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な、名前で呼んでくれないと嫌です……。

少し遅くなり申し訳ないです。

 ピンポーン


 俺は胡桃沢の家に着くとすぐにインターフォンを鳴らした。胡桃沢の家は前に一度来た事があるから知っている。


 五秒間ぐらいの空白の後に声が聞こえてきた。


「はーい、どなた?」


 胡桃沢の声ではなさそうだ。ということは母親か? 姉の可能性もあるが……母親という事で話を進めさせてもらおう。


「僕は胡桃沢さんと同じ学校に通っている橘恭助と申す者です」


 他の人の親と喋る事に慣れていないせいか堅くなってしまった……。


「あなたが恭助君!? 娘からはよく話を聞かせてもらっています〜。もしかして娘に会いに来たんですか?」


 胡桃沢の奴……母親に知られているなんて恥ずかしいじゃないか! これはもしや相手側の親公認なのでは……。


「あはは、もしかしなくても娘さんに会いに来ました。こうなったのは僕の責任ですので」


「そんなに責任を感じなくてもいいのよ? でも、そんなに心配してくれるならお願いしちゃおうかしら〜」


 なんだか全体的にぽわぽわしたお母さんだなぁ。ぽわぽわから産まれてくるとは思えないほど娘は騒々しいのだが……。俺はふとそんな事を考えた。



 それから少しして扉が開いた。

 今は二階にある胡桃沢の部屋に行く為に階段を登っているところだ。

 登ってくる時にお母さんを見たけどかなりの美人だった。性格は似てないけど顔は似てるようだ。


 二階に上がると、ドアに『まきのへや』という可愛らしいプレートが掛かっている部屋を見つけた。まぁここが胡桃沢の部屋だろうな……。


 胡桃沢を学校に戻す為にやってきたが、いざその時になるとかなり緊張する。

 しかし、胡桃沢がこうなってしまったのは俺に原因がある。俺が戻すべきなんだ。


 コンコン


 俺はノックをした。すると一一


 ガチャっ、とドアが開いた。


「どうしたの? お母さん、わざわざノックなんて…」


 母親と勘違いして出てきた胡桃沢は俺だと気付くと、顔が真っ青になった。そしてドアを閉めた。


「ちょっと待ってくれよ! 開けてくれぇ!」


 俺は頼んだが胡桃沢は開けてくれない。


 俺は仕方なくドアの前から話すことにした。


「なぁ、胡桃沢。お前学校行ってないんだってな」


「はい……」


 胡桃沢の声には以前の明るさが微塵も感じられなかった。それほど病んでしまったのか……。


「俺はこの通り元気になったぞ。次の月曜日からは学校にも登校する。だからさ、一緒に行こう胡桃沢」


「無理です……。私と一緒に居たら先輩は不幸になります……」


「何を言ってるんだ胡桃沢。俺はお前と居ると(むし)ろ幸運な気分になるけどな。今回は俺の不注意が起こした事件だ。お前が気に病むなんてことしないでいいんだ」


「先輩は優しいからそんな風に言ってくれるんですよ……」


 ダメだ。胡桃沢は精神的に病んでしまっている。話すだけではその心を癒すのは無理かもしれない……。

 だが、絶対に諦めたりはしない。


「俺は別に優しい人間なんかじゃない! そういうのはいいんだ……。俺はただお前とあの高校に通いたいだけなんだよ……」


 しかし部屋に入れないのでは他の行動は無理だ。だから、俺は本心を伝えた。胡桃沢と一緒に高校生活を送りたいと。


 すると少し静かになった。察するに悩んでいるのだろう。それでいいんだ胡桃沢。人間は生きていれば後悔もするし葛藤もする。とても人間らしい、素晴らしい事じゃないか。


 「でも……私……先輩を失ったら生きていけません……」


 あの事件の時にも思ったが、胡桃沢はそんなに俺の事を大切に思ってくれているだな……。

 付き合ってやるのは難しいが少しだけ関係を濃いものにしてもいいかもしれないな。


 「だが、胡桃沢がここに引きこもっている間に俺に彼女ができるかもしれないぞ?」


 我ながらずるい事を言っていると思う。


「そ、それはダメですっ! せ、先輩は私のものなんですから! 彼女なんて作ったら絶対許さないんですから……」


「じゃあさ、一緒に学校行こうぜ。麻希」


 これもずるい手だが、胡桃沢を引きこもりにさせたい為にはやむを得ない。


「せ、先輩はいざと言う時に名前で呼ぶなんてずるいです……。そ、そんなの行くしかないじゃないですか」


 胡桃沢はとうとう学校に行く事を承諾してくれた。本当によかったと俺は思う。


「いい子だな、胡桃沢は。じゃあ月曜日に学校でな。あ、アイス買ってきたからここに置いとくぞ」


「先輩に褒められるなんて嬉しいですっ! あの……あと、胡桃沢じゃなくて麻希って呼んでくれませんか……」


 先日のデートの誘いといい、最近の胡桃沢は大胆な行動を取るようになってきたな。色々気を付けないとなぁ。


「いいぞ。じゃあまたな、麻希」


「はい! また!」



 俺はその後、お母さんに挨拶をして家を出た。今回の件はこれにて一件落着。よかったよかった。



 俺はそのままパーティー会場である家へと帰ることにした。


 

あっ、そうだ。また今度デートの続きしてやらないとな。

キャラクター紹介


胡桃沢麻希(くるみざわまき)

女・15歳

家族構成は母、父、自分の3人


身体的特徴

茶髪のポニーテール

少しあどけなさを残した顔立ちをしている

それに比例するように胸はBカップである

身長は155cm 体重は非公開ですっ!

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