秘書神にして保護神
とある神々の世界。
神達の中では、人に害する神達は「荒ぶる神」や「邪神」と呼ばれるが、実はそれは必要悪であり、罪ではない。死に対して生、幸福に対して不幸。全てがバランスを保つために行われている。
俺は神達に対して害を加えたことで、「罪神」と呼ばれる犯罪神とされ、神の権利を奪われ、封じられた。俺にとって、害と呼べる程ではないと思うレベルのワガママだと思っていたが、普段信仰を集めることに熱心な神々としてはウザイを通り越して罪とされたのだった。
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ある時、神々の王から俺に勅命が出される。最近、人類の神化が増えすぎているいるらしい。
確かに、少し昔であれば、高潔であったり、人より数段賢かったり、神として崇拝されるべき者が神々の世界に召されるべきであるが、最近はアイドルが神呼ばわりされたり、異世界に行って剣を極めれば剣神と呼ばれたりする人間が非常に増えているのは事実だろう。そして、そういった連中は傲慢でありすぎるなど、大抵、神としての器を満たさないことが多い。
王からの勅命は、神として器を満たさない連中を間引け。ということだった。
基本、神達は人の上に立ち、人から信仰を集めることで神としてのランクが決まる。ランクが上がればイロイロ出来ることも増える。信仰によりランクが決まるが、神から下界に対して必要以上の干渉はしないことがルールになっている。(俺はそういったことがイヤだったため、力で上のランクに上がれないかと画策している。)
下界への干渉できるレベルは、信仰に対して少し後押しするくらいの加護を与えるレベル。例えば、合格祈願に訪れた若者に対して、少しだけ本人のやる気を増やす。結局は本人次第で、合格の確約を与えるものではない。余談だが、お守りを何個も持っていると神様が喧嘩する。ということはある意味正しい。加護が波の様に重なり、強まる場合も、弱まる場合もある。
過去には、夢に顕現した神もいるが、それは特例中の特例で、普通の神がそれをすると干渉しすぎとされる。場合によっては、何かしらの罰を受けることにもなり、普通はしない。
今回、俺に声がかかったのは、俺が今「罪神」とされ、厳密にいえば神であるが神として身分を剥奪されているためらしい。
報酬は神への復帰。状況によっては神のランクも上げてくれるということだった。
ただし、神としての力を全て使うと下界に干渉したことになってしまうため、必要最小限の能力(というか、ほぼ下界のモノの能力)しか返還されていない。
こちらの返答を待たずして、俺は強制的に下界に堕とされたのだった。不本意だが、俺は摘神雫守と言うクソみてーな名前(名前の漢字の当て字はかっこいいが)で、罪神にして堕神として下界で生きていくことになった。