ついに出会ってしまった二人①
さて、今日は水曜日。月曜日からの気だるさは回復しても、あと2日も学校に行かなければならないのかと面倒臭くなる曜日だ。結局、学生というものは面倒臭い。ついでにあの『F』という男も面倒臭い。
あれ以来、毎日ベッドに入るとあいつの鼻につく言葉を思い出してしまう。一方的に調べられているのも気に食わないからな。この学校にいる情報通でも探してみようか。いるかは知らないけどさ。
てな事を考えながら授業を受けていると早くも放課後が訪れたようで周りの生徒達も友達と帰宅だったり、部活だったりして教室内にいる生徒は早くも俺ぐらいだ。
部活にも入ってないので帰ろうと腰をあげると
「せーんぱいっ! 今日は久しぶりに私と帰りましょ!」
そう、あれ以来、俺は胡桃沢…ではなく麻希とは帰っていない。あえて帰らなかったわけでは全くなく、上手く予定が合わなかった。
「おう、いいぞ。久しぶりだな。どっか寄って帰るか?」
別にデートがしたいわけじゃない。久しぶりに帰るんだからどこか寄って行くのもありだと思っただけさ。
「いいんですか!? 嬉しいです! そうですねー、最近駅前に出来たカフェに行きませんか? どうやら普通のカフェじゃないみたいなんですよ」
「カフェね、いいんと思うぞ。普通じゃないってどんなのだろうな。楽しみだよ」
普通じゃないって響きがいい。メイドなんだろうか。それともフクロウやら猫やら動物系なんだろうか。
俺は様々な推測をしつつ、鞄を肩にかけると麻希と共に学校を後にした。
駅と学校はそれほど離れておらず、徒歩15分ほどで着くことができる。
横断歩道の信号が青に変わるのを待っていると、麻希が話しかけてきた。
「あの、せんぱい。この前はありがとうございました。私を学校に行くように説得してくれて…」
麻希は少し申し訳なさそうな感じで先日の礼を言ってきた。そんなに気に病む必要はないと俺は思う。
ただの学生では対応しきれない事は世の中にたくさんある。この前の事もその1つだ。誰が人の死にかけた姿を見て平然としていられる。赤の他人が死にかけていても俺はパニックになる。それが知り合いや大切な人となれば尚更だ。
そう脳内で考えるものの、俺は人を諭すようなキャラじゃない。こんなことを麻希に言っても仕方がないと思う。だから、俺はこういう事にした。
「まぁ大好きな先輩が目の前で刺されたらあぁもなるさ。刺されたのは痛かったが、お前が心配してくれたのは嬉しかったぞ」
これが俺がお前に言ってやれる精一杯のことだ。これ以上はこのことでブルーになるんじゃないぞ。
「大好きなせんぱいが刺されたら心配するに決まってるじゃないですか! 私はせんぱいがコケて怪我をしたとしても心配します! 看病します!」
「言ったな? ナースのコスプレ確定だからな?」
明るさを取り戻した麻希とそんな他愛もない会話をしていると目的のカフェに着いた。
外観はヨーロッパのログハウス風な感じで雰囲気が出ている。テラスもあり、凄くくつろげそうないい所だ。
早速中に入ると、可愛らしい猫耳をつけたメイドさんが出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ。旦那様、奥様」
オイオイ、ご主人様とお嬢様ならまだ分からないことはないが、旦那様と奥様は流石にないだろ。どう見たって高校生だ、制服だって着ている。
少し気になり麻希の方を見ていると耳まで真っ赤にし、手をブンブンさせて
「そんなぁ、まだ奥様じゃないですよ〜」
と、否定していた。なんだよまだって、将来なるつもり? というかそんなことここで宣言するな! その気がなくても体が火照ってくるだろ!
そんなこんなで席へと通された。
席に通されてから少しすると注文を取りにさっきとは違うメイドさんがやってきた。
俺が『専属メイドのにゃんにゃんオムライス』というメイドさんとのツーショット写真を撮る権利付きのメニューを頼もうとすると、そのメイドさんの手から注文用紙がするりと抜け落ちた。
「な、ななななんであなたがいるのよ! 橘くん!」
そこには猫耳をつけ、メイド服を身にまとった前川花香里の姿があった。
キャラクター紹介
前川花香里①
家族構成は父、母、妹、弟、自分の5人家族
小此木山高校の全生徒で5本の指に入るほどの美少女
可愛い系というよりも綺麗系
身長は恭介と同じぐらいで、体重はひみつ
綺麗な黒髪ロングで、スカートの下は黒タイツ
胸はDカップ、整った顔立ちで瞳の色は黒