第1の思考 現状分析・主体性の発揮
≪前回までの『悪魔の条件』≫
あなたは鳴かず飛ばずの平凡な会社経営者。
ある日突然、あなたの元に悪魔がやってきました。
「これから俺が出す条件をクリアしてみろ。
出来なければお前の妻、子供、親を八つ裂きにして殺すぞ。」
5年後に2千万円を献上しろ
ただし…
法を犯さず、道徳を重んじ、誠実であり、健康で、
現在、生業としている事業で、
純増させた、税引き後の2千万円を差し出せ
無理やり条件をのまされたあなたは、
これまでの経営のやり方では条件をクリアできないと気付き
利益率を今より圧倒的に上げる方法を考え抜くことを誓ったのでした。
あなたはこれまでの経営のやり方では
悪魔の条件をクリアできないことに気付きました。
利益率を今より圧倒的に上げる方法か…。
あなたはつぶやきましたが、そんな方法が簡単に分かるはずありません。
あったらとっくにやっています。
では、同業者であなたより何倍もの利益を出しているところはあるでしょうか?
資本力、従業員数など規模が大きければ、そりゃ「利益額」は大きい。
これまでは、単純な比較が出来ないので
自社の実力は計れないと思い込んでいました。
いや、まてよ。
利益額を従業員数で割れば「一人当たりの利益額」が分かるではないか。
これが実力の差ではないだろうか?
あなたは早速、決算書が公表されている株式上場企業のデータと
黒字中小企業の業界別の集計データを使って
分析してみることにしました。
すると、あるひとつの法則が導き出されました。
業界1位の会社の従業員一人当たりの利益額は2位以下の会社に比べて
2倍~6倍多いということ。
なんでだろう。
同じ商品やサービスを売っているのになぜそんなに開きがあるのか?
1位だから効率的な仕組み作りができているということか。
圧倒的な知名度と資金力で経営しているんだろう。
では、中小零細企業はとても太刀打ちできないではないか。
従業員一人当たりの利益額を上げることは不可能なのか…。
しかし、小さい企業でも特色があれば高い利益率を上げているケースもある。
それは大手がマネできない商品や技術を持っているからである。
商品やサービスに特色がない中小企業はどうすれば…??
まず、あなたは、現状分析することができました。
それは、あなたが『弱者』であるという紛れもない現実を把握することだったのです。
ニヤける悪魔の顔が目に浮かぶ…。
「ギリリッ」 自分の歯ぎしりの音が聞こえました。
悔しくてたまりません。
だが、あなたは椅子に深く腰掛け、思考を巡らせました。
大手企業のマネをした経営、経済状況の変化、業界を取り巻く環境…。
これまで、外的要因に大きく影響を受けて経営をしていたことを知ります。
あなたのこれまでの思考パターンはこうです。ワン・ツーです。
刺激(外的影響)⇒反応(社会通念による条件反射的な反応・直接反応)
あなたは愛する家族のために
一時は犯罪者になること、命を捨てることさえ覚悟した男です。
あなたの脳から『投げ出す』や『諦める』という選択肢はすでに消えてしまっています。
視点を変える必要がある…。常識を疑え…。
思考パターンを見直すんだ…。家族を守るのはあなただけしかいないのです。
景気がああだ、ウチの業界はこうだ。
実際のところ、そんな言葉は聞き飽きていました。
エリナー・ルーズベルトはこう表現している。
「あなたの許可なくして、誰もあなたを傷つけることはできない。」
また、ガンジーの言葉によれば
「自分で投げ捨てさえしなければ、誰も私たちの自尊心を奪うことはできない。」
そう、まさに主体性の発揮です。
「作用される」のではない。「作用する」なのです。
「~でさえあったら」ではない。「~になる」なのです。
この思考はあなたの前に悪魔が現れたときに
すでに、礎は出来ていたのかもしれない。
悪魔(外的刺激)対し、普通の男であれば
パニック(社会通念による反応)を起こしていただろう。
あなたは家族への愛の強さから主体性を持って反応していたのです。
そしてあなたは、思考パターンをこの様に変えることを決断しました。
ワン・ツー・スリーです。
刺激(外的影響)⇒選択の自由(自覚・想像力・良心・自由意思)
⇒反応(主体性、進んで状況を改善する行動、率先力)
…ここで、現実に戻ります…
現状、残念ながらあなたは経営者として超『弱者』なのです。
悪魔の条件をクリアできるには程遠いのです。
「上等じゃないか!!」椅子に深く腰掛けていたあなたは飛び出します。
現状の把握……思考の革命……。
あなたはすべての問題において自身が影響できる存在であることに気付きました。
そして、次の思考テーマとして、あなたの脳にキーワードが浮かんできました。
…経営者『 脳 』… …戦略家… …1位主義…
≪次回へ続く…≫