第71話:彼女の私服は
待ち合わせ場所に佇む私のもとにやってきたみやちゃんに「めちゃカワなファッションやんけ……」と、開口一番に褒められた。彼女の心遣いに気を良くした私は、褒め返そうと試みる。しかし彼女の服装に対して『個性的』以外の言葉が浮かばなかった。
「うちの両親、Tシャツ集めが趣味でさ。これはその中から、適当に取ってきたやつ」
戸惑う私の視線に気付いた彼女はそう説明し、身体をねじりながら発光するタコが描かれたTシャツの裾を伸ばす。……うん、自分でも何を言ってるのかわかんないや。
「りーちゃんこそ、えらく気合い入ってるじゃん。私とトモっちを悩殺するおつもり?」
もう悩殺されてるってー、とテンションを急上昇させた彼女に「憧れの人の心を射抜くには、普段からお洒落にも気を付けようと思って」と、自身のこだわりを説明した。
「私が憧れの人の心を射抜くなら、直接的な弓矢を用いて直接的に射抜くかな」
その方が手っ取り早いよ、と笑うみやちゃん。やはり彼女は独特だ。服装も、内面も。
「そういえば、ともちゃんの私服はどんな感じなの?」
「ふふふ、めっちゃすごいよ……そりゃあもう色々なところがポロリ、ボロリと……」
その語調から察するに、それはともちゃんに対する彼女のいじりなのだろう。まあそれはともかく、初めて学校の外で遊ぶ友人の私服姿が気になるのも事実だ。私はまだ見たことない友人の私服姿を想像しながら、みやちゃんとの他愛のない会話を楽しんだ。




