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愛は世界を救う、だろ!  作者: もへこかな
9/9

いざ、森へ!

思い立ったが吉日、と俺はさっそく森へ行くことを考えたが、この街は周囲を大人の身長の3倍ほどの高さの壁に囲まれており、数カ所ある外からの出入り口には常に見張りが居て出入りする者を確認している。

魔物対策もあるが前科者や盗賊などを町の中へ入れない為だ。

つまり、出入りするには身分証が必要になるのだが俺はスラムの人間で更に未成年のため身分証なんて物は持っていなかった。

そもそも5歳の子供を1人で外になど出してくれないだろう。

保護者を呼ばれて終わりだ。

どうするか、と考えた時そういえば前に散歩していた時に偶然見つけた穴の事を思い出した。

あれは3ヶ月ほど前、一緒に散歩していたリュートがトカゲのような小さな生き物を追いかけて行ってしまった時だ。

トカゲはその穴から外へ出て行ってしまい、追いかけようとするリュートを引き止めるのに苦労したのだ。

子供なら通れる程度の穴。

大柄な大人は無理だろう。何故こんな穴が空いたのかは不明だが、スラム街の隅、しかも木の陰に隠れて普通に歩いていても全く気づかないような場所にある。

これは使わない手はないだろう。

その場所に向かってみると、やはり誰も気付かないのか以前と変わらず外へと繋がる穴が開いていた。

俺たちの親も日々暮らしていくのが精一杯で外へ出ようと考えた事もないのだろう。

どんな所なのか聞いたこともない。すごく危険かもしれない、と思いつつこれ以上兄弟たちや自分が空腹に苦しむのが耐えられないと覚悟を決め、穴をくぐる。

小さく身体を縮めて穴をくぐり、ゆっくりと顔を上げるとそこには広大な大地が広がっていた。

いつもは高い壁に遮られている景色。

高い空、新緑の森、ぐるりと振り返ると反対側には対岸まで渡るのも大変そうな大きな川。

大自然が視界いっぱいに広がっている。

久し振りに見た自然に感動しつつ、しばらく景色を眺めていたがハッと町から出てきた目的を思い出し、意を決して森へ向かう。

川は泳げるかわからないし、まず森だ。

森の中ならきっと、食べれる動物が居るに違いない。

そういえば転生してからというもの、肉を食べた記憶がない。肉が食べたい。

お腹を空かせた兄弟たち、そして何より自分の腹の為にも森で肉をゲットしなくては。

しかし、いざ獲物を狩る事になった途端気づく。

現代っ子の自分は、動物は大切に、命を大切に、と刷り込みのように教えられて育ってきた。

目の前にいる、ウサギにツノが生えたようなこの動物、愛らしすぎて狩れる気がしない。

どう見ても愛玩動物だろ、これ。

そう思ってそのつぶらな瞳と見つめ合う。


先に動いたのはウサギだった。

その愛らしい見た目に反し、ユートを敵とみなすと先程までの可愛らしかったのが嘘のように目を吊り上げ、シャー!!と牙を剥いて突進してくる。

その爪は鋭く、引っかかれたら並みの5歳児ではひとたまりもないだろう。

「うぎゃぁ〜!!エアカッター!!」

驚いて跳びのきつつ、魔法を放つとウサギもどきの首元に直撃する。

とっさに出たその魔法は思いの外強力だったらしく、ウサギもどきに致命傷を与えたようだ。

「こ..殺しちゃった」

そういえば攻撃魔法は初めて使った。

初めて動物を殺してしまった衝撃で、しばらく血の気が引いた青ざめた顔で座り込むのだった。

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