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悪役令嬢の近い

自由な悪役令嬢の捕まえ方

作者: ユミエリ

前回の悪役令嬢は側に眠る騎士に恋願うのルドルフ視点の話を書いております。

もし興味をお持ちになれば読んで下さい

出会いは幼い頃にもあった真実をお楽しみに

俺も幼く、態度や精神も未熟な、意外と意気地無しの泣き虫だった幼少期に彼女、カリーナ・ミルフィーは現れた。


彼女は幼馴染みのサルファン・ジルスと婚約しているらしいとジャックからは聞いていたが


そんな彼女が何故に、空を見上げほくそ笑んでいるのだろうか?


いま俺がいるのは、ジャックの父君であるファルセンの道場で父上より通わされていたりするが、女性は来ることはないと言っていた


だから彼女がいることに疑問が沸いたのだ


え? 俺は別に訓練とか嫌だから逃げたわけではないからね。


って誰に弁解してるんだろうか?


などと思考の中にいれば、彼女が余計にニヤニヤとフフフと悪い笑みがしたあとに


「┄なんだ、簡単なことじゃない、あの両親にギャフンと言わすには、丸め込ませば、どうにかなるんだよ、そして┄サルファンも丸め込ましたる」


と宣言し、高らかに腰に手をあて、ハーハハハハと笑っていた。


まるで女性なのに、男らしく笑っている姿に、妙に格好いいなとか思ってしまった。


そしてそのまま、魔法を使い、高い塀を軽々と飛び越えていく姿に余計にヒーローみたいだなと思えて笑えた。


これが彼女との初めての出会いとなった。


◆◇◆◇◆◇


カリーナ嬢とのことを思い出して思い出し笑いを浮かべていると、ベシッとチョップが俺の頭上から降り注がれ、現実に引き戻される


俺はチョップをしてきた相手を見れば、サルファンがいた。


「なにをするのだ、サルファン?」

「いや、なんとなく思い出し笑いを浮かべてたから気持ち悪くて」

「はあ、なんですか、その動機は┄せっかくいい気分が台無しになりました。気分を返して下さい」

「┄え? いや~無理だから、それ」


ブンブンと両手を振り拒否るサルファンに、一瞬殴りたくなりましたが、いまの俺には力も弱く、抵抗すると倍に返されるため、睨むだけにする


「いやいや、睨むなよな。なあ、所でさあ友人のルドルフに少しばかり相談したいんだけど、いいかな?」

「┄いつ┄貴方と俺は友人になったのですか?」

「う~ん、いま?」

「何故に疑問系なんです? まあ、俺みたいな人物に相談するより、そこにいるジャックに相談すれば┄」

「いやあ、あいつはなあ~、少し前に俺の幼馴染みのカリーナと喧嘩して、仲良くなっててさ、いちいちカリーナの事を聞いてくるから嫌なんだよ」

「俺の、ですか?」


サルファンから()()()()()()と言う単語に、何だかムカッとする気持ちとモヤモヤ感があって、つい呟けば


サルファンは俺の反応に、ふ~ん、とか呟くなかで、肩に触れて


「ルドルフも、カリーナの事を好きなのかよ」


と残念そうに告げられて、俺は首を傾げてしまう


は? 好き?


俺が、カリーナ嬢を? 何でそんな事になるんだ?


「意味がわからないが、カリーナはサルファンの婚約者じゃないのか? 別に残念がる必要はないと思うが」


理解不能な事を言われてしまい、思ったままを話せば、サルファンは一度目を見開き、ふむ、とか呟き考えて


「まあ、気づいてないならいい。それより、友人として認めて俺の相談にの乗ってくれるよな? な?」


妙に納得のいかない物言いだけど、グイグイくるサルファンに根負けし、渋々┄友人として認めたあと、相談とやらに乗ることにした。


相談は主にカリーナ嬢の事であり、日頃からの自由人により婚約話が保留するはめになり、残念さがあるけれど、いまのサルファン並みにグイグイと友人判定にされて、納得してしまったらしいが、あとあと考えてみれば


何だか妙だと思うようになり、その話題をふれば見事にスルーされてしまうと言う事だった


そんな内容に、サルファンがカリーナ嬢に少なからず好意があるように感じ、妙にムカムカするが、指摘するのも、認められるのも面白くないから、突っ込まず


ただの、普通に友人やったほうが、いまの所はいいのでは、とだけをアドバイスしておくことにした。


するとサルファンは、そうだよなとか言って納得し、サーキューと礼を述べたあと


「今度、遊びに行こうぜ」


とか言って立ち去っていった。


本当に友人判定しているらしい


ポリポリとこそばゆく感じていたら、ガバッと背中から勢い良く乗り掛かられビクッとしたまま、前のめりになってしまう


「ルド~~! 話~終わったか~よ」


声を聞いて、ダラダラと背中に体重をかける友人、ジャックに俺は力がない身体を頑張って反り返して体勢を元に戻して


「┄話しは終わったけど、重いわい、お~り~ろ~‼」

「い~や~だ!」

「何が┄嫌なんだよお前は!」

「え~だってよ、今日もカリーナ嬢に勝てなかったんだぞ、悔しいじゃんか‼」

「┄悔しいからって、女性に喧嘩してんなよな、っていうか俺、関係ないだろう、この八つ当たりは~~!」

「うん? だって、俺よりちっさくて、寄りかかれるのお前ぐらいだしな」

「┄ちっさくて悪かったな」


ジャックがカリーナ嬢と喧嘩してくることは、最近の出来事で知っているが、よくもまあ、あんな、か弱そうな女性に喧嘩など吹っ掛けるものだと思うが、毎回負けてくるジャックに対しては、どんな喧嘩してるのかと、小一時間問いただしたい気持ちになったな


まあ、いまは、結構どうでもいいと思うが、カリーナ嬢に迷惑かけるなと注意はしている


しかし、ジャックからのちっさいは、俺のコンプレックスをついてくるため、さすがにムカついた。


俺はムスッとして黙りこくれば、ジャックは俺が腹を立てたことに、気づいたらしく


「┄ごめん」


と短く謝られたが、腹立つため仕返ししてスッとジャックの腕から出て、脇腹をくすぐりの刑を施してやった。


腹立つぶんを思いっきりしてやれば、ジャックの弱い部分を攻めてやれば、やめろ、くはははと笑いこけるが、力がないぶんの仕返しなので手加減しないでいたら


「やめ┄苦しい、くははは」

「もう、ちっさいとか言うなよな」

「┄ああ、わかったから、許して、脇腹痛い」


ふっ、許してやろう! と手を離してやれば、はあはあと息を切らし、妙に恥じらいながら


「もう┄ルドってば、俺の弱い所知って攻めるなんて、やらしいわね」

「ほほう、まだ、こりんらしいねジャック」


わきわきと俺が、再びの攻めの体勢にはいれば、ギョッとして


「すまん、からかいすぎた」


と反省の言葉に、まったくとか呆れている俺にジャックは、少しの間を開けて、息を整えたあと、立ち上がり


「┄なあ、ルドルフさあ、結構┄瞬発力あるのに、何で力つけないんだよ」

「┄はあ? なんだよ唐突に」

「いやさあ、ルドルフが力つけてくれたら、俺の訓練相手にいいのにって思ってさ」

「┄┄┄嫌だよ、俺には、力なんてないんだから、それにさ強くなってなんの意味があるんだよ。目的もなく強くなりたくないし、背だって小さいんだ、成長しても、なんか希望が見えん」

「いやいや、俺達はまだ子供なんだ、今から悟りを開くより、前を向いていけよ、それにルドルフの父君だって、背高いじゃん、あと格好いいしさ」

「┄知ってる、でも、父上は父上だ。俺が父上みたいになれるかなど、わからんし。目的ないって言ったろうが」

「目的かあ~、確かにないと動かんもんなお前」


そう、俺は無駄が嫌いだし、強くなる先の未来に興味もない、ただ時間の流れや言われたことを実行しているだけだ。


今回、ここだって、泣き真似して嫌がる俺に、性根を叩き込めとかで、入れられたからな


実際、泣き真似と本気で嫌な気持ちを込めたのに、何故にバレたのかと思っていたが、父上

は最近の俺の言動の研究をして、レポートにして見せられ、困惑と、ともに呆れて諦めた


そのあとは、ダラダラと会話をしていれば、道場の指導をしている、ダグラスに怒られて、やりたくもない訓練をしていたのだった。


◇◆◇◆◇◆


サンファリスの婚約話が候補として明らかになって、ジャックが結果的に弱味を握られたらしく、何故か仲良くなったようで、ときどきカリーナ嬢自慢をされ、ムカツクはめになって数日、カリーナ嬢とは、あの道場以来、会えることはなかったが


また変な所で目撃してしまう


今回は、年上の先輩であるヴィンセントと一緒にいた。


ヴィンセントは道場での先輩で、ダグラスの息子、世話好きで格好よく男にもて、女に嫌われてしまう星に生まれた人だとジャックがよく言っていたが、何でカリーナ嬢といるんだろうか?


なんとなく壁に隠れて観察していれば、ヴィンセントが、近寄れば、カリーナ嬢が引くように後ずさっていく


そんな光景をしばし続けていたが、最終的にヴィンセントが泣き出し、何かを精一杯、懇願しているようだった。


すると余計に引いている表情のあと、天を仰ぎ見て、何かを考えていたようだった


彼女は考えるとき、天を仰ぎ見るのが癖なのだろうか?


なんとなく初めて会ったときの事を思い出していると、またもやカリーナ嬢の不敵で輝かしい笑みを浮かべ、ヴィンセントの肩に触れるなり


「┄しょうがない、私が助けてさしあげますわ、どんとお任せくださいませ」


と自信ありげな表情をする


うわあ、逞しいな、ああも思ったままの自信はどこからくるのかと思う

それに自分に利益もないのに、動く彼女の優しさに、羨ましさと好感がもてていれば


急にヴィンセントが嬉しさのあまり、彼女に抱きつこうとしている姿に、触るなと叫びそうになったが、俺はとても衝撃的な光景をみてしまう


なんと、か弱そうに見えていた彼女が、とても素晴らしい攻撃で、ヴィンセントの腹部に拳を叩き込ませていて、地面へと崩れおち


「┄気安く触ろうとしないで下さい、ヴィンセントさま」


と冷たい声音で告げる姿に、凄いのと勝ち誇る彼女が格好よく見えてしまうが、同時に可笑しくなってきた。


だって、俺もさっき触るなとか思ってたし、それを実行し、心を代弁されたようでクスクスと笑いを堪えていた


それからあとヴィンセントと話し終わった、彼女は、ではな! と言いながら、ヴィンセントから離れていくのを見ていた俺は


次の彼女の行動に集中していたことで、だんだんと俺のいる方向に近づいていることに気づくのが遅れてしまい


「┄ねえ、貴方少しいいかしら」


え! な、え⁉


俺は声を聞いて、近くにカリーナ嬢がいることに気づいて、驚き、俺に話しかけてるのか?


と動揺した。


「┄えっと、何ですか?」

「うん、あのね、ここら辺に魔道具屋のハルフォルト店を探してるんだけど、何処かわかるかしら?」


カリーナ嬢はハルフォルト魔道具店を探していりらしいため、少々戸惑いながらも、柔らかい声音の彼女に丁寧で精密な場所の説明をすれば


「ありがとう」


と礼を述べたあと、何故か、よしよしと頭を撫でられてしまい、首を傾げてしまう


するとカリーナ嬢から、「小さいのに偉いのね、そこまで詳しいなんて」


とか言われ、カチンと固まっていたら、何かを勘違いされたようでクスクス笑われて、じゃあねと立ち去っていく姿を見て、俺は一瞬、まじで泣きそうになった。


よりにもよって、初会話で小さい子ども扱いを受けるとは思っていなかったからだが


このとき初めて、まじで背を伸ばしたくなった


◆◇◆◇◆◇


それからは、彼女に小さい子ども扱いされたくなくて、父上に背の伸ばす方法や、ジャックからの背を高くなる運動方法を模索するようになった。


そんなある日、道場にて身長測定があったので、いままでの成果をためそうと意気込めば


なんと三センチ伸びていて、俺はガッツポーズをとって喜んでいたのに


「やったー! 四センチ伸びたぜ!」


とか喜んでいる奴がいて、一センチ負けた気分になるが、前よりはまだ、ましなため悔しがらずにいた


しかし他の道場生徒が次々に、俺よりも高い数値を出され続けると、最終的に壁に手を着き泣きそうになった。


まじでへこんでいたら、同じようにへこんでいる仲間が横で同じポーズをとっていることに気づく、すると互いに近づき、身長的なものが同じだと固い握手をかわし同志を見つけた気分になったあと


お互いに自己紹介すれば、彼の名前はシリアル・ネネオと言い、性格は少しばかり俺と似たような考えの持ち主のようで、すぐに仲良くなるのに時間は、かからなかった。


シリアルはどうにも、憧れの人物がいるらしく、修行の本にある人物になって、憧れの人を守るのが理想だと相談を受け


素晴らしい動機に、ならばと俺の父上に紹介してもいいかと思えた。前から俺を鍛えたいが、すぐに面倒くさくなる俺よりも、もう少し熱意がある人物を鍛えたいとか言っていたから、丁度いいと思え進めてみると


意外にもシリアルは力強く頷き、次の日から父上の元へ泊まりがけで、本当に修行を始めてしまった。


半分は当て馬気味だったのにと罪悪感があったのに、その一週間後に姿を見せたシリアルを見て、結構後悔した。


何故ならば、身長も俺よりも伸びて、筋肉も、程よくつき、顔つきだって立派になったからだ


何をしてそんな状態が出来上がったのかと聞けば、なんと父上なりのメニューには、筋肉増長との食事面によるものだと説明され


俺は道場を早々に早退して、父上に文句を言いに帰れば、父上は呆れていたけれど、筋肉も身長に関わるとかの説明をうけ、その日からは父上のメニューも取り入れ、鍛えようと思えた


◇◆◇◆◇◆


父上からのメニューと道場の剣術を鍛え始めてからの一週間で、少しは背も伸びてくるおかげか、節々が少し痛いが、身長が伸びる痛さだと思えば、嬉しい悲鳴だと思えている


そんなある日、俺は町中で薬屋により、湿布を買って間接の痛さに耐えられず、公園でのベンチで休憩していると


またもやカリーナ嬢を見かけた


よくたまに会うときは、大概┄サンファリスかジャック、ヴィンセントにシリアルとかなのに、今日は珍しく一人でキョロキョロと何かを探しているようだ


何を探してるんだろうか?


そんな疑問を感じながら観察していると、白い騎士の銅像を見つけるなり


「┄うむ、やはりここあったわね」


と呟くなり、銅像の回りを動き、しげしげと観察して、ぬぬ、とか、なるほど、とか、へえ、とか呟き


「┄うん、やっぱり騎士だよね!」

「このマントに、このフォルム、姿形に剣を握る筋肉、萌える!」

「素晴らしいわあ」


とキラキラした瞳が銅像に注がれて


銅像マニアか、騎士に憧れているようしか見えない彼女の言動に、じ~っと見つめていたら


俺の視線に気づいたのか、バッと振り向くなり妙に恥じらいながらも怒ってる態度で、俺の近くにくるなり


「┄いまの見てたの?」


自身の姿が余程不可解なものであると自覚していたらしい彼女に、怒ってる態度をとられたが、どうにも前に会った俺だとは気づいてないらしく、プンプンな彼女に、ちょっとは気づいて欲しかった残念感があったなと客観的に思ってしまう


まあ、そこまで存在感を出してないから気づかれなかったが、いまは気配だけでも見て貰えたことだけに満足しようと決めて


彼女の問いに答えるため頷いた。


すると意外にも、もっと怒ると思えた彼女が、カーッと赤面してしゃがみ込み恥ずかしがっていた。


なんだ急にと思えたけど、すぐに彼女が口を開き、俺を見上げて説明してきた


誰もいないと踏んでの行動だったのに、人がいたことが、自身に恥ずかしさが込み上げてきたんだと話してくれた。


なんだろう、可愛いんだけど┄凄く


あまり接点はなく、空気的な俺が彼女を見かけただけであり、初会話なんて俺の事を小さい子どもだと言われショックのあまり、頑張って成長したけどさ


まるで初対面な対応にもショックだったけどさ


二度目の会話が、この可愛い反応はズルイと思う、胸がキュンキュンしてしまう


しゃがんでいる彼女が見上げる顔は、頬を赤め、瞳が濡れているのが、ヤバイくらい可愛いくて、ドキドキする


「┄えっと、あまり┄ジッと見られるのは、余計に自分の羞恥心がくるんだけど、呆れてる?」


ジッとマジマジと可愛いさ観察で、ドキドキしてる俺を、どうも呆れてると勘違いしている彼女に、一瞬、え⁉ とか呟きつつも


ハッと気づいてしまう、先程の会話の最中に、真顔で見られていたら困惑するよなと


俺は慌てて両手をブンブン振って


「┄いや、ごめん。別に呆れてるわけではないから、ただ┄えっと┄か、格好良いよな騎士って┄┄┄」


いま、可愛いくて見惚れてた、なんて言いそうになり誤魔化すように告げると、彼女は少しの間を空けてから、何を思ったのか


急に立ち上がり、俺の近くにくるなりガシッと両手を包まれたあと


「┄え⁉ もしかして、貴方も騎士好きなの? 仲間が仲間がいたーー!!」


とか言い、ぎゅむりと力強く握るカリーナ嬢に、逆に動揺するけれど、まあ父上からは騎士になるような教養も武術も学ばされ、いつか王子の護衛にと言われているが


別に騎士好きではないのだが、そう思うものの会話にて否定し、せっかくの話すチャンスを棒にふるのは、勿体ないと判断した俺は


彼女を落ち着かせ、横に座るように進めたあと、騎士好きに対しての憧れを少しばかり話せば、彼女からは特にマニアとも言えることまで、身振り手振りで説明と熱弁をする彼女に


可愛いさがあり、楽しいときは本当に表情がコロコロ変わって、話題よりも彼女を見ているほうが楽しい気持ちになっていた


だけど彼女から、騎士好きになった人物の話題になったとき何だか不愉快な気持ちになった


「でね┄騎士好きになったのは、私には大好きな人がいるんだけど、その人はね。格好良くて、クールで、物事を冷静に判断するの、そして剣術が素晴らしくて、あの煌めくマントと騎士服に纏われた彼の姿は、もう格好良いんだよ!」


うっとりと熱弁して、顔を赤に染める姿が、まるで恋をしているような感じに見えた俺は、なんだか、複雑な感覚が襲う


ぎゅむりとズボンの服を無意識に掴み


「┄へえ~そう言う人物が、す、好きなんだ?」


とたどたどしく言うと彼女は、うん‼ と速答されてズキンと胸が痛む


「なんだか、羨ましいな~君に、そう思える相手は、俺だったらいいのに」


なんだか悔しさもあるけれど、彼女にそれだけ称賛される人物が羨ましくなる


いまの俺との共通点なんて少ししか検討がつかないからだ。


だから彼女が憧れてくれるなら、自分がいいなと思って呟くと彼女が、俺を見つめて


「┄ならさあ、君も騎士になったらいいよ。私は騎士好きだし、憧れの人がいるけど、君は強くなる気がするし、きっと将来、騎士服が似合うと思うんだよね」

「それに、初対面だけど┄君なら何だか気楽に話せるし、私の憧れになれるかもよ」

「┄┄┄何だよ、その不純な動機は」

「ふふ、でも┄きっと似合うよ」


ニコニコと楽観的に話す彼女に、目を見開きながら驚くが、似合うと言ってくれるならば、それを将来の目標にするのも、いいかなと思える


だって先程の胸が痛む感覚がなくなり、胸があたたかい気持ちになるし、動機としては不純だけど、彼女に俺という存在を刻み付けたい気持ちが込み上げてきていたからだ


「┄そっか、騎士好きなら目指そうかな┄俺」

「うん┄目指しなよ、私、応援するよ」


ニカッと楽しげな彼女に、胸がキュンキュンとドキドキがして、応援してくれるなら頑張ってやろうと握り拳をつくる


◆◇◆◇


そのあと少し会話をするなか、サンファリス達の話題になる


何でサンファリス達かと言う話題になったのか、それはサンファリス達の愚痴が沸々と込み上げてきたらしいからだ


どうにも俺の応援するなら、友人に対しては起きないのかと、逆に聞いたのが始まりで最終的には愚痴となるという不思議な現象がおきたのだ


だから話題変わりに、もしもの話しで憧れの人物が将来についてという題目を振ってみた


「なあ、もしも君が憧れている人が、サンファリスとかジャックストとかヴィンセント、シリアルだった場合で口説かれたらどうする?」

「ないわね」

「え⁉ 速答なのかい?」

「┄だって彼らは友人であって、私の好みより圏外に属する方達だもの、口説かれるなんて、絶対ないわね!」


などとキッパリと告げるカリーナ嬢に、一瞬ポカンとしてしまう


なんだろう、妙に安堵感がありながらも、サンファリス達に、何処か気の毒かんがあった。


そんな中で、なら俺は? と聞きたくなる気持ちになる


「┄ならさあ、将来┄騎士になったら、その~君を口説きに行ってもいいかな?」


少々、自分で言っておきながら、照れてしまう俺って情けないとか思いつつ、彼女の動向を見れば


彼女は、急な俺の発言に驚きながらも、少し恥ずかしげに


「┄えっと┄考えておきます┄」


と応えてくれるため、ヤバイぐらいに歓喜したくなる。その可愛い反応は、俺だけに向けてくれるなら、流れで騎士になるよりも、君を捕まえて自分の側にいてくれる、理想の憧れの人物になってあげるよ


将来┄覚悟してよね


だって君を他の人に渡したくないと思ってしまったから


そのあと、カリーナ嬢は途中からニコニコと笑う俺に、妙に照れていたものの、用事を思いだしたと慌てて立ち去ろうと走っていき


少しの距離をあけたあと


「┄じゃあね」


と律儀に挨拶をして、手をふるため、俺もふりかえしておいた。


多少、寂しく思うものの


すぐに俺は気持ちを切り換えて、行動に移すことにした。


最初に父上のもとへと向かい、将来について強くなり騎士を目指す意図を伝えると父上は、どういう風の吹き回しだと訝しげられた


まあ日頃から、面倒くさいとか言って訓練も身長のためだという不純な動機だったせいもあるが


だが動機に、今回は彼女のためとは言わないでおいた。下手に気になる人が出来たなど言えば、この父上が歓喜で踊りだしそうでムカツクからだ


では動機を何にするか?


そんなのは決まっている、最近、王子と仲良くなっていたから、そいつの危なっかしさが心配とか、面倒を見てやりたくなったとか、色々とつらつら話していけば


少々いまだに納得してないような表情をされながらも、珍しくやる気になっている俺に、深く溜め息を吐いたあと


「┄わかった、今日からビシバシと厳しくするから覚悟しろ!」

「┄ああ、今日から宜しくお願いします‼」


互いに師弟のような対応のあと道場にいき、訓練という鍛練をすることになった。


辛くなることも、めげそうになることもあった訓練も、彼女の理想に憧れになるため、俺の存在を刻み、捕まえてしまえるのを目標にすれば、不思議とやる気が込み上げてくる


◆◇◆◇


そして、年月は過ぎていき


俺は騎士見習いであるが、成長期のお陰で学園に通う頃には、身長は伸びに伸びた


性格も意外にも落ち着きが出て、本当に彼女の理想に近づいてくれていたら、とても嬉しく思う


それに、あれ以降も彼女を色々な所で会うけれど、会話はすることはなく、せかせかと動き回る彼女の姿を見かける度に、微笑ましく可愛いとか思え、いつの頃からか、自分の気持ちが恋心に変化した。


だからだろうけど、学園の寮から出たあとのランニングで、彼女が友人のジャックと会話しているだけで、ムカツクようになっていた。


まあ、そのあとランニングから帰ってから、同室に戻っていたジャックに八つ当たりを込めて、くすぐってしまったのはしょうがいと思う


ジャックは、ハアハアと息を切らし


「┄何だよ、お前は! 八つ当たりされることなんて、俺、なにかしたか?」

「した、酷く腹正しいことをな‼」

「はあ? した覚えはないんだけど」


文句を言われる筋合いがないと、ジャックが言っていたが、これは八つ当たりだから知るわけがないだろうさ


「カリーナ嬢と仲良く話していたからな、お前が」

「うわあ~なに、その独占欲、まじで惚れてんなルドは、まあ、事実的には俺も気持ちはわかるけどさ」

「┄ジャック、カリーナ嬢には触れるなよ。まじで切り殺したくなるから」

「こわっ、お前、昔より性格悪くなったな」

「性格悪くもなるさ、カリーナ嬢が日に日に美しく聡明で綺麗になっているせいで、そこら辺の虫どもの狼に狙われていると思うと、煮えくりたくなる」


ワナワナと拳に力を入れて、怒りが沸いていると、ジャックが呆れてるように息を吐いて


「まあ、落ち着けって、お前がキレるとマジで危険なんだからさ。それに俺達が出来るだけ、悪い虫は近づけさせてないだろう」


ジャックが笑みを浮かべて言うが、お前らも、俺にとってはカリーナ嬢の花に群がる虫だとわかってないのかね


しかし俺も騎士見習いとかで、父上に魔物討伐とかに駆り出されたり、こいつら生徒会の仕事の雑務とかにより忙しくて


せっかく彼女の理想になって口説こうと思っていたのに、まるで邪魔をするがの如く、つぎつぎと、動き回るはめになっているのだから


一度締め上げたくなった


だが王子により、何だかんだで、まるめこまされ、実行できずにいまにいたる


チッ


つい舌打ちが漏れてしまう俺に、ジャックは何故か楽しそうだったが、ムカツクのでくすぐっておいた。ざまあみろ!


3分間のくすぐり刑を実行し、笑い疲れたらしい友人のジャックはベッドでくたびれている間に、俺は騎士服見習いの服を着て学園にいく準備をした。


今日は学園は休日だが、王子に呼び出されている、どうにもやってほしいことがあるらしかった。


◇◆◇◆◇◆


学園は寮からは結構近いため、すぐに到着した俺は生徒会室の扉を開けて中に入ると


生徒会会長の執務机にて王子が悠々と仕事を手際よく捌いている姿に、あいもかわらず優秀な方だと感じながら、机に近づくと


王子が私の存在に気づき、とても楽しげに笑うなり、仕事の手を止める


「いつもより早く来たな、ルドルフ」

「オーヴェスト殿下に呼び出しを無視するなど、我が騎士に背くもどうりですので」


一礼と挨拶をすれば、王子はクスクスと笑む


「いまは、私とお前だけだ。そんな堅苦しい挨拶はいいさ┄いつも通りに話せ、わざとらしいから」

「おや、わざとらしいとは失礼ですね。まあ王子がそう言うのでしたら、しょうがないのですね」

「では┄オーヴェスト、俺に話とはなんですか? 貴重な時間を裂いて来たんです、さっさたと話してくれないか?」

「┄砕けすぎだが、まあいい。実はな┄ここ一週間ばかりに魔物が学園に侵入したと、被害届がチラホラと報告が上がっていてな、お前も知っているだろう」

「┄はい」


まさか王子から、あの魔物に対しての報告だとは、本気で驚くが、被害届がまた出ていたんだな


「実はな、そのことで┄また調査に出て欲しいんだが、大丈夫かと思ってな」

「別に大丈夫ですよ、今回の魔物の侵入には父上からも早期に動けと命令されてたからな」

「さすが対処が早い方だな、ならば早急に動き解決に勤しんでくれ、私の頼みはそれだ」

「御意」


王子からの命令に、俺はビシッと敬礼をし、任務を承諾する


承諾後に王子に俺の好きな人の話題になり、からかわれたりと少々、赤面するはめになったが


あまりにも自分の気持ちを代弁する王子に、胸中にて罵倒したくなったりした。


本人に言っても、どうせ笑って倍に罵倒されるので言わないがな


次に他の用件がないかを確認後、生徒会室を退出し、俺は早々に仕事を手際よく片付けるべく動くことにした。


◆◇◆◇


魔物であるビスターラビットは群れで動くのが特徴で、10匹ほど学園の敷地内に潜伏している


外の広範囲の広がる敷地内を小動物と化けている魔物を探そうと思えば、この学園の広さは居心地がいい環境となっている可能性がある


下手すると繁殖してしまえば、国直属の騎士が動く羽目になる


だからこそ、学園の生徒会が魔物等を裏で討伐することもあったりするのだ


そして俺はその魔物を探すため、気配探知のスキルを発動しながら歩き回っていた。


探した場所は中庭や運動場に闘技場、近くにある森林区画の場所などを見ていくが、中々に見つからず寮の帰宅時間になってしまう


しょうがない今日は諦めるかと、肩をコキコキしていたら、夕日が傾く頃に一人歩きをしている少女がいた。


淡いピンク色をした、最近良く、王子やサルファン、ジャック、ヴィンセント、シリアル、そして平民からのラルフや俺に甘ったらしく、近づいてアプローチしてくる奴だと気づく


あまり好きになれない少女に俺は、一度無視しようかと考えたが、今日は休日もあり生徒も部活をしている人物ぐらいだ


もしも寮から通ってない場合、危険かと声をかけようとしたが、俺が気配を遮断させるスキルを発動しているせいか


目の前を素通りしていき、異様に悔しそうな表情と涙を浮かべ「┄なんなのよ、あの女」とブツブツと呟き、女性らしくない足取りで


あの甘ったらしく、可愛い表情を崩して怒る少女に、こっちが本性なんだろうなと思えた。


なんだか変に驚くことはなく、もとよりジャックやサルファンが異様に引いていたから、苦手な分類なのだと思えたし、ヴィンセントやシリアルなんて、この少女の言動が不可解だと感じていたようだった。


そして俺も、こうも男どもにアプローチするなど、女性としてどうかとも思う


淑女たるものが、男性をはべらすなど、貴族でも護衛か、男性好きのご婦人、あと娼婦ぐらいだ。


学園で友人ならまだしも、まるで口説こうと甘く男性にすり寄る様は、俺やサルファン達には不気味としか感じていない


ときどき、この少女からのアプローチの後に、いちいちカリーナ嬢に慰めて貰いにいく姿を目撃したとき、少し羨ましさと嫉妬心があったが、カリーナ嬢には慰めてやる気がないのか、そうそうに少女に生け贄のように、あげている姿をみて


ホッとするのと、面倒そうな表情が可愛いくて、クスクスと笑ってしまった


なんだろう、カリーナ嬢の顔が見たくなったな


などと┄少女を頭から除外しカリーナ嬢への思いにふけっていたものの、すぐに少女のことを思い出してみたが、少女はいなくなっていた。


足が速いな、まあ何か逞しそうだし大丈夫だろう


そう判断して俺はこのあと、寮へと帰宅した。


寮へと帰ったあと夕食を終えて、談話室にて今日の帰りにあの少女を見かけたことをサルファン達と王子に話題をふれば


全員┄うわあ気の毒とか失礼な事を言っていたが、()()()()()()()() と語尾を強めに告げる


すると皆して笑い、わあってるって、とか、からかっただけ、とか、また失礼な事をつらつらと言われたものの、最終的には謝る友人達に少々呆れながら話を続けるなか


「そういえば┄あの少女の名前って、知ってるか?」


ふいに自分があの少女のことを知らないなと、何となく思って口走ると、皆して、はい?、とか間抜けな声を出された。


「┄┄いまさらだな、あの女はきちんと自己紹介もしてなかったのか?」

「┄さあ?┄会っていても、聞き流してたからな」

「ルドルフらしいな┄本当に」

「そりゃあそうだろうな、こいつ興味ない奴には、ほぼ聞き流すから。それにルドは好きな人に誤解されたくないから、紳士ぶってるし」


と王子が呆れているなかで、ジャックがちゃちゃをいれながらの、からかいにジロッと睨めば、うわっ、こわ! とか言っている


そんなジャックは、後でくすぐりの刑に処することを心に決めてから


再び名前を教えて貰い、そんな名前だったなと確認できた。


もしも今後、その少女に名前などを聞かれ、知らないなど言えば、泣き出しそうだしな


なんとなく┄┄┄┄


そんな会話のあと、王子やサルファン達には、今日のビスターラビットの成果を話して、芳しくなかったことを報告した


◇◆◇◆◇◆


報告の後には解散し、部屋にジャックと戻ったあとは会話をしたあと、くすぐりの刑を実行し、ジャックに文句を言われたが、ムカツかせたお前が悪いと、言ってハイパーくすぐりを食らわし、地面にて死んだ


ふうーと、してやったりの俺を、息を吹き返したジャックが、何かブツブツ言っていたが、無視をして、ベッドに横になったあと


なんとなく┄カリーナ嬢の事を思う


早く会話したいな、一学年違うせいで、一緒の学年でない自分が嫌になる


会話だけでも早く出来ることを願い、俺は疲れた身体のもと眠りに落ちていった。


◆◇◆◇


次の日には、学園の授業の合間に気配探知を使い探したが、たどり着いた所で、別の場所へと動くせいで、中々に見つからず


気づいたときには、授業をサボるはめになった。


まあ王子がどうにか先生に言い訳をしてくれるだろう、きっと


そう信じて捜索して、次に気づいたときには昼休みの時間になり、俺は中々に見つからない事に対して違和感を感じ始めていた。


「┄変だな、こうも上手く逃げられるなんて、ビスターラビットは、こんなに頭がよかっただろうか?」


しばし考えていれば、ヒュンと風を切り裂く音が俺の耳に聞こえ、辺りを探してみると


空中を風に乗り、優雅に飛んでいる姿を目撃した。


なるほど、空を移動していたわけか


まあ一匹だけでも見つけられたら情状かもな


俺は┄そう思い、手に雷撃の玉を形成させ撃ち込むと、ビスターラビットは攻撃された事に気づいたらしく


雷撃の玉の気配に瞬時に避けた


そして投げた俺に気づくと、ビクッ! として、そのままスピードをあげて逃げようとする


へえー、俺から逃げられると思うとは甘いな


足に加速のスキルを発動し、ビスターラビットを追っていく中で、ウロウロと動き回る間にいつのまにやら、体育館裏の草むら辺りに出るはめになった。


あーくそ、中々に素早い奴だ


と悪態をつきたくなるなか、俺はこのとき運命ってあるんだな~って変に思ってしまった。


何故なら、ビスターラビットを追っていたら、俺がもっとも大切で最愛の女性、カリーナ・ミルフィー嬢が、近場にいるのだから


これは┄夢、白昼夢か?


いやいや、それとも、ビスターラビットの見せた幻で、俺に隙を作らせるための


とか色々と考え、頭の中が混乱していて、固まって、見ていれば


「┄ルドルフ様ですか?」


と甘い声のねっとりしたものが、目の前の愛しい人を遮られ、イラッとしたが


ここで避けようものなら、もっと迫り彼女に誤解されたくないと、笑顔の仮面を張り付けておいた。


「ああ、そうだが。なんだ、いま私は探し物で忙しいんだが?」

「あの、なら私もお手伝いしましょうか?」

「┄いや、いい私の探し物は物ではないからな」

「え?」


一応は物ではなく、魔物だから余計な気遣いは無用だと、胸中にて思っての対応をする俺に、この少女は、本気で驚いていた。


どうしたんだ? とか疑問を感じていた瞬間だった。


少女の後方から「きゃあ」と声がして、カリーナ嬢に何かあったのかと焦り、急ぎ彼女のもとへと駆け寄る


するとそこにはカリーナ嬢の顔面に、ビスターラビットが覆い被さり、身動きしないカリーナ嬢の姿に、何を羨ましい、いや違う、何を襲ってやがる! とビスターラビットを引っ張り剥がした


マジで、後で締め上げようと思ってカリーナ嬢を見れば


妙にキラキラしたような綺麗な瞳で、見つめ返され、抱きつきたいとか、久し振りに話せて嬉しいとかの感情がいっきに来るが


よからぬ感情をいきなり向けて、彼女を驚かすのも気が引けて、まだ捕まえるのはここじゃないと思えた。


再会でガツガツしてると思われ、嫌われたくないからな


そう瞬時に考え頭を切り換えた


「┄良かった、こいつに怪我されてなかったな」


彼女の顔に、ビスターラビットの爪跡や怪我の一つでもついていたら、本気で消したくなったが、何一つ怪我のない顔に安堵した


するとカリーナ嬢は、ビスターラビットを見て何故か、愛しい動物でも見ているかの表情をし、とても興味本意に触りたいと、手を伸ばしてくるため、俺は咄嗟にカリーナ嬢の腕を掴んでしまう


そしてビスターラビットが危険で凶暴な魔物であると、出来るだけ怒鳴りたい衝動を抑えて注意すると、カリーナ嬢は少しの沈黙のあと返事を返してくれた


しかし同時にカリーナ嬢の顔が赤くなっていく姿に、どうしたのかと思えば


視線の先が手首に注がれていることに気づく


俺は腕を掴んでいたんだったよな⁉


思い出せば、途端に動悸が早くなり慌てて手を離した。


「いや、すまない。清い令嬢の手を掴んだままとは、痛くなかったか?」

「┄はい、大丈夫です」

「ならいいんだ、それよりコイツはどうするかな? 他にもいるんだが、学園のあちこちにいるからな」


思い起こせば、探索スキルには色々な場所にポツポツと点滅しているし、一匹捕まえても、まだ色々いる魔物を捕まえるのは骨が折れるなと

考えているなか


突如、点滅していた魔物が一斉に頭上に集まり、何故かカリーナ嬢の側に舞い降りてきた。


どういうわけだ?


不可解な疑問が込み上げてくるが、それよりも

ビスターラビットが変になつく理由が、すぐにわかるはめになった。


カリーナ嬢が懐からお菓子を取り出し、ビスターラビットにあげていたとき、暖かなオーラが出ていて、ビスターラビットがそれを食べていた。


こいつら、マーキングしてやがる!


そう気づいて俺はカリーナ嬢に声をかけようとしたけれど、タイミングよくカリーナ嬢が振り返り、バッチリと視線があった


俺に向けて不思議そうな表情で見上げてくる姿に、可愛いなとか思いじーっと見つめてしまう


「┄┄あの、どうか┄したんですか?」


あまりにも見ていたせいか、首を傾げるため

もしかして気持ち悪いかと、視線をビスターラビットに向けてみる


すると黙々とクッキー菓子を食べる姿には悪意はないが、チラチラとオーラごと食べるビスターラビットには威圧を使い大人しくさせて


「いや、魔物と仲良くしているから、ついビックリしてね」


と言ってみたら、カリーナ嬢がビスターラビットに視線を戻し、クスクスと楽しげな表情を浮かべ


「確かに変ですね。でも、餌のクッキーにして食べる姿って可愛いですよね」


優しくも心の清いカリーナ嬢に、俺は┄


「そうだね、でも君もかわいいかな」


とつい本音がポロリと出てしまう


すると俺の言葉に、カリーナ嬢がとても間を開けて、驚き聞き返され、もしかして聞かれたかと恥ずかしくなり、視線をそらしてしまう


だから何も言ってないと誤魔化した。


そのときカリーナ嬢が妙に残念そうな返事を返され、つい見てしまうが、すぐにいつものカリーナ嬢に戻り、俺はホッとした。


そのあとは、餌に油断しているビスターラビットを捕獲するために集めれば10匹ぐらい


俺はカリーナ嬢にお礼と、感謝の言葉を告げたあと彼女と別れた


◇◆◇◆◇◆


捕獲したビスターラビットは、一応の厳重に動物用の捕獲牢屋に入れたあと、いっきに捕まえ安堵と、カリーナ嬢と会話し触れたせいか、とても高揚感があった。


あーヤバイ、顔がニヤける


出来るだけカリーナ嬢の前じゃ、冷静で格好良い感じを崩さないようにしていたが


本音的には、カリーナ嬢に触れたくて、触れたくて、我慢した。


久し振りの声なんか、涼やかな風の花のようで、柔らかく、あの唇から出た場所に触れて見たくなった。


抱きしめたいし、触れたい


一回触れたせいで、スケベな自分が嫌になる


どんだけ好きなのかと、いっそ告白したいが


まだ俺には勇気がもてない、だって彼女には好きな人が幼少期に会ったときに言っていたから


フラれるのは、きつい


だからフラれるより、その好きな人よりも、俺を見て貰い、自分の方が一番になってもらいたい


そのためにも、段階的にも側に入れる権利を彼女から貰い、そして徐々に彼女を捕まえるためにアタックする


これがいまの段階で俺が出した考えだ


何かきっかけでもあれば、いいんだけどな


ぼんやりとそんな事を考えていれば


「┄おーい、ルド、そんな所で何をしてるんだ?」


とか声がして、振り向いてみると


ブンブンと手を振るヴィンセントが走ってきて、近くにくると爽やかな笑顔を向ける


「┄いつも爽やかだな、お前」

「はは、それ褒めてないだろう!」

「ヴィンを褒める必要はないからな、とくにカリーナ嬢にはベタベタと馴れ馴れしいし」

「┄┄┄お前って独占欲ありすぎだな」


呆れ気味に告げてくるヴィンセントに、俺は不敵に笑うなり


「あたりまえだ! 彼女は俺が惚れて、捕まえるべく計画中だからな、余計な虫は排除するさ」

「うわあー、凄いな。でも俺も彼女を譲る気はないから、アタックするけどな」

「斬っていいか?」


シャキンと俺は腰から剣に手を添えて、ヴィンセントを睨めば、全力で両手を左右にブンブン振る


「いやいや、斬るなよな。まったく┄カリーナ嬢のことになると、本当に物騒だな┄お前」


俺は剣から手を離したあと思うのだ、ヴィンセント達は彼女との交流があるから、まだいいさ


だけど俺は幼い頃に会っていたのに、いまだに気づいてもらえず、先程┄久し振りに接触できたんだ。


忙しくて交流出来なかったのもあるが、ヴィンセント達と違い、一緒にいるのを俺がそこまで側にいることを許して貰うのは変になる


幼馴染み枠には俺は入っていないのだから


そのぶんは今から取り戻すために、俺が必死になってなにが悪い


「┄あたりまえだ、交流出来てるお前らと、俺との間に、決定的な溝があるからな、必死にもなるさ」

「そうかねえ┄あんまり俺らに対しては┄┄まあいいか、恋のライバルにわざわざヒントやるのも面白くないしな」

「それよりもだ! これなんなわけ?」


突飛的に話をそらすヴィンセントに、僅かながら疑問が沸いたが、俺も一瞬忘れかけていた魔物を指差して言われ


俺は横にあるビスターラビットの牢屋を見れば、今は静かに眠っている様子で安心する


「こいつは、ビスターラビットの魔物だよ。生徒会でも話題に上がってるからヴィンセントも知ってるだろう?」

「まあな、でも┄まさか、もう捕まえてるとは、凄いよな┄┄こいつは昼間は変に大人しいけど、素早さがあって捕獲できないからな」

「でも夜になる前で、少し安心したかも」

「なんだ? その物言いは、夜になると何かあるのか?」

「あるんだよ、ルドルフも聞いた事はあるだろ? ビスターラビットは夕方から夜に狩りをするんだよ、人を餌にしてな」


それに┄と言いかけて、ヴィンセントは言いにくいように、殊更に詳しい情報を説明してくれた。


どうにも昨日も被害者が出たらしく、夜に狩りをし、一人歩きをしていた女生徒が怪我をされ、偶然にシリアルが助けに入って危機を達したらしい


そしてビスターラビットの連携に不可解な疑問を感じたシリアルが、よく観察するなかで見つけた。


ビスターラビットの中央に、サイズ的にも大柄な者が、ビスターラビット達に命令し、統率のとれた動きをしていたことに


シリアルは咄嗟に女生徒を守るなかで、それだけ観察後に、ビスターラビットを遠距離にて攻撃魔法を使い、どうにかなったらしい


俺はヴィンセントの説明を聞いてあと、ビスターラビットを観察した


良く見ると、ビスターラビットに、そのような姿の魔物が見当たらなかったと判断した瞬間


俺とヴィンセントは互いに、異様な気配を感じ、俺が立ち上がると同時に剣を抜いた


ヴィンセントも剣を右手に顕現させ、警戒をした


次の瞬間だった、急に強い旋風が刃となり無数に襲いかかってくるため、魔法結界を発動しヴィンセントを守るなかで、一匹の大柄な魔物が捕まえていたビスターラビットの牢屋をぶち壊していく


爪を振り裂いていく姿には、ビスターラビットの毛皮と同じものであり、進化型だと思えた


しかし、その魔物に好き放題され、せっかく捕獲したビスターラビットが逃げられては、たまったものではない!


俺はすぐに結界を解き放ち、ヴィンセントと連携のもと、大柄な魔物を攻撃する、その数秒間の間に魔物はビスターラビットの牢屋を壊し終えていて、素早く逃げてしまう


頭の使い方、散開の素早さなどは、進化型だと判明したも道理であり、逃がした事への落胆により、まじでへこんだ


ヴィンセントは苦笑気味に励ましの言葉を貰うが、さすがに嫌になりかかったとき


「┄なあ、ルド? ひとつお前に聞きたいんだけど、どうやってビスターラビットを捕まえたんだ?」

「は? そんなのは┄┄って!┄ヤバイな、このままだと、カリーナ嬢が危険だ⁉」

「なっ! どういうことだよ、ちゃんと説明しろ、カリーナ嬢が危険って、なんだよ⁉」


俺は今すぐにでもカリーナ嬢のところへと駆けつけたい衝動にかられたが、感情で動くのは我慢した。


もしかするとリーダ格のボスである魔物が動いた場合は、他にも生息しているビスターラビットと集団で行動し、カリーナ嬢に危険が余計に危うさを増す可能性があったからだ


だからこそヴィンセントや生徒会メンバーに協力してもらうために、事の成り行きを説明することにした。


段階を踏んでの説明を聞き終えたあと、ヴィンセントが、ワナワナと震え、ぎゅっと拳を握り、俺を真っ直ぐに見つめてくる


「なるほど理解した。なら、俺はあいつらに連絡するために動くことにする、だから┄今回はお前に俺達の姫君を預けてやるから、絶対に守れ。いいな!」

「当たり前だ!┄俺の騎士として、彼女に傷一つ付ける気はない‼」

「┄┄ふっ、頼んだぜ、ルド‼」

「ああ」


そう言い合うなり、拳を互いに軽く当てたあとは、互いに行動に移した。


俺はカリーナ嬢をヴィンセントは生徒会メンバーの所へと


◇◆◇◆◇◆


カリーナ嬢を探すこと数分、学園内の外にはいないことを確認した俺は、帰宅時間になっていることに気づき、教室内へと捜索を変える


確かカリーナ嬢は一年生だったから、一階あたりだったよな、クラスは三組


よし、ここだな


そう確認をしたあと、中を覗けば俺はカリーナ嬢がジッと何かを覗いて不敵な笑みと、クスクスと笑う姿に、異様な雰囲気がした


なにがそんなにおかしいのかと見ていたが、すぐに動いて教室を出てきた。


声をかけようかと、思うが教室を出たあとに中を確認して呆れていた。


何を見てるんだと教室の中を確認すると、あの甘える女性がブツブツと呟いている様子だった


とつい目を離したせいで、カリーナ嬢に視線を戻すといつの間にか、いなくなっていて驚いた


いつの間に! っていうか気配を消して見てるせいで、声をかける前に気づかれなかったことに、ちょっとへこむが、首をふり気合いを入れるも顔を叩いた。


よし、気合いが入った。


俺はそう思い、再びカリーナ嬢を探そうとした矢先、甘えてくる女性が何故かカリーナ嬢の机だろう場所に行き、何かを呟きガリガリと憎しみのある表情を向けて、書き記していた。


何をしているんだ、あの女性は?


一瞬、そう思うが、まあ気にすることでもないかとカリーナ嬢を探すことを最優先にして教室から遠ざかったが、このとき俺はもっと確認しておけば、カリーナ嬢の大切な物を守れたのだろうが、このときの俺は知ることはなかった。


そのあと、教室などを色々、捜索を続けたがカリーナ嬢まで見当たらず困っていたが、もしかすると寮に戻ったのかと、思えば余計に焦る


あすこの道筋は、いまは特に被害情報が頻繁していることもあるし、カリーナ嬢はビスターラビットにマーキングなどされていて、とても危険な状態なんだよな


あ~俺が、あのとき声をかけておけば


と思うが、反省するよりも動けと父上から活をいれられそうな気分になり、急ぎ寮へと帰る道筋へと移動した。


外も夕刻に近づき始め、外灯に光属性の魔道具がポツポツと灯りだした場所にて、外灯の下を俺の愛しい人、ゴホン、探していた人を見つけて、まだ何も起こっていないことに安堵し


カリーナ嬢の近くまで駆け寄り声をかけようと、ついカリーナ嬢の肩に触れてしまう


するとビクッと肩を跳ねて驚かれ、女性らしくない声で「ギャア~~!」と叫ばれた。


悲鳴がギャア~~! って、男らしい叫びだな、女性らしくないけど、何か可愛いな


まあ急に後方から声をかけられたら、普通に驚くよな、少し悪い気がしつつ謝罪の言葉を含ませ


「┄あ、すまない。驚かせるつもりはなかったんだ、そんなに怖がらせてしまい悪い」


と声をかければ、何故かカチンと固まりゆっくりと振り向いたあと、俺の存在に気づいたらしく、硬直をとき、あわあわと動揺しては、必死に弁解された。


「ル、ル、ルドルフ様、べ、べつに怖くはなくて、唐突な出来事に驚いたんです」

「それよりルドルフ様こそ、私に声をかけるなんて、どうかしたんですか?」


カミカミな言葉に、咳払いをして俺に告げてくるカリーナ嬢の動揺さに、何だか可愛い小動物が愛くるしく見つめてくる瞳に可愛いさがあって、いつまでも可愛い彼女を見ていたい気持ちになる


だからだろう、自然に笑みを浮かべてしまう


本当に困るよな、惚れたら危機感のある状況なのに、触れたいとか抱きしめたいとか、沸々と欲が出てきてしまう


キラキラと輝くカリーナ嬢を目の前にすると


だが冷静になるべきだし、まだ側にはカリーナ嬢の許可が必要だ。


捕まえるのは段階だよな、俺よ


そんなことを瞬時に思考を巡らせ、気持ちを落ち着かせたあと、真っ直ぐにカリーナ嬢を見るなり、いまは彼女を守るところに専念しようと決意を固めた


「┄カリーナ嬢を探しておりました」

「え⁉ 私を┄ですか?」

「はい、どうしても、お願いしたいことがありまして、今日のときに出会った魔物のことをご存知ですよね?」


コクリとカリーナ嬢が頷く姿は、少し不安げであり、マーキングされてしまったことに気づいたのだろう彼女に


俺はそっと優しく手を掴み安心出来るように触れた


「なら良かった、その魔物がまたも逃げてしまったのです。時間が宜しければ、カリーナ嬢の時間を私にくれませんか?」


にっこりと笑みを浮かべてみれば、カリーナ嬢が俯いてしまい、とても動揺しているようにフルフルと震えていて、もしかして怖がらせたかと不安を感じていたら


今度は深呼吸をしていて、俯いていた顔が俺を向いた表情は、何故かキラキラしていて


「はい」


と返事をかえしてくれた。


その表情は落ち込んでいるものではなく、前を向いている表情だったことに、俺は安堵し礼を述べたのだった


そのあとは彼女に側にいることで護衛することは伏せて、ビスターラビットの捜索を手伝って貰うことを告げて、色々と話し合いをしておいた。


次に早く彼女を安全にするために一緒に、ビスターラビットを捜索していく


学園の教室、生徒会室、中庭、体育館、生徒用の寮の前などを、しらみ潰しに捜索するが中々に見つけることは叶わず


いつの間にか夕刻は過ぎ去り、夜の帳が辺りを支配してしまうが、光属性の外灯により暗闇になることはなく、いまはカリーナ嬢と横を並び歩いていた。


チラリと彼女を見ると、髪が外灯の光によりあたって綺麗に輝く姿が俺の胸にドキリと高鳴り、心臓の脈動が早くなり


うう、抱き締めたい


という邪な願望が来てしまう、何故ならば二人っきりだし、僅かながら会話などしてるんだぞ


あんなに会話や側にいれることを願ったことが、近くにある、こんな嬉しいことはないと叫びたい。


やらないけどな、どんだけだと自分で自分を引いてしまうからな


などと良からぬことに思考を巡らしながら、カリーナ嬢を見つめて歩いていれば、カリーナ嬢が急に顔の百面相をし始めていた。


しかしニマニマして緩みだしたかと思えば、自身の両頬を両手で叩きだし、バンッと良い音を出していた。


俺は急にどうしたのかと驚き


「┄┄何を、しているんだ?」


と聞いて見れば、カリーナ嬢が俺の言葉に振り向いて、可愛い瞳で俺を見つめるなり少しの戸惑いと困惑を滲ませながらも、真っ直ぐに


「┄えっと、あまりにもみつからないから、諦めないように気合いを入れておりました」


と両手を握りながら告げるカリーナ嬢に、妙に胸にキュンと、ときめきを感じてしまうと同時に、彼女を独占したい思いが沸き起こり


とてもじゃないが、彼女がいちいち可愛いくて、たまらなく愛しく、協力してもらっておきながらも、その心意気に惚れ直してしまう


時間を貰うと言って誘って良かったと思い


俺はカリーナ嬢を見つめ、ときめきをくれた礼に優しく思うままを告げようかと決意を固め


「君の時間を貰っているのは私の方なのに、君は┄┄」


俺を魅了させるね。と言いかけた瞬間、まるで邪魔をするかの如く、探知スキルにビスターラビットの集団が俺達の方向に集まっていく気配がした。


チッ、もっとウロチョロしてろよな、邪魔をしやがって


そう悪態を心の中にて愚痴りながらも、本来の目的は、ビスターラビットの捕獲なのだと思い出し落胆するも同時に、急ぎ思考を瞬時に考えた。


もしかすると夜の闇をもとより狙い、マーキングをしたものを餌にしていたのではないかと


被害にあった生徒も、昼と夜とを変えるビスターラビットに昼に無害を装い、マーキングをし、夜の寮や帰宅を狙い襲撃をしたのならば検討がつく


ここまで考えた俺はカリーナを守るため、邪な思考を頭の奥に一時的に追いやり、カリーナ嬢を抱き寄せる


一瞬、彼女がビクッとするため、男性にあまり触れてない、初心うぶな反応と柔らかい肌に俺の心臓が早くなり出すが、首を振り冷静さを取り戻す


そして彼女を真っ直ぐに見つめ、動揺している姿に俺は出来るだけ優しく、彼女に今の状況を話しておいた、すると彼女が何かを言いかけたが、もう寸前まで来ている気配に


「し、静かに、魔物がいます、手を離したとき、少し後方に避難して下さい」


と告げれば、彼女は頷いてくれた。


それを確認後に、彼女を解放し手を離したあとは俺は彼女を守るため、腰にさげている剣を抜き放ち、周囲を確認する


近くに来ているのは確かだと、わかっているが、夜のビスターラビットは素早さと攻撃力は昼と違い、差がある


何処から奇襲をするべくかと、ビスターラビットは警戒を纏わせ、敵意を剥き出しのような声を上げ、次には散開し四方八方より攻撃を仕掛け襲撃してきた。


俺は探知スキルを上昇させたまま、身体強化を発動させ、素早く動き、旋回してビスターラビットどもを攻撃する


その近くではカリーナ嬢の機転により、俺とカリーナの間にはドーム型の結界が張り巡らせたていた。


俺はカリーナ嬢の結界の素晴らしさに、チラリと見た瞬間には賛美が贈れるほどに強化されたものだと、見ていて判断出来た。


それにしても、やはり連繋が取れている動きは、どうにも違和感があるな


少々だが、気になりもしつつも


次々に片方ずつ剣の刃がないほうで、ビスターラビットを打撃し、もう片方では捕縛の魔法を発動し捕まえていく


そんなときだった、特にいま戦っているビスターラビットよりも野太い声が、カリーナ嬢の近くに聞こえてくるのを耳にした俺は


視線をカリーナ嬢に向けると、まんまるなフォルムの中に、毛をフワアと逆立てたビスターラビットの大型の魔物が、結界の外側より


歯を突き立て、ガリガリと噛み砕いていた


まるで餌を求める野獣のような獰猛さに、俺は┄あのままだと、結界などすぐに破壊されかねないと予測でき、回りにいるビスターラビットを早く始末したくなる気持ちにかられた


だが、予測が現実になり得たのに、結界が持たず、バリンっ! と音がしたあと


俺は本気で焦り、ビスターラビットを薙ぎ払った、素早く捕縛したのち、カリーナ嬢を助けようと振り向いたときだった


突如として急に周囲を焼き払うかの如く、焔と炎が揺らめき踊るように、ビスターラビットが焼き払われていった。


捕縛したものを避けての所業に、俺は誰の仕業かは気づくことが出来た


次に俺達の方向には、数人の足音と騎士の方々の先輩や、友人達が現れていた。


しかし、そんな中にて友人ヴィンセントだけが見当たらないと思い、探すと


ドスッと鈍い音がした方向を向けば


ヴィンセントが腹部を押さえて呻いている姿があった。


そして近くには、ざまあ見なさい! と言わんばかりに、冷めた目をヴィンセントに向けていることで判断した俺は、後でシメようと決意を固めて、近くにより声をかけた。


「┄ヴィンきてくれたんだな?」

「殿下より声をかけられてな、ルドが調査しているって聞かされたら、下手に多数の魔物だときついだろうし、捕縛も大変だろうってな?」

「┄そうか、すまない助かった」

「いや、いいって。それよりコイツらも生徒会だから、もとより手伝う気満々だったからな」


ヴィンセントが近くにいる連中に親指で示されれば、後方へ目線をやれば、魔物を討伐と捕縛をしている生徒会メンバーのジャックやシリアル、サルファンがいた。


まったく真面目で心強い奴等だよ!


俺は小さく笑み、ならばカリーナ嬢は怪我をせずにいられると安堵し


「ならば、さっさと片付けるぞヴィン!」

「ああ、そうこないとな」


ヴィンセントに声をかけた後、互いに散りビスターラビットを片付けていった。

生きている物は捕縛し、友人達が焼き殺したものは、片付ける作業を数分で終わらせていった。


一通り終わらしたあと、回りを浄化しようとしていたとき、友人達の方にカリーナ嬢が近寄る姿を目にし、お礼の言葉と笑顔を向けている瞬間、俺は焦り


咄嗟にカリーナ嬢の前に行き、彼女を俺の後ろへ隠した。


何故にそんなことをしたのか?


それはコイツらはカリーナ嬢に好意を持ち、隙を見せれば口説く気満々だからだ


げんに目の前では、カリーナ嬢の笑顔にやられて、コイツらが赤くなってるからな


俺はジロリと目を据わらせ睨んだ瞬間、友人達は苦笑を浮かべているが、変に満足そうな顔が癪に障るな


舌打ちしたくなり、牽制を込めて口を開き文句を言おうとしたときカリーナ嬢が、不思議そうに声をかけてきた


「あのう┄ルドルフ樣、どうしたんですか?」


唐突な俺の行動は、カリーナ嬢からしては理解出来ないものだろう


だが俺からすれば、油断も隙もない状況は酷く心を掻き乱す気持ちが込み上げてくる


まだ余裕がないからかもしれないな


さて、俺は友人どもを見据えたまま、カリーナ嬢に応えることにした


「いえ、彼等と話がありまして」 

「そうなんですか?」

「はい、ですので┄少しお待ち下さい」


出来るだけ、いまは君を独占するため、カリーナ嬢に振り向いて優しげに告げる


カリーナ嬢はちょっと驚くが素直に返事をしてくれるのを確認し


すぐに友人達へと近づいて声をかける


出来るだけ落ち着いてな┄┄


「┄何を赤くなってやがった!」


ジロッと睨み付けて話せば、彼等は苦笑し


「お前はカリーナ嬢の前と俺達の前で偉く態度が違うよな」

「まったくだよな、少しは心の余裕を持てばいいのに」

「┄お、おい、シリアル┄それ、禁句だって」

「落ち着けよ、ルド」


シリアルの言葉に俺のこめかみがピクッと反応する


余裕だと! そんなもん、あるわけないだろうがーー‼


今回┄やっと彼女と話せて、少しは触れただけで、満足などあるわけない


もっと会話だってしたいし、色々な表情を見たいし、触れたときの彼女の反応を俺だけのものにしたいんだ


なのに、よく会話や対面できるお前らに、俺の気持ちがわかるわけがないだろうが‼


スッと目を細め、剣に触れようとしたとき


「ここで剣を抜こうとするなって、カリーナ嬢が見たら、理由もなく幻滅されるぞ‼」


と言われ、ハッと我に返る


いかん┄つい、こいつらに対する、恨ましさと妬ましさで我を忘れるところだった。


少しは冷静さを取り戻した俺は、ジャックに礼を言ってから、シリアルに小声で、あの事を呟けば、クワッと睨まれたが


さっき言ってきた仕返しなため、鼻で笑えば、サルファンとヴィンセントは苦笑していた


そんなときだった、唐突に空気を浄化するような空気が辺りに散らばり、近くに捕縛していたビスターラビットが抵抗する態度だったものが、静かになり


不思議なことに眠り始めた現象が起きた


そのことをシリアルが気づき、俺達はどういうことだと、力の流れを追えば


花を治癒魔法で癒しているカリーナ嬢がいた


彼女の周囲は、暖かくほんのりと、空気が自然がカリーナ嬢を助けるように包み込み、美しく綺麗で、俺達は自然と近くにいき見惚れる


そして優しく慈愛のある笑顔を花を愛でる瞳にうつり胸が高鳴ったとき、カリーナ嬢が俺達の視線に気づいたのか? 振り向いてきた。


「どうしたの?」


不思議そうに、首を傾げるカリーナ嬢の表情は、キョトンとしていて綺麗さと可愛さが増して見えてしまう


独占欲ってヤバイな、今すぐ君を抱き締め、自分の思いを告げたい


だが、君には好きな奴がいる、そいつを倒すためにも、告白よりも先に側にいる時間が欲しい


どうすれば君を捕まえることが出来るのだろう


はあ~っと彼女に気づかれないように溜め息を吐いて思考の中にいるときだった


急に彼女が俺の近くに来ていたらしく、服を軽く引っ張られ、視界を下に向ければ


「┄お話は終わったのですか?」


と不思議そうな表情で言われ、思考の中より現実に戻ることになった。


いつのまに側にいたんだ?


そう思うものの、俺の不純な気持ちを悟られ嫌われたくないと瞬時に思いなおし


「┄┄え? あ、ああ。今から捕縛した魔物を連れて行くことになった」


と仕事を言い訳にしてみたが、このまま彼女と別れるのは、やはり何処か違うだろうと彼女をみて言った


そのときだった、カリーナ嬢との視線と俺の視線が交わり暖かみが込み上げ、欲目が出てくる


せっかくカリーナ嬢と知り合え、会話をするチャンスが出来たんだ


ここで動かねば、いつ動く!


俺は己れを叱咤し、自身の勇気をだした


「┄なあ、カリーナ嬢、明日また会えないだろうか?」

「え、え? そんなの、うれ┄┄いや、会えるのですか?」

「会えますよ。あと貴女の魔物からのマーキングを消さないと行けないので、明日の昼休みに迎えにいきます」


会うための不純に仕事を挟むのは、まだ彼女とは親しくないからと、余り異性と一緒にいるのは令嬢に迷惑となると父上から言っていたからな


だからこそ、そう告げたらカリーナ嬢は、どこかガッカリとしていたものの、すぐに立ち直り、一人納得したあと


「あ、はい。では明日にお会いしましょう、では私、同行せずともよいのでしょうから、寮に帰りますね」


と告げて、別れを淡々と言われたとき


不意に友人達がカリーナ嬢に近づく素振りを見せたのを視界に入れた瞬間


このまま明日を待つのも嫌になる


出来ることなら明日にあの事を聞いてみたかったが、友人と俺との会う機会など、比べれば友人達のほうが明日も会う回数が高い


そんな状況を、今後もあると思うならば


せっかく時間を貰っているのに、別れるなど勿体ないと感じた


「いえ┄もう少し同行して下さい」

「え?┄何かあるんですか?」

「あります」


君を捕まえるためにも、友人には渡したくない、そんな思いをこめて君の時間をいま、俺だけのものにする


これが俺の独占欲だから


そして俺は彼女に僅かな時間を貰い、今後の未来で、友人とカリーナ嬢の危機を助ける出来事や、揺らぎゆく運命を俺は知り


大切な彼女を俺は捕まえ、本当に側にいることが出来るのだが、それは、いつかの未来で


短編の筈なのに、詰め込んでいたら長くなりました。ここまで読んで下さったかたや、ブックマークをつけてくれたかたに感謝を

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