表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/105

第66話:フードファイター

「あの……。もしよければ、私が食べましょうか」

 身の危険を感じるほどの満腹感と、まだ半分以上残っている大盛りラーメンを前に困り果てていた僕の前に、救世主が現れた。彼女は僕の隣に座り、備え付けの箸置きから割り箸を一膳取った。いただきます、と彼女は呟き、品行方正に、しかしものすごい勢いでラーメンの量を減らしていく。その姿を見ながら、僕はここに来た経緯を整理する。

 旅行先で立ち寄ったラーメン屋で、娘のれんげが「大盛りラーメンたべうのー!」と暴れたのが始まりだ。一度言い出すと聞かない彼女に、僕も腹を決めた。れんげをあやす妻にプロポーズした際も、僕は大盛りラーメンを完食したのだ。しかし当時はまだ二十代。今はもう5歳の娘のパパだ。元々少食だったし、三人がかりでも半分しか消費できなかった。そうして残ったラーメンを、救世主が平らげていく。ごちそうさまでした、と言った彼女を、対面に座る妻の志穂さんと娘のれんげは、目を丸くして見ていた。

 彼女は「それでは私は、撮影があるので」と立ち上がった。聞くところによると彼女はフードファイターで、これからこの店で大食い対決の動画を撮影するらしかった。

「こちらの不手際で、お仕事に支障を来すことをさせてしまい、大変申し訳ありません」

 僕がそう言って深く頭を下げると、彼女は晴れ渡る青空のように明るい声で言った。

「このぐらい全然大丈夫ですよ。気にしないでください。私、食べるの大好きなんで!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ