実は親友がストーカーだった件。
胡桃沢の家に手ぶらで行くのもなんだか気が引けるので俺は途中のコンビニでアイスを買って行くことにした。
そういえば、胡桃沢はアイスクリームではなくラクトアイスが好きだと言っていた。この単語にイマイチピンとこない人に説明すると、ハー○ンダ○ツよりスー○ーカッ○の方が好きという事だ。
俺はアイスコーナーからアイスを取り、そのままレジに向かった。俺の前には2人の客が並んでいた。
俺の番になったのでアイスをレジに置くと、なぜか店員が話しかけてきた。
「あれ? 恭助?」
まさか……この声は……
「恭助だよね? 恭助?」
突然でビックリしてしまった。こいつ、こんな所でバイトしてたのかよ。
「あ、あぁ……聞こえてるぞ」
「やっぱり! こんな場所で恭助に会えるなんてボクはなんてツイてるんだ」
どこかの絶望の様な話し方をしているこいつは朝倉凪咲。男(正直疑わしい)だ。
この前のヤンキー騒動で刺された俺と胡桃沢を助けてくれた親友だ。
「どうしてこんな所で凪咲がバイトしてるんだよ。確か駅前のカフェでバイトしてたんじゃなかったのか?」
「あー、あそこのカフェ……。実はちょっとお客さんとあってね……」
「またかよ……」
実は凪咲は少し喧嘩っ早い(けんかっぱやい)性格だ。駅前のカフェでバイトする前も色々な場所でバイトをしていたが、全て喧嘩が原因で辞めている。
稼いだ金は自分で使うのかと思いきやなぜか俺にくれる。いや、貢いでいると言ってもいいかもしれない。
「喧嘩するのもいいけど、今回はクビにならないようにしろよ?」
俺が心配すると凪咲は
「ボクの事なんか心配してくれるなんて恭助は優しいんだね。やっぱりボクの事好きなの?」
と答えた。
凪咲は少しばかり自分の事を卑下している。凪咲が自分の事を卑下する様になったのは中学校からで、それはある事件が原因となっているのだが、この事についてはまた別の機会に話そう。
「ばーか。冗談言ってる暇があるならさっさと仕事しろ。見舞いのアイスが溶けちまうだろ」
「見舞い? あ、恭助と最近やけに仲良さげな後輩さんのかぁ」
ん? 俺と胡桃沢が仲良い事は凪咲は知らないはずなんだが……。
「どうして凪咲が胡桃沢の事を知ってるんだ?」
俺が質問すると凪咲は
「さぁね、何でだろうねぇ?」
とあからさまにとぼけた顔で答えた。
まぁいいさ、凪咲の情報収集能力は凄いから知っててもおかしくないか。
「あとさ、あの時はありがとな」
「ん? あのヤンキーのことかい? 許せないよね。恭介を傷つけるなんてさ」
「生きてるんだから許してやってくれ」
俺がそう言うと、凪咲は突然無言になり、さっさと仕事に戻った。
何か気に障っただろうか。
疑問に思いつつも俺はそのまま会計を済ませ、胡桃沢の家に向かった。
△▼△
恭助はやっぱり胡桃沢とかいうあの後輩の見舞いに行くつもりか。
ボクよりも仲がいい子がいるなんて許せない。許せない許せない許せない許せない!
「よしっ! 今日はこのままバイト終わって、恭助をストーキングしちゃおっと!」
絶対に恭助を他人に渡したりしない。恭助はボクだけの恭助なんだからさぁ。ひょこっと飛び出てきた女に渡すわけがない……。
「ねぇ朝倉さん。怖い顔してるわよ」
「へ? わぁごめんなさい店長! 今日は気分が悪いので帰ります。では!」
「そうなの? 分かったわ。ゆっくり休んで治してね」
「はーい!」
ボクの顔そんなに怖かったかなぁ。恥ずかしいよぉ……。
今回からキャラクター紹介をしていきたいと思います。
橘恭助①
男・年齢16
家族構成は父、母、妹の4人
身体的特徴
顔は上の下ぐらい
少し緑がかった黒髪で瞳の色は黒
身長は176cm 体重は58kg
今回はここまでです!