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第18話:出来ることなら最後まで

 気付けば朝になっていた。スマホの電源を入れて時刻を確認すると、すでに6時半を回っている。しかし意識は思ったほど朦朧としてないし、眠気も感じなかった。きっと達成感と、高揚感のせいだろう。俺はソファーベッドの隣に座る彼女に向かって言った。

「アニメをぶっ続けで五十話も観たの、初めてだ」

「私も。休憩を挟んだとはいえ、さすがにしんどいね。土日全部費やしちゃった」

 幼少期、夢中で観ていたヒーローアニメ。最後まで観たはずなのに、内容をすっかり忘れてしまっていた。それはきっとあの日、俺がヒーローを失ったからだろう。何かを最後までやり抜いたのは、いつぶりだろうか。小六まで続けたサッカーは不完全燃焼で終わった。中学の水泳部では幽霊部員だった。高校で始めた陸上も、一年目で退部した。

 しかし高二の春に彼女と出会ってから、俺は明確に変わったんだ。和泉。俺は君の、好きなものを夢中で追いかける姿に惹かれたんだ。好きなものを好きだと友人と語らう、その純真さに憧れた。気付けば俺は、和泉を抱きしめていた。彼女は驚いていたが、拒まなかった。ありがとう、と涙声を捻り出した俺の背中をさすって、彼女はそっと囁く。

「お互い、朝一の講義が無くてよかったよね」

 三時間は寝れるな、と俺は言った。三時間寝れるなら余裕だよ、と和泉は言った。

 そんな彼女を、出来ることなら最後まで愛し抜きたいと思った。

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