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第65話:今週の分

 私は給食の時間が何より好きだった。大人気のカレーや焼きそばはもちろん好きだし、みんなが嫌がる野菜も喜んで食べたから、ありがたがられた。クラスメイトに「それ美味しくないのに、よく食べられるよね」と言われたこともあったが、別に構わなかった。

 だって私は、その時間にしか幸せを感じられなかったから。

『これ、今週の分だから』

 そう言った母がテーブル上に雑に放ったのは、お徳用パックのシリアル。口に含んだ味のしないシリアルを水道水で流し込むのが私の普段の朝食であり、夕食だった。

 友達の家に遊びに行ったことは一度しかなかった。なぜならその一度以降、母から禁止されていたからだ。原因は、私が友達の家で出されたお菓子にがっついたからだろう。そのことを母に話してから、その禁止令は出された。今思えばそれは、友達の親に『この子は家でロクな物を食べていないのでは?』と勘繰られることを防ぐためだったのかも。それを確認するためだけに、塀の中にいる母に面会に行く気にはなれないけど。

 そして私は今、飲みかけのまま路上に放置されていたタピオカを、涙が出るほど悲痛な思いで回収している。そのまま飲んでしまいたいが、それは良くないことだと私を保護してくれた叔父さんに教わった。だからせめて──私がこの手で後片付けをするのだ。

 感謝されなかった全ての食物に、感謝をしながら。

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