドルフ・ハロルド・イソベ の商会は、実質的にハロルドが経営する商会になり、名前をゴールドマン=ハロルド商会に改名した。


磯部はゴールドマン=ハロルド商会の重鎮として、エスタミルでもトップ10に入る大金持ちになっていた。


ゴールドマン=ハロルド商会は、最初の卵かけごはんを皮切りに、事業を次々に拡大していった。



磯部が卵かけごはんの次に目をつけたのは、繊維産業であった。



磯部の元居た世界、ニッポンが存在した世界では、

産業革命という人類の転換点が存在した。



磯部の世界では、

最初の農業革命により、人類は小麦の奴隷となり、

次の産業革命により、人類は機械の奴隷となった。

そのまた次の情報革命により、人類は物理的に存在しない”カネ”の奴隷となる。



人類の歴史を塗り替えた産業革命は、繊維産業から始まった。


磯部は、産業革命をこの世界で起こすことにした。


歴史の授業で学習したとおり、

飛び杼により、機織りの効率を上げ、

水車を利用した紡績機により、糸をつくる効率を上げて、

布を安価に大量生産することに成功した。


成功することがわかっている大発明である。

この発明は、当たり前のように、莫大な利益をゴールドマン=ハロルド商会にもたらした。


ゴールドマン=ハロルド商会は、機織りの利益を

飲食業、繊維産業に再投資するとともに、

不動産事業や、金融事業にも手を出した。


エスタミルの街を裏で支配するのは、ゴールドマン=ハロルド商会

そうなるのは時間の問題であった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・



そのようなとき、

料理屋の店主、商会の飲食業担当重鎮アドルフが凶刃に倒れた。


どうやら、エスタミルでのゴールドマン=ハロルド商会の勢力拡大を気にいらない者たちが存在するらしい。


ハロルドが既得権益者とは揉めないように、最大限注意を払って努力していたものの、それにも限度があった。


幸い、アドルフの命に別状はなかったものの、

磯部もおちおち、外を自由に歩くことができなくなった。


ハロルドから、冒険者ギルドから腕利きのボディガードがつくとの話をきいた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ガチャ!


「邪魔するぜ!」


大柄な甲冑を身に着けた女が磯部の家に入ってくる。


あれ?

どこかで見たことあるような・・・


磯部は、新しい発明や事業の構想で、

多忙を極めていたから冒険者ギルドを訪問することはなくなっていた。



「・・・・・・・・・・・・・・・・エリス?」


「おう!」


ニッコリと大柄な女、エリスがほほ笑む。


「久しぶりだな! イソベ、懐かしい~~」


ぶんぶんと握手して手を振るエリス。


磯部は思う。


そうだった、俺はこの世界に来て最初に冒険をしたのは、

このエリスとだった。


エリスは変わらず元気であった。


「・・・・・そうか、エリスがボディガードを引き受けてくれたのか。」

 

「おう! 24時間、つきっきりでガードするぜ!」


「・・・・・・・・・・・・? うん、24時間つきっきり?

 いやいや、外出するときだけとかじゃなくて??」


「そりゃ、あんた、

 このエスタミルの街で一番の大金持ちだろ?

 世間じゃあんたの資産は100憶ギルを超えると言われているんだぜ?


 そして、ゴールドマン=ハロルド商会を恨んでる奴らはたくさんいる。

 特に、繊維産業の職人たちが大量に失業しているし、

 相当な恨みをゴールドマン=ハロルド商会は抱えているんだよ。


 だから、ゴールドマン=ハロルド商会は、冒険者ギルドの最重要お得意様なんだ。

 

 ここだけの話、気にくわない奴、邪魔な人間を暗殺すらしてるって噂まである・・・」


「は?

 いや、そんなことする必要はないだろ?

 卵かけごはんとか、繊維産業とか、まっとうな商売をするだけで十分に競争力があるはずだ。

 うちらの機械は、圧倒的に効率がいいからな」


「まぁ、あんたがそんな大それたことできる人間じゃないってのは、私はよくわかっているよ。

 それにあくまで、うわさだよ、うわさ。」


「そうか・・・」


「なんにせよ、あんたのことは、きちっと守ってやるから、安心しな!」


エリスは明るい。






「そういえば、長髪のイケメンと、パツキンの美女はどうしたんだ?」


「・・・・・・ジャックとミリアムのことね。

 一緒に旅した仲間でしょう、覚えておけよ・・」


磯部はコミュ障なので、人の名前を覚えるのが苦手であった。


エリスはちょっと呆れたような顔をしながら、話をする。


「最近、高ランクの冒険者たちが次々と魔物にやられる事件が発生しているんだけど・・・・

 て、お前さんまさか、最近の魔物たちの動きをしらないってわけ?」


「・・・・・・・・忙しくて・・・・・・・・・・・・・・」


「オーマイゴッド! なんてこと!?

 そんな人間が存在するなんて!

 いっとくけど、人類の危機やで!」


なぜか、テンションを上げるエリス。


「い~い?

 半年前、Sクラス冒険者だった勇者 リチャードのパーティが消えた・・

 いえ、勇者リチャードのパーティが滞在していた地域が根こそぎ消滅したのよ。」


「!?消えた?

 消えたってどういうことだ?」


「わからない。

 勇者リチャードたちは、北の山脈に黒龍討伐に向かっていた。

 北伐の最中に消失したの。

 同時に、ジミナ村とキタキタ村もこの世界から消えたのよ。

 ジミナ村やキタキタ村から行商に来ていた商人たちも、故郷の村に戻れなくなった。

 まるで、最初から村が存在しなかったかのように、跡形もなく、文字通り”消えてしまった”。」

 

 

「村が消える?

 そんなはずないだろう?

 家とか教会とか、建物があるだろう。

 そんなものが、ごく短期間のうちに消えるなんてありえない。」


「そうよ。

 ありえない。

 でも現実に起こったことよ。」


「ムムム・・・・・・・

 そういえば、そんな現代版の神隠し事件がどうのとか、小耳にはさんだ記憶があるな。

 どうせ都市伝説だとおもって、まじめに聞いてなかった」


「あんたね・・・・

 実は、同じような事件がもう1回起きたの。

 Sクラス冒険者だった、勇者コウメイのパーティが消えたのよ。

 彼らも周りの村ごと消滅したわ。」 


「それって、勇者がいたら巻き添えで消されるってことじゃ?」


「そうね、だから冒険者ギルドは情報統制をしいて、勇者コウメイの件はひた隠しにしているわ」


「え?じゃあ、エスタミルとか都市内部で、みにくい権力争いをしている場合じゃ無くね?」


「そうよ!

 いまさら、何を言ってるの?

 ジャックとミリアムは、勇者消失事件の調査に向かっているわ」


「エリスはいいのか?」


「・・・・・・・わたしはね。

 ばあやの治療費をゴールドマン=ハロルド商会に借りちゃったから。

 借金を返し終わるまでは、商会の言うことを聞かなくちゃいけないの・・」


ちょっと弱気な表情を見せるエリス

心なしか、口調もなんだか女っぽくなっている。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・



・・・



磯部は思いだした。


繊維機械を商人ギルドを牛耳る長老たちに紹介して、多額の出資金を獲得した後のことだ。


普段、酒をのまない磯部もこの日ばかりは

重要なプレゼンからの解放感もあってか、調子にのってカパカパ飲んだ。


いつの間にか、ハロルドと、莫大な長老たちからの出資金の使い道について話をしていた。


「ハロルド~ 

 俺はよう、確実にもうかるアイディアがあるんだよ~」


「おっ、イソベ~~~

 さすがだな~、お前は天才だよ!

 愛しているぜイソベ~~~」


「ちょ、男はダメなんだよ。

 俺がよ、やりたいのはよ、高額医療と消費者金融の組み合わせビジネスなんだよ」


「ふんふん・・・」


「例えばよ、エスタミルではよ、重篤な肺の病の治療をできるのはよ、

 貴族や俺たちみたいな貴族とコネを持つ、大金持ちだけじゃんよ。

 一方で、聖職者の連中は、病人の治療もせずに毎日祈ってばかりいるわけじゃんよ。

 あいつら、回復魔法使えるから、肺の病を治療できるはずなんだぜ?」


「そりゃ、、、

 そうだよな。 なんであいつら治療しないんだろ?」


「まぁ、聖職者が治療に専念しだしたら、

 冒険者たちのサポートがなされないとか、いろいろあるんだろうが、

 そいでもよ、世間には野良の回復魔法を使える僧侶とかいるわけじゃんよ。

 大金を払えさえすれば、ほとんどの病気を治すことは可能なんだよな。」


「・・・・・・・・・・・その通りだよ、イソベ」

いつの間にか、ハロルドは真剣な表情になっている。

磯部は、その変化に気がつかない。


「でさぁ、例えばさぁ、

 うちの商会の裏会社がさ、野良僧侶を紹介するシステムと

 その治療費を貸し出すサービスを同時に提供したら、スゲーもうかると思わないか?」


「いや、イソベ、カネをどうやって回収するんだよ?

 踏み倒されたら終りじゃんかよ?」


「もちろんよ、もちろん、担保に家とかをいただくことは当然するんだよ。

 でさぁ、僧侶の治療のいいところはよ、

 加減がきくってことなんだよ。

 つまり、わざと病気を完全に治さないんだよ。

 1年とか2年とか、なんなら一生とか、そんな感じでうちの病院なしじゃ生きていけない状態を作るわけよ。

 そしたら、逃げられねぇだろ?」


「うぇ~、なんてエグイことを考えるんだ、イソベ!

 お前は天才だよ。愛してるぜ~、イソベ!」


「そう、そしたらさぁ、

 借金のカタによ、

 やりたいほうだいできるんだぜ!


 合法的な奴隷のつくり方やで!

 債務奴隷ってやつさ!」


「イソベ~~

 お前、わるよのう・・・・・・・・・・・」


「なにをいうんだ。

 悪くなんてないさ、 

 今まで死んでたはずの病気を治療できるんだぜ!

 こいつは、社会貢献、命をたすける事業なんやで!」


「いや、お前は恐ろしい男だよ、イソベ・・」

ハロルドが陰鬱な表情を見せながら、ぽつりとつぶやく。






そんな感じのやりとりをしたことがあったなぁ。。。


ハロルドのやつ、まさか・・・・・・・・・・

俺が、エリスによこしまな思いをいだきながら、消費者金融事業を構想していたのを見抜いていたのか!?

あいつは、思考盗撮の能力者なのか?

だからあんなに頭が切れるのだろうか?



エリスをよく見ると、

なんだかすこし恥ずかしそうにもじもじしている。



そういうこと、

オーマイゴッド!

・・・・・・・・・ハロルド・・・・・



・・・・・・なにこれ、「思考は現実化する」って

自己啓発本かよ!

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