青翠国記―ブルグ・リースツ・ヒストリー―
こんにちわ、リルンです。
第9作目は短編の戦闘物です。
今回は国と国の間での戦闘です。これは学校の原稿として書いて提出した物を再利用しています。
―環境保全か技術か…貴方はどちらを選びますか―
そんな感じです。
そして主人公と周りのキャラ達の微笑ましいやり取りをお楽しみ下さいませ。
それではどうぞ。
水――それは貴方達にとっては生きていく上で、欠かせない物だろう。だが、私達の国ではそれ以上に大切な資源である。
ここは青翠国。緑が豊かで水もある大国だ。ここの水によって、大自然は作られている。前まで此処の水は、飲み水としても活用されていた。前までは。
今の水は汚染されまくり、とても飲み水としては活用出来ない。そのことにより、この大国は危機にさらされている。大自然もいつ、絶滅してもおかしくない状態だった。政府は至急、特別保護隊を発動させた。その中にはこの私、ミヨル=アーラも所属していた。
「水の調査……ねー……最近この仕事ばっかじゃない! 水については、水保隊に頼んだらどうかしら!!」
この国には、緊急時に国の安全を確保する特別保護隊や、水質や成分を維持しようとする水保隊など、様々な役職に分けられているが、特別保護隊は滅多なことが起きない限り、活動しない。つまり補欠みたいなものだ。なのにたった水の調査をしろというだけの依頼を特別保護隊にさせることが、私にとっては納得いかなかった。
「……そんなに怒るなよ、ミヨル。仕事があるだけでもマシだろ? な?」
と、私に言う男、ルク=トールもその一人。何故か私だけ女だからって、男子とペアを組まされ、こういう状態に。正直、足手まといでならない。彼は五ヶ月前に入隊してきた言わば、新人なのだ。何故、男でもベテランじゃなくて、新人なんだと突っ込みたくなった。
「……まぁそうだけどね。ところでルク、水の調査、やってみる?」
これまで私は、ルクに様々なことを教えてきた。特に水の調査については、私特有のコツまで教えてあげた。だから今度はルクにやってもらおうと思ったのだ。
「ええ!? 俺がするの!?」
「そうよ。ただ教えてるだけじゃ駄目だもの。ちゃんと出来るようにならないと。そのためには練習が必要なの」
「うぅ……分、分かったよ……」
ルクが私に対してため口なのは、私がため口にするよう言ったからだ。今では慣れてきたようで、凄く馴れ馴れしく言う。
「よし! じゃあ始め!!」
私が合図すると同時に彼は、素早い動きで作業を進める。流石この隊に入って来た唯一の子。作業は凄いスピードで進んでいく。そして――――……
「調査結果、この水の汚染レベルは4。やや汚染しつつあるようです」
と、彼は上等な答えを出した。
「うん、なかなかね。合格よ、ルク」
「ありがとうございます!!」
ルクは嬉しそうに笑った。その笑顔に私は少しだけ顔が緩んだ。が、すぐに本題に戻し
「……ここまで汚染されているのか……。水質汚染問題は未だ深刻みたいね……」
「確か、最初の汚染が確認された所って、ここからかなり離れた大都市だったよな?」
「そう。その都市からどんどん汚染が広がっていって、それがついにこの水にも出始めている……。これはまずいわ」
私達は引き続き、水の調査を行った。だが、何処も前回の時と比べて、汚染レベルが上がっていた。あまりの速さに、特別保護隊の処置も間に合わない。この状況に私は途方に暮れていた。
「深刻な上に、速いなんて……不運にも程があるわ!」
「そりゃあ、こんなんじゃ政府も緊急事態宣告するな……」
「このままだとここのシンボル、大自然が崩れてしまうわ……。いいえ、崩れるだけじゃない。きっと、絶滅してしまうわ」
ここの水が駄目になる……ということは、綺麗な水が届かなくなる。それは、緑にとっては生命に関わる問題で、小さな緑はもう枯れ始めていた。このままだと、大自然が枯れるのも時間の問題である。
「……とりあえず、政府に戻るわよ」
「了解!」
私達は報告するために、一旦、政府に戻ることにした。
「そうか……そこまで選んでいるとは……二人共、ご苦労だった」
そう、政府は言った。特別保護隊や水保隊にも、報告した。
「やはり、水質汚染の猛スピードには敵わないな……」
隊長はそう呟いた。
「我々、水保隊も懸命に調査しておりますが、まだ分かっていません……」
特別保護隊も、水保隊も私達と同じ考えのようだ。
「……こうなったら説得するしか……方法がないわ」
「……! ミヨル、お前まさか……!!」
「そう、隣国の焔勢国に説得するの」
この青翠国の隣に、焔勢国という国があった。情報によると、焔勢国は技術を誇りに思い、その誇りである、火力法を大いに用いられている。私達とは反対の力だった。私達が用いるのは、水力法。つまり、水と火という、逆の力である。しかし、火力法は火を使うことで、ガスが発生してしまう方法なのだ。言えば、此処の水の汚染の主因はこのためなのである。
「でもさ、ミヨル。確か、焔勢国は技術に関しては、相当なプライドを持つという情報だぞ?」
「そうよ。でも、此処でずっと立ち止まっていたら、深刻化するばかり。それならいっそのこと、行動するべきよ」
「そうだな……ミヨルの言う通りだ。焔勢国を説得しよう。戦闘になる可能性がある。その準備をし、明日の朝7時に出発だ。いいな?」
「「はい!!」」
こうして、私達は隣国、焔勢国に向かうことにした。しかしそこでは戦闘に近い対立が待っていることだろう。何人か死者が出る可能性もあるだろう。それでも私達は国を守るために、戦うのだ。
一方、隣国焔勢国では。
「なぜ、隣国である青翠国の訪問を許可なさるのです!?」
政府内では混乱が起きていた。
「青翠国との戦闘は避けられませんぞ?」
「だからこそだ。もうこの問題を今日で終わらすのだよ。たとえ、どんな結果になってもな」
隣国の王はそう言った。
「いえ、王よ。我らは青翠国に誇り高き我が技術、火力法を見下したのです。戦闘になってしまえばいいのですよ。青翠国をボロボロにしてしまいましょう」
王の家臣の一人が提案した。
「いや、それでは駄目なのだ。青翠国もきっと、話し合いの場を求めている。少しはそれに対応するのが、国王というものだ。だがそれで解決はしないだろう。だからそのために、戦闘準備をしておくのだ。あくまで戦闘は、最終手段だからな」
「了解! 貴方様がおっしゃることなら、何でもするつもりです!」
その言葉に国王はふっと笑った。
私達は焔勢国に向かっていた。
「焔勢国なであと少し! 皆、大丈夫?」
私は振り向く。が……いたのはルクだけだった。
「!? ルク、皆はどうしたの!?」
「……それが……」
ルクの顔は真っ青だった。
「まさか……!? そんな……!!」
ルク以外の皆は、何者かによって、連れて行かれてしまったのだ。
「……ミヨル。今はとにかく進もう。確かに、皆のことも気になるけど、国の安全を保てるのは俺達、特別保護隊しかいないんだ。ミヨル!!」
「!! ルク……そうだ、このまま私達が動かなかったら、青翠国が……危ない。……行こう! ルク」
「ああ」
たとえ、仲間がいなくなったとしても、優先するのは仲間の生還ではなく、国の安全。隊長にもそう言われ続けた。だから、私は今、それを実行するよ。でも必ず、この作戦を成功させ、そして皆を助けるから。絶対に! 約束するよ。私の弟子であり、私のパートナーでもある、ルクと共に。
私達は再び歩く。たった二人の訪問客。きっと本気には相手しないだろう。それでも私は、説得が成功するまで、一歩も引かないつもりだ。
「ミヨル……俺は最後までずっと、ミヨルの傍にいる。……ずっとミヨルに従うよ」
ルクはそう言ってくれた。たった二人ということに怯えることなく、ただそっと従ってくれている。それだけで私は救われている気持ちになっていた。
「……行くよ、ルク」
その気持ちに浸っている場合じゃないと、私は首を振る。ルクは無言で頷く。彼の横顔には笑顔があった。
火のように赤い土地が見えてきた。そろそろ着くようだ。そう、此処が焔勢国。
「ようこそ、青翠国の使いよ。我がこの焔勢国の王、フレイム=エイガンだ。今日はよくぞ参った」
「承諾ありがとうございます。私は、青翠国の特別保護隊の一人、ミヨル=アーラでございます。これは私の弟子のルク=トールです」
「ミヨル師匠の紹介より、私は特別保護隊ミヨル師匠の弟子、ルク=トールでございます」
「ミヨル様に、ルク様。 どうぞこちらに」
フレイム王の家臣に案内され、向かった場所は、会議室。
「早速、本題に移りますが、御国では火力法という技術を御使いになっていらっしゃいますね? そのことについてですが、技術を誇りに思われるのは分かりますが、何回も何回も御使いになるのを控えて頂きたいのです。御国の誇りの技術だと分かってはおりますが……このままだと、我が青翠国が危ないのです。どうか……御検討を!!」
私は駄目元で事情を説明し、説得する。
「私からも、お願いします!!」
ルクも頭を下げてくれる。フレイム王はしばらく考え込まれ、やがておっしゃった。
「……お前達の思いは分かった。では、逆に聞こうか。ミヨル」
「はい、何でしょう?」
「これは反論として聞くのではなく、お前の意見を聞きたいのだが、我が焔勢国の技術に対しての誇りの高さは分かっているだろう?」
「……はい」
「では聞こう。お前らの国、青翠国の誇りとは何だ?」
「え……?」
「そして、その誇りについて、もし他国に批評されたらどんな気持ちだ?」
フレイム王の目が怖い。そして、その問をされたことで、焔勢国自身の考えが分かった。きっと、焔勢国は引く気はないのだと。
「青翠国の誇りは環境です。環境こそが、私達の国青翠国の誇りです。でも、その誇りは水質汚染によって、消えようとしているのです。そう、国の誇りを守ろうとするのは、他国も同じ。御国の誇りは必ず絶やしません。なので、どうか……青翠国の誇りも絶やさないで下さい! お願いします……!!」
焔勢国が引かない気なら、こちらも引かない気だ。たとえ戦闘になろうとも、これは絶対に譲れない。
「……ふむ……なるほどな。他国の誇りより自国の誇りを取るのだな」
「な……! そんなつもりじゃ……!」
「我も昔はその考えだったよ。だが、残念ながら我以外はお前達の考えに反対らしいのだ」
「……!!」
「……国民の声を聞く……これが国王の務めだ。ミヨル、ルク。申し訳ないがどうやら、この問題は話し合いじゃ解決出来ないようだ……」
やはり話し合いだと、お互いの主張が噛み合い、解決どころか言い争いになってしまう。途方に暮れていると、
「ちょっと待って下さい!!」
近くから声が聞こえた。そう、声を上げたのは、隣にいるルクだった。
「ルク、ちょっ――」
「ミヨル、俺に考えがあるんだ」
そう、耳元で小さくルクは囁く。
「! 分かった。ルク、続けて」
「ありがとう」
ルクは真っすぐにフレイム王を見つめる。
「何だ、ルクよ」
「はい! 王よ、先程、国民の声を聞くのが王の務めだとおっしゃいましたよね?」
「ああ、その通りだが……それが何だ?」
「恐れながら、他国の助けを求める声に耳を傾けることも、国王の務めだと思うのです。どうか御考え直しを!」
ルクは再び頭を下げた。
「……フレイム国王が無理だとおつしゃっているのが分からないのか! この無礼者!!」
フレイム王の家臣がルクに攻撃をした。
「ぐはぁ!?」
ルクの腹に刃物が突き刺さる。
「ルク!?」
慌てて駆け寄る。
「…………」
その様子を無言で見下ろす国王。腹を刺され、苦しそうにもがく私の弟子。
「あ…危ない……!! ミヨル、後ろ……!!」
「国王の宣告を無視したからだ。お前もだ、無礼者!!」
「くっ……!!」
私はしたくなかったが、その家臣に攻撃した。
「はぁ!!」
「! がはっ!!」
家臣はその場に倒れた。
「ふぅ……。ルク……!!」
「ミヨル……俺のことはいい。やはり最終手段じゃないと……無理らしい。俺はまだ……動ける!!」
「ルク……。分かった……! あまり無理しないで。……行くよ!!」
ルクの止血を終え、立ち向かった。
「ああ……!!」
話し合いで解決しなかった上に、ルクが負傷した。そのことで、私の心に何かの感情が生まれた。私達は戦闘することを決めた。
「……どうやら、そうらしいですね。話し合いで決まらないのであれば……力ずくで説得するまで……!!」
私達は戦闘体勢に入った。
「……なるほど。たまにはその決め方も悪くない。受けて立とうではないか!」
フレイム王も戦闘体勢に入った。こうして始まった戦闘。だが人数差が予想外だった。私達側が、二人に対してフレイム王側は何十人もいた。
「……ここは、広範囲に行く方がいいな。ルク、行くよ!!」
「ああ!!」
「ブルギウム!」
私の手から洪水を発生させた。 洪水は凄い勢いで、敵側へ。
「う……うわぁ!!」
見事、巻き込んだ。
「ウォーター・ハイ!!」
ルクも得意の小技でサポートしてくれた。おかげで大分人数を減らすことが出来た。
「ぐ……。なかなか……流石、特別保護隊だ。だが、これはどうかな?」
国王は杖を私達に向け、
「レドマグム!」
杖から、水も蒸発させてしまう程の高温の炎が発生し、その炎で私達は包まれた。
「! 熱い!!」
包まれるだけで、全身に突き刺さる激痛が私達を襲う。このままだと全身火傷で、死に至ってしまう。服も燃え始めた。
「ああああ!!」
「この炎はお前らが出す水じゃ消せない。これでお前らも終わりだ。早く降伏しなければ、お前達は死ぬぞ? フハハハハ!!」
「……これまでか……」
私が諦めかけたその時、
「うぐ……! まだ諦めるのは早いよ! ブルフリーズ!」
ルクは熱さに苦しむ中、唯一出来るようになった大技を出した。それによって、炎が一瞬にして消えた。
「……やった……!」
「よくやった! ルク!」
「大したことないよ。さ、行こう!!」
ルクは駆けだす。私はその後ろ姿がとても眩しく見えた。
「うん!!」
ルクの後ろを追いかけた。残りは国王だけだ……!
私達は駆けだした。国王を庇うように家臣達が攻撃してきたが、全て避け、そして倒した。
「……残りは国王。ただ一人ですよ? そろそろ降伏したほうが身のためですよ」
「ふ……あそこまで多かった家臣も居なくなり、残りは我一人か……。なかなか強いな、お前ら。よくぞ戦った。褒めてやろう。だが、すまないが降伏はせぬ。お前らも、今度こそ終わりだ」
国王は再び杖を向けた。
「……降伏するつもり無いのですね……? 分かりました。ならばこちらも全力で行かせていただきます。私達が終わる? それはどうでしょう? 終わるのはフレイム国王、貴方様ではないでしょうか?」
そう忠告すると、私とルクも国王に手を向けた。
「フレイム・エイガン!」
「ブルグ・リースト!」
猛烈な火と水の戦いになった。この火はそう簡単に消えなかった。
「うぅーー!!」
私はぐっと力を入れた。すると、水の勢いは強くなるが、やはり消えない。
「……ブルグ・リースト!」
「!?」
私の隣にいたルクが手を出し、水を出した。
「ルク……この技……無理だったんじゃ……」
「俺もそう思ってた。けど、やろうと思えばきっとやれると思ったんだ」
「ルク……援護頼む! 行くよ!!」
「ああ!」
「「ブルグ・リースト!!」」
私とルク、二人の手から出た水は、混ざり合い、そして一つになった。
「なぬ……! 火が消えて……!?」
二人合わせての水と国王の火。それはやはり威力の差があった。少しずつだが、火が消えていく。
「フレイム王。The ENDです」
「う……うわあああああ!!」
火が全て消え、水は国王に覆いかぶさった。
戦闘は青翠国の勝利で終わった。
「見事だ、ミヨル、ルクよ。約束通り、火力法の使用を制限しよう」
「ありがとうございます!」
こうして、私達は焔勢国への説得に成功した。
「あぁーー……。疲れた……」
「そうだな……ミヨル、お疲れ」
「ルクもね。怪我大丈夫?」
「ああ、おかげで血は止まってるし……大丈夫だ」
ルクは敵に腹を刺され、傷を負っていた。そのため歩くのも少し辛そうだが、命に別状はないらしい。
「そっか……。なら良かった……」
「ミヨルも大丈夫か?」
「ん? 私は大丈夫。体のあちこちが痛むけど……大したことないよ。ルクの怪我よりはよっぽどマシよ」
「あまり無理しないようにな」
「分かってる。でも私達にはまだもう一つ仕事が残ってる」
「ああ。残りの仲間を助けないとな」
「行こう、ルク」
私達は仲間を助けに出た。
「……へ?」
「ミヨル、ルク、よくやったな!」
「え……隊長に……皆!?」
「すまんな。俺はお前達を試していたのだ。お前達がどれだけ国のために尽くすかを」
隊長達がいなくなったのは、何者かに連れ去られたのではなく、私達を見るためだったのだ。私はほっとしたと同時に体から力が抜けていく感じになった。
「なーんだ、そういうことだったの……」
「……心配して損したみたいだな……」
私とルクは呆れ、溜め息を吐く。
「だが、お前達の志は素晴らしかった。その志のおかげで、お前たちはこの作戦を成功させることが出来、そして焔勢国への説得に成功したのだ」
隊長は笑った。笑いながら、私達の頭を撫でた。ルクは少し照れくさそうに笑っている。正直、私も恥ずかしかった。でも、それと同じくらい達成感で心の中が満ち溢れていた。
「……隊長……。御蔭様で、作戦成功しました!!」
そう言うと、撫でられているルクがこちらを向いた。すると、ルクは笑いながら手を出してきた。
「!」
その反応に少し驚かされたが、その誘いに私は乗った。ぐっと握りしめ、作った拳同士でそっと叩いた。ルクは嬉しそうに
「ありがと」
そう小声で呟いた。私はそんなルクを微笑ましく思った。
国に戻ると、皆から祝福された。作戦を成功させた私達特別保護隊は、青翠国の誇りだと国民は言う。ううん、青翠国の誇りは私達特別保護隊じゃない。誇りは……〝この環境と団結力〟だ。国全体を囲む大自然は勿論、青翠国のシンボルであり、誇りでもあるが、こうして迎えてくれた国民達の思い・そして、それらの思考の一致。それもまた、青翠国の誇りだと思うのだ。
「今回は本当によくやった! 特別保護隊よ」
「そんな……作戦を実行したまでです」
まさにその通りだ。私達はただ、作戦をきっちりと実行させただけである。
「特に、ミヨル、ルク。お前達は本当によくやってくれた。御蔭でこの国の危機は免れた。ゆっくり休んでくれ」
「ありがとうございます!」
私はそう言い、頭を下げた。隣にいたルクも慌てて頭を下げた。皆の元に戻ると、特別保護隊の皆にもてあそばれた。私はどうすればいいか分からず、皆に突っ込みを入れまくった。その様子に皆は笑った。ルクも笑っていた。あぁ、これがいつもの青翠国だ。そう思いながら、私は突っ込みながらも笑った。
こうして、青翠国に綺麗な水が戻り、平和になった。枯れてしまっていた小さな自然も新しく生え、成長していった。
「あれからもう1年か……。時が経つのは早いなー…」
ほんの少し大人になったルクが空を見上げながらそっと呟いた。
「何、当然なこと言っているのよ……」
私はそんなルクに思わず突っ込みを入れる。
「……なあ、ミヨル」
ルクの声に多少驚く。
「この国の平和は続くのかな……? また危機に巻き込まれないかな……?」
私はそっと溜め息を吐いた。 あまりにも純粋で、あまりにも馬鹿だったから。
「そんなの、また私達が止めればいいじゃない。この国が危機になるようなことがあれば、また私達が止めに行けばいい話。ただそれだけよ」
そう言って、私はルクの頭をコツンと叩いた。
「! 何するんだよ!」
ルクは余程痛かったのか、涙目で私を睨む。その姿に私は微笑み、こう言ってやった。
「だって、あまりにも……馬鹿だったから」
―終―
ここまで読んで下さりありがとうどざいました!!
いかがだったでしょうか。楽しんで頂けたら幸いです。
あまり迫力は出せてないかもしれません…すみません…
迫力ってどうやったら出るんでしょうかね……?
面白い感じにはなったとあたしは思います。
最後になりますが、この小説に関わった全ての方に感謝しつつ、後書きとさせて頂きます。
皆様、本当にありがとうどざいました!
また他の作品でも御会い出来たら嬉しいです。