情報通の正体はお前だっ!
先輩が護衛に連れていかれた次の日、俺はあの後なんとか自力で本の調達に成功し、先輩に献上しようと先輩の教室へと向かったのだが一一一いない。
あれ……? 今日先輩休みなのかな。
「ちょっとすみません。前川花香里さんがどこにいるか知りませんか?」
近くにいた上級生にそう聞くと
「前川さん、今日はお休みだよ。風邪を引いたとかなにかで」
「風邪ですか……。ありがとうございます」
俺はお礼を言うと教室を出ることにした。
一一一いやぁ、それにしても昨日の今日で風邪を引くなんておっちょこちょいな先輩だな。昨日は寒かったわけでもないし、体調が悪かったんだろうか?
まぁいいや、明日になれば元気に学校に来るだろう。
一一一俺はそう楽観視していたのだが、先輩はとうとう今週学校に来ることはなかった。
うーん……。いくらなんでも長すぎる気がする。
もしかしたらあの月曜日に俺と2人で出掛けようとしたことに何か関係があるのか……? お父さんは異性との関係に厳しい人だって言っていたしなんだか心配になってきた。
あまり気は進まないがこの学校にいるという情報通とやらに情報を聞いてみるか。
情報通が誰なのかを確信しているわけではないが、先日のメイド喫茶で先輩が言っていた『橘恭助シスコン説』を流していたようだし、ほぼほぼアイツに違いない。
俺はその人物に電話を掛けることにした。
一一一ぷるるるるる ぷるるるるる
ガチャッ
「もしもし恭助ぇ? 電話してくるなんて珍しいね。どうしたの?」
「凪咲、情報通ってお前だろ?」
いきなりの追求に驚いたのか凪咲は少し動揺しながら
「え、えぇ……な、何だよ急に」
「しらばっくれたって意味ないぞ。この学校で俺に妹がいるなんて知っているヤツはお前か先生しかいない」
「ちぇっ、バレたならしょうがない。お金が欲しくてね、これが結構いいお金になるんだよ」
お金稼ぎのためにやってたのかよ……。
自分で使いもしないのになんでそこまでして……。
ちなみに、凪咲が俺に渡してくるお金はそのまま凪咲の親に渡している。やっぱ貰えねぇよ。俺はヒモになるつもりはないからな。
「ならそんな情報通さんに一つ頼みがあるんだが」
「なになに? 恭助の頼みならタダでやっちゃうよ!」
凪咲の声がより一層弾んだ。力になれるのが嬉しいのだろう。
「実は3年生の前川花香里先輩についてなんだが……」
俺が続けようとすると、凪咲は俺の言葉を遮り
「はぁ? なんで恭助がそんなお嬢さんの話なんかするのさ! 後輩さんと二股かけるつもり? まぁ……二股じゃなくて、誰かと付き合うのも許さないけどね」
最後の方にボソッと言った言葉は聞き取れなかったが、何やらご立腹のようだ。
「そんなに怒らないでくれよ。今はどうしてもお前の力が必要なんだ!」
凪咲の力が必要だということを伝えると、凪咲は少し照れたような口調で
「そ、そう? ま、まぁ恭助がそこまで言うなら……」
「ありがとう。実は先輩が長い間学校に来てないんだが、何か知らないか?」
「うーん。来てないって言っても四日でしょ? 風邪なら休んでてもおかしくないと思うよ。来週になったら来るでしょ」
凪咲もこう言っていることだし俺の思い過ごしだったのか……? それならいいんだけど。
「そうか……ありがとう。また何か分かったら連絡してくれ」
「分かったよ。後、お金は要らないけどお代としてまた今度ボクと遊んでね」
「おう、遊ぼうぜ」
そういうと俺は電話を切った。
次の月曜日に先輩が元気に学校に来ることを望んで。
バリバリ投稿頑張ります




