1-1 特殊警察隊都市伝説対策課
皆さんは都市伝説はご存知だろうか、口裂け女、八尺様や裏S区と行った有名なものから、地元でしか知られていないようなものまで、多種多様である。
私が住むこの町にも都市伝説が沢山ある、でもそれはみんなが知るようなものではない、そんな都市伝説と呼ばれるものと戦う人々の物語が今始まる
「特殊警察隊都市伝説対策課」スタートです!
ここ八代町は昔から都市伝説と呼ばれるものが多く存在しており、ありとあらゆる所に現れては、利益不利益を与えてくる存在だ。
だが基本は不利益を与えてくるものしかいないのが現状であることはこの町の抱える重大な問題である。そこで警察庁にて秘密裏に編成されていた警察官を派遣した。
"都市伝説対策課"
都市伝説....つまり"怪異"の対策、排除に特化した警察官なのである。みんなは思うだろう、「え?何それwwwダッサwww組織ぐるみでお遊びですか?wwww」と、だがこの八代町ではそうは言ってられない、嘘だと思っても頼るしかないのだ、藁にもすがる思いだったのだ。
その結果どうだっただろうか、1日に百件以上あった怪異についての通報や報告は半分以上減ったのである。
結果的に言えば実力は本物だったのだ。
そのためか、この八代町には未だに派遣された対策課が残ってこの町を守っているのだった。では前置きが長くなってしまったが、ここから本編が始まります(二度目)
対策課は人目に触れず活躍するため、あまり知られてはいない存在だ。そのためこの署内でも奥の隅っこと言わんばかりのオフィスで働いている。今そこにダルそうにパソコンを打っている女が今回の主役である
「はー早く夜にならねぇかなぁ、昼間は怪異はほぼ出ないし....」
彼女の名前は塩田星水、対策課のパトロール担当の警察官である。デスクワークは苦手であり、肉体派である。素手でコンクリート塀を破壊したことがあるパワー馬鹿だ。
「まぁまぁ塩田さん、そんなこと言わないで仕事しないと、また怒られますよ〜」
そう彼女をなだめるのは狐坂晴香、対策課の経理及びパトロール担当をしている女の子だ。
「るっせーよ、また鼻にミョウガ突っ込まれてーのか、おぉん?」
「あっゴメンナサィ」
「塩田、この仕事あと2時間で終わらなかったら今日のパトロールは無しにするからな」
「えっちょっそんなご無体な〜」
塩田に脅しを入れるのはこの課の隊長を務めている、柳沼栄治である。
今はこの3人しか署内にいないが、あと4人の警察官がこの課に所属している。ちなみにみんな警部以上の階級持ちだ。
そして......
PM9:00
「ふぅ〜じゃあ行きますか、パトロール」
そう言い出したのは塩田である。
「今日は狐坂は休みだ。俺と行くぞ」
「え〜やだ〜」
「やだじゃない。」
駄々をこねる塩田に厳しく言う柳沼
「しょうがないなぁ〜じゃ、準備しましょうか」
装備室へ向かう。
「覗かないでくださいよ〜えっち〜」
「やかましい、お前の体に興味はない。とっとと準備しろ」
ロッカーから取り出すのは日本刀に似た形をした武器と弾頭が青い弾丸が入った拳銃、そして、市販の食塩。
「お前...また伯方◯塩持ってくのか...」
「いいじゃないですか別に〜」
「なるべく軽量にするためには普通そんなの持っておかないんだが...」
疑問を述べる柳沼に塩田は答える
「何か、シンパシーを感じるんですよね、まるで昔かつての相棒のように持っていたみたいな....」
「意味わからん...もういい、話は今度にしよう。」
「そうですね、では行きましょう!」
そうして2人はパトロールを開始した
一方狐坂は....
「ん?なんだろうこの領収書...ふむ....食卓塩...」
狐坂は頭を抱えた。
「塩くらい自腹で買ってくださいよ....」
...?領収書の中になぜか銃の種類の名前が書いてあった気がする...
『塩ショットガン:2800円』
「...疲れてるのかな...」
いや、見間違いではなかった、そこには確かに
_人人人人人人人_
塩ショットガン
^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^
と、書いてある。
訳がわからない、塩ショットガン?塩を弾薬にして射出するのか?
ますます訳がわからない。
考えるのはやめよう、寝よう。
仕事を済ませて惰眠を貪ろう。
今日仕事が少ないんだ。
うん、そうしよう。
その頃二人。
「狐坂がいないと暇だわーおもちゃがないからなー」
「仕事だぞ?暇だわーじゃない、気を抜くな。」
そう言って頭を軽く叩く。
「ウワーパワハラダー、タスケテー。」
「めちゃくちゃ小声だし棒読みじゃないか...」
いや、棒読みになった。そういうことか。気を殺せ。何かがくる。
突然、霧が濃くなった。
蒼い霧と共に、硬貨の落ちる音がした。
「...星水。」
「はい、わかってます。」
後ろに何かいる。
「行くぞ。」
振り向くとそこには。
般若の面を被った子供が20人ほどいた。
「はぁ?!多すぎだろ!なんだこれ!」
そう言って星水は懐から何かを出した。
「多数いるんだったらこれの出番かもね!」
彼女が取り出したのはそう、アレだ。
『塩ショットガン』
ーーーーーーーーーーーーーーーー
説明しよう!
『塩ショットガン』とは!
本来害虫駆除(例:ハエ、蚊、G等)を撃退するのに使われるものだ!
ただし!彼女の霊に対するメインウェポンは塩!つまりそういうことだ!ハハッ!
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ある程度数が寄ってきた時に、引き金を引く。
音はめちゃくちゃ子供のおもちゃだ、なんだこれ。
打ち出されたのはもちろん塩の塊!
その塊は子供の霊一人に命中し、消えていった。
「は?これ散弾じゃねえ!ショットガンじゃねえよこれ!単発かよ!」
...思考が追い付かない、何てものを持っているんだ。
まあとりあえず、今はこの霊共を祓う他ない。
日本刀を鞘から抜く。
黒い刀身が見える。
霊共に向かい、振るう。
一度に三人ほど片付けることができた。
「はぁー、柳沼サンのほうが武器強いじゃないですか。」
「塩ショットガンが霊祓向きじゃないだけだろ。」
「はーつっかえ、まあいいや、全部やりますよ!」
この時は、気づかなかった、私たちは山のほうへ誘導されているのだ。
鬼灯の模様の入った般若の面がこちらを見ていた。
私たち2人はそいつを見つけるや否や逃亡しだした。
「あっ、お前待ちやがれ!!」
「ちょっ、塩田置いてくな!」
2人はそいつの後を追って行った。
暫く走ったのち、ある山に着いた。そこは、かつて20年前に神社があったところであり、どうやら2人がこの山に入った後帰って来なかったという都市伝説があったのだ。また、その神社跡地に建てられたキャンプ場で20人の子供が消えたという話がある所だったのだ。しかし今はそのような事が度々発生したためキャンプ場は無くなっており、ただの草原になっていた。
「どこに行った?」
柳沼がそう呟く。するとそいつがゆっくりと現れた。行動がのんびりだったが何を仕掛けてくるか分からない。ここは慎重にかつ素早く倒さなくてはならない。出方を伺っていると、柳沼がそいつに攻撃を仕掛けた。
「は?馬鹿かあいつは…」
ついそう思ってしまった。柳沼は勢いよく突っ込み、刀を振るう。
「やったか?」
「おい、それは死亡フラグだぞ。」
当たったかと思われた攻撃は当たっていなかった。見事にフラグ建設をした柳沼はまた突っ込んだがそいつが何やら唱え始めた。そうするといきなり柳沼が倒れた。どうやら眠ってしまったらしい。
「あーらら、フラグ回収ご苦労様です。笑」
まぁ、こんな上司はほっといても別に良い。今はそいつを倒すことに専念しなくては。そう思い、塩ショットガンを撃ちまくった。まぁ驚いたのなんの。そいつは柳沼を盾にしてかわしているではないか!
「小賢しいやつがよ!あのアホ上司いい加減にしろや!フラグ建てて終わった挙句眠って盾にされるとか、馬鹿すぎだ!」
そう叫んだ。後で嘘を吹き込んで高級レストランに連れて行ってもらおう。そう考えた。
そうしてやっと、柳沼をぶん投げて突っ込んできた。私も眠らせる気だ。
「あの馬鹿上司みたいになるとは思うな!」
そう言い、塩ショットガンを顔面にぶち当てた。そうするとそいつの般若の面が砕け、顔が見えた。
平凡というのが、そいつの顔の第一印象だった。とても都市伝説の主犯の様な者とは思えない、平凡な顔をしていた。だが、平凡すぎるのだ。それ以外に形容する言葉が出てこない。
「あんた…何者だ?」
戦いの最中だが、思わずそう問い掛けてしまう。
「・・・私、ですか。ただの不幸な人間ですよ」
そいつはこう答えた。
不幸?不幸とは何だ。都市伝説の主犯など、自らやろうと思わねば出来る物ではない。
「ほう?だが…ただの人間にそんな真似は出来んぞ?」
「ええ。そうでしょう。私だって、嘗てはこんな事は出来なかった。ですが…」
ここまで言うと、そいつは言葉を切る。私の後ろのクソ上司はまだ伸びたままだ。何の役にも立たない。
「世界線が違えば!話は変わります!」
そう言ってそいつは何かを投げる。式神の様だ。
「私はねぇ!本来なら何もない普通の人間だったんですよ!しかし!」
そいつは自分語りをしながら向かってくる。刀で応戦するが、式神と共に押し寄せる攻撃を捌くのが精一杯だ。
「興味本位で心霊スポットに足を運んだのが運の尽きでした!ナニカに囚われ、声も!顔も!口調も!全て特徴を奪われた!」
なるほど。話を聞くになかなか辛い境遇にはあるようだ。だが、それは手心を加える理由にはならない。
「私の願いを込めた面も、その幼稚な玩具に砕かれた!憎い!私の全てを奪ったナニカが憎い!!のうのうと暮らしを楽しむ人間が憎い!!!何故私ばかりこの様な境遇に囚われるのか!!!!」
語気が強くなると共に攻撃も強くなる。次第に押された私は、遂に地面に膝をつく。
手心を加える理由にはならないなどと偉そうなことを言ったが、私が手心を加えられたのでは?と思えてくる。
「貴様…!これ以上何をするつもりだ…!」
「決まっているでしょう?」
そいつの口調は一転して穏やかだった。私が膝をついたことで、鬱憤を晴らしたのだろうか。
「私の邪魔をする貴方達をまず潰すんですよ」
そう言うとそいつは何事か呪文を唱えてから私の前から消え去った。私の意識はここで途切れる。
その頃、狐坂は・・・
「漸く終わったー!」
室内に響く歓喜の声。仕事を終わらせた狐坂の声だ。
笑顔で帰宅の準備を整え、いざ署を後にしようとした時…
「ふむ。ここですか。あの変な警官の拠点は」