第31話:Cさん
現在うちのクラスは二分している。
人気者のAさんと仲の悪い、これまた人気者のBさん。そのどちらの派閥に属すのかという選択を、それ以外の生徒が強いられている。一方に属せば、もう一方の反感を買うことになる。一学期、対応を誤り標的となったクラスの女子生徒は、転校していった。
「ガキンチョの縄張り争いか。くっだらね。私ならCさんになって、好き勝手やるよ」
僕のクラスで巻き起こっているそんな問題を、大学生の姉は昨晩、そう一蹴した。
「アンタはどうしたいわけ?みんなと仲良くしたいの?その諍いをなくしたいの?」
姉と交わしたやりとりを思い出していたら、今日もまたAさんグループの人から、Bさんグループに対しての悪口を聞かされた。お前もそう思うよな、と問われたところで、姉の『どうしたいわけ?』という問いへの返答と全く同じ言葉を、僕は口に出した。
「……ごめん。正直、全ッッッ然興味ない。本当にどうでもいい」
もともと僕は多人数でつるむより、一人で過ごすことが好きだった。それに、姉が大学で知り合った、マイペースに生きる栗原さんという人の話に感銘を受けたこともある。だから僕は、興味のないことに首を突っ込まないCさんという生き方を選択した。
一瞬の間が空いた後、舌打ちと、ああそう、という言葉をもらって、この会話は終了した。
僕がこの人と喋ることは、今後一切なかった。




