暇を持て余す
暇だ。
...俺はとてもふて腐れていた。
身体が自由に動かないし、言葉も喋れない。
声を出せば...。
「あぶー」
...仕方ない。俺は今赤ん坊なのだ。
しかし精神は大人なので、どうしても訴え事がある時以外は泣く事も憚られる。
両親には、手のかからない良い子と認定されているようだ。
基本的なオムツや授乳は、俺が何も言わなくても世話してくれるのでほとんど泣くこともなく過ごしている。
それにしても、赤ん坊とはなんと暇なのか。
時々兄のリュートが遊んでくれるが、兄もまだ2歳。
どちらかというと兄の方が手がかかるようだ。
両親が兄に振り回されている間に、俺はというと...。
魔力、というものを探してみようと思いついた。
そうだよ、異世界なんだからあるはずだ。
アレ!魔法が!
ぜひとも使えるようになっておきたい。
自分の体内にあるであろう、その魔力を探そうと自分の中に意識を集中する。
すると、ヘソの下あたり。
身体の中心から何かエネルギーのようなものを感じる。
これか...?
そのエネルギーが、体内を巡るようイメージしてみる。
お、いい感じだな。
手の先、頭、足の先までエネルギーを循環させてみる。
慣れない俺にはなかなか操作が難しかったが焦ることはない。
時間はたっぷりあるのだからゆっくり練習すればいいのだ。