ばぁちゃん
うちの家には「ばぁちゃん」がいます。
ばぁちゃんは父方のひいお婆ちゃんに当たる人で、僕が2歳の頃に亡くなっています。
ばぁちゃんが亡くなってからというもの、家の中では不可解な現象が起こるようになりました。例えば、お盆の時期には家のどこかしらの電球が切れます。交換して一年も経っていないLEDライトも切れた時は少し驚きました。お風呂でシャワーを浴びている最中にお湯が勝手に止まることもあります。また幼い妹や弟が、「台所の隅に知らないお婆さんがいる」と母と僕に泣きつくこともありました。
妹や弟があまりにも泣きじゃくるものだから、母は「きっとばぁちゃんが寂しがって会いに来てるのよ」と宥めていました。幼い子に対するよくある言い聞かせの一種ですが、きっと母も怖かったのでしょう。
僕は実際にばぁちゃんの霊を目視したことはありませんが、家にいるのがばぁちゃんだと確信を持っています。先程も言ったように幼い妹や弟にはばぁちゃんが視える時があり、あの日も弟が「何かがいる!」と泣きながら僕の元へやってきました。その時父や母は仕事に出ていました。
あまりにも怖がる様子を見て僕はどうにかしなくてはと考えました。当日小学2年生だった僕は、安直にも「お願いをする」という方法を実行します。
僕が願ったことは「妹や弟が怖がるので、彼らの元へ突然現れるのはやめてください。現れるならば父の夢の中でお願いします」という内容でした。視えもしない本当に存在するかどうかもわからない「ばぁちゃん」に、口を閉ざしたまま強く念じました。しかしどうせうまくいきっこない事をやっているとも思い、家族の誰にも「ばぁちゃんにお願いした」とは伝えませんでした。
翌日、寝室から出てきた父がポツリと告げました。
「今朝、夢でばぁちゃんに会ったんだよね…」
と。
これは本当にあった話