第33話:部活前
「さっき一緒に歩いてた男子、桜川の彼氏?」
同じ女子バレー部の桜川は、私のその言葉に分かりやすく赤くなる。ウブな彼女のことだから多分違うだろうけど、その反応が可愛いからついイジってしまいたくなる。
「えっ、あっ、えっ? み、みにょしくんはそういうのじゃなくて」
顔を赤らめ、分かりやすく狼狽える桜川。みにょしくんはそういうのじゃないらしい。
「もう、沙耶ちゃん……。また私のこと、からかってるでしょ。そういう沙耶ちゃんこそ、彼氏さんとはどうなの? 上手くいってるの?」
よっしゃきた、と私は体操服の袖をまくった。その手の話題で狼狽える私ではない。むしろ話したがりだ。その辺を察して話題を振ってくれる桜川、ほんとマジラブよ。
「どうもなにも、ラブラブよ。そりゃあもう完膚なきまでに。ラブラブ過ぎてむしろ、ロボロボですらある。ウィィィン、ガシャァァン。コノコイ、オーバーヒートデス」
私のしょーもない小ボケにも「なにそれ」と笑ってくれた、心優しき桜川。彼女の厚意に甘えて、私は一学期から付き合っているサッカー部の彼氏がレギュラーになった話を、部活の始まりを告げるチャイムが鳴るまで繰り広げた。
「沙耶ちゃんが幸せそうで、私も嬉しいな」
嫌な顔一つせずそう言った優しい彼女と、これからもっと仲良くなれたらいいな。




