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第16話:あの頃に戻りたい

 あの頃に戻りたい──大多数の人間であれば、みな一度は長い人生の中で、そう思った経験があるのでないか。たまに思うか頻繁に思うかでは、受ける印象は違うが。ちなみに俺は後者で、もはやその言葉は口癖となっていた。

「あー……。今日で、何連勤目だっけ」

 人材不足を嘆く会社は、職種に関係なく、世の中にたくさん溢れていることだろう。俺がバイトをするラーメン屋も例外ではない。そんな会社の事情なんて関係なかった、若かりしあの頃に戻りたい。あの頃にちゃんと勉強をしていれば、もっと余裕のある職に就けていたことだろう。そんなどうしようもないことを、俺は今日もまた悔いている。

 しかし今日という日付に限れば、あの頃に戻れるとしても、拒否しただろう。九月一日。楽しい夏休みが終わっての、初日。いくら『あの頃』と言えど、その日付には戻りたくなかった。俺は夏休みの宿題を最終日まで後回しにして、最終的に教師に諦められるまで未提出を貫いた男だ。結果として卒業は出来たから、俺の勝ちである。はっはー。

「……そういう積み重ねが、このクソみてーな現状に繋がってんだろ。ボケ」

 猛烈な後悔と自責の念に駆られ、俺は恨みがましく、独り言を呟く。ちょうど今すれ違った女子高生も、この世の終わりみたいな顔をしていた。

 九月一日が、もっとみんなに優しい日付になってくれることを願う。

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