第04話 〜天之尾羽張(アメノオハバリ)〜
カルデラ大戦争編
第04話 〜天之尾羽張〜
Cランクのハーベルトさんですら傷一つもつけられなかったのだ。Cランクが3人に100人以上のDランク以下の隊員これだけの戦力でも勝てる相手じゃないのはハーベルトさんの 死を目の前で見た龍之介だからわかる事だった。
(最悪だ)
龍之介はそう思いながら目を閉じた。
体力が戻ったのか目を覚ますと体は動くようになっていた。
しかし辺りを見渡すと黒く滲んだ血と死体で包まれていた。
そしてまだ20人ほど隊員がシルバと戦っている。
いや違うシルバに殺されようとしているのだ。
そしてその中には愛もいる。
シルバは人を殺し飽きたのか隊員達と距離を取り巨大な斬撃を放った。
(こいつ一気に全員殺す気だ)
龍之介はそう思うと考え無しに斬撃に飛び込んだ。
隊員達の首が飛ぶ。
しかし龍之介はハーベルトさんの戦闘を経験に自分の剣で斬撃を防ぎつつ愛を抑えながらしゃがんでいた。
剣は斬撃により折れてしまうが龍之介と愛は無傷で居ることができた。
「愛! 俺が時間を稼ぐ その間に逃げるんだ。」
(もう一度あの火柱の主を呼び出すことが出来れば時間が稼げるはずだ! )
そして火柱の主を呼び出そうと何度も念じるが全くもって返事がない。
シルバはもう飽きたと言わんばかりに斬撃を放ち龍之介を殺そうとしたその時大きな獣がものすごいスピードでシルバに飛びかかる。
シルバがそれに対応出来るわけなく手にしていた刀を落としながら吹き飛ばされる。
「ナゼニンゲンノリョウチニケモノガイル」
シルバと獣は互いに動かずその場で睨み合う。
獣の姿はライオンの顔をしどうには白い滑らかな毛そして足には蹄そして尻尾には蛇が生えている。
「き、キメラ? 」
愛が声を漏らす......確かに獣の姿は神話に登場するキメラそのものだった。
「アトスコシデワレワレノショウリハカクジツニナッタノニ」
シルバはそう言い残しワープゲート的なものを出現させその中に入り消えてしまった。
そしてキメラは龍之介達の方に目を向け
「お前達は本当に人間か?」
と問う。
龍之介は最初は問の意味が分からなかったが何となく察しがつく
(なるほどキメラは俺の中にいる声の主に気づいるのか......しかし俺でも声の主は分からないからな)
「人間だ」
龍之介はそう答える。
その答えを聞いてかキメラは何も言わずにその場を去っていった。
龍之介はキメラに聞きたいことが山ほどあったがキメラに声をかけなかった。
何故ならあくまでもキメラは獣、人類の敵であるここで声をかけたら襲われる可能性もある。今最優先すべきなのは自分達が生きて帰りこの事を協会に伝えることだと思ったからだ。
キメラが去ったあと龍之介は愛と共に協会へ戻ろうとすると龍之介の目に一刀の刀が映る。シルバの刀だ。
龍之介はシルバの刀を手に取り刀を抜く。その刀はかなりの大物でその刃の美しさは龍之介と愛の目を奪うほどのものだった。
龍之介はシルバの刀を鞘にしまい肩にかけた。
カルデラを出てから5時間が経つ魔法使いが居ないため龍之介と愛は徒歩で彼らの住む都市「中央都市テスカ」に到着した。
2人は「中央都市テスカ」につくと真っ先に協会へ向かった。
2人協会到着しすると眼鏡をかけ黒いスーツを着た男が待っていた。
「お待ちしておりました。私は協会に務めます。ルセフ・ボビーです。カルデラでの件はだいたい把握しております。大変疲れているでしょう今日のところはおやすみください。お話はまた後日お聞きしますよ」
「お言葉に甘えてそうさせて頂きます。
ですがひとついいですか? 」
そう言うと龍之介はシルバの刀を手に取りルセフさんに見せる。
「これはシルバと言うAIが持っていたものなのですが......」
龍之介が刀について説明しようとした時
「それもしかして天之尾羽張じゃないですか!? 」
1人の女性が走ってきながらそう発した。黒髪の単発でスタイルも完璧な美女だった
「あ、あなたは?」
龍之介は見とれながらも名を聞く
「申し遅れました。私は司令部の部長を務めます石桜 佳奈と申します。先程は大声を出してしまいすいません。かなりの代物でしたからつい」
石桜 佳奈 彼女は人類で最も優秀な頭脳を持ち司令部最年少で司令部のトップである部長の座につきいている。さらに見た目も人々の目をクギ付けにするほど美しく、完璧な女性と呼ばれていた。
「ところで石桜様本日はどのようなご要件で? 」
「あ! すいません忘れてました! 実は先程カルデラで100人以上の戦闘部隊が全滅したという話を聞いたのでそれについて協会の方で何か情報を持っていないかと思い」
「そうですか。しかしながら我々も詳しいことはまだ把握しておりません。今そこに居る御二方がカルデラでの事件の生存者です。本日はおやすみして頂いて明日話を伺う予定でして」
「そうですか。疲れているところごめんなさい。私も明日カルデラでの出来事について話を聞かせてもらっても大丈夫かしら? 」
「あぁ大丈夫です。むしろお気遣いありがとうございます」
龍之介が石桜さんに見とれながら答える
「ルセフさん 御二方 お忙しい中ありがとうございました。私はまだ仕事があるのでこれで、また明日よろしくお願いしますね、」
そう言うと彼女は駆け足で去っていった
龍之介は石桜さんにクギ付けになっていた視線を慌てて刀に戻した。
「その天之尾羽張なのですが龍之介様がおもちになられた方がいいかと思います。」
「え? 俺がですか? 」
「はいそうです、お話の途中申し訳ありませんが私も忙しいので今日はこの辺りで失礼させていただきます。明日のお昼頃にまたお越しください。それではまた」
そしてルセフさんも協会の中へと戻って行った。
(本当に俺が天之尾羽張を持っていていいのだろうか?)
そんなことを考えながら龍之介は家に帰った。
カルデラ大戦争編はこれで終了です。次回からは龍之介の過去についての物語になると思います




