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初めてのクエスト


 「ん、母さん起こしてって......ああ」


窓から入ってくる朝日で俺は目が覚めた。

もう自分の家ではないことに気が付いて、若干寂しさを感じながら俺は体を伸ばす

昨日は教会の受付の人に来たリッツの宿の料理は本当においしくて、サクラも俺も食べ過ぎてそのまま寝てしまった。

しかし、本当に当たりの宿だと思う。

教会の人には感謝だな。

寝息を立てながら眠りこけるサクラを横目に俺は窓の外を見た。

朝日が町の城壁の上から射してくるの来るのを見て、これから始まる冒険に少しだけ胸を躍らせた。


「ほら、サクラ起きろって」


『んー、スタンおはよー』


以外にもサクラはすっと起きた。

良い寝っぷりだったのから、もう少しかかると思ったんだけどな。

まあ、いいっか。


「サクラよく眠れた?」


『うん!いつもの地面とかじゃなくておふとんがとってもふわふわで気持ちよかった!』


たしかにこの布団はとても気持ちが良かった。いつもの家の布団では味わうことのできない気持ちよさが味わえたので、ぐっすりと眠ることができた。


『ねー、スタン。きょうはなにするの?』


「昨日の寝る前にも言ったじゃないか。今日は簡単なクエストを受けて今の実力を把握しようって」


サクラはははっと笑いながら思い出したようにそうだったねーと言ってきた。

MGOではいくつか初心者用のクエストがあって、それはこなして次のランクへと移行する方式がとられている。

この世界でもそうなのかはわからないが、昨日の説明を聞いた感じではほとんど同じだったのからたぶん大丈夫だろう。


「ほら、サクラ。朝ごはん食べに行くよ」


『はーい!』


一階の食堂へと向かうとそこには結構な人がすでに座っていた。

昨日は結構遅くに来たからわからなかったが、感じた通りここはやはり人気の宿のようで食堂は冒険者、商人風のいでたちの人から一般人のような人まで様々な人がにぎやかに朝のご飯を食べていた。

俺たちも飯を注文して、席に座りさっさと食べてギルドへと向かった。

ギルドに到着すると想像通りかなりの人が依頼の張り出している掲示板に集まっていた。

俺らもその間を抜けて、掲示板の前に立つ。

ゲーム時代は前に立ってボタンを押せば受注可能なものが一覧になって出てきたが、現実ではそうもいかない。

昨日の説明によると張り出してあるものには最低ランクのFの俺たちなんかと同じ初心者が受けられるものからある程度ランクが上がりベテランにならないと受けられないものまでごった返しに張り付けてある。その中から早い者勝ちで自分の受けることのできる依頼を受付にもって行って受理されたら晴れて依頼開始となる。

さて、どんな依頼があるのかな。なるべく戦闘が絡むもののほうがいいけど……

えーっと、スライムの核の採取は……ダメだろ。サクラがいるし、目の前で討伐するのもはばかられる。

下水道の掃除も実力とは関係ないしなぁ。ゲーム的にはおいしいこともあったけど今はその時じゃないし。

森の木の実の採取は無理だな。あそこの森は確か初心者殺しや毒攻撃もちのポイズンビーがいたはずだ。サクラじゃ状態異常は回復できないので危険。却下だな。

お!これなんかいいんじゃないか。平原の魔物の討伐。確か平原は定期的に冒険者が魔物を間引いてるからあんまり強い魔物が出現しないはずだった。

よし。これにしよう!


「サクラ。決まったから受付に行くぞー」


 肩から降りて周りの様子を見ていたサクラに声をかける。


『ねぇ。スタン』


「ん?どうした」


『ここにはつよそーな人がいっぱいいるねー』


「まあ、冒険者のギルドだしな。昨日は少し遅かったからあんまり人はいなかったけど今は一番活気があるな。スライムくらい一蹴できる人のほうが多いだろ。もしかしたら、間違えて倒されちゃうかもな」


俺は少し意地悪くサクラにそう言った。

実際嘘は言っていいない。最低ランクのFでさえ、スライムは数がいなければ勝ちやすい魔物ではある。もちろん、平原に湧くスライムに限った話にはなるが。


『なにそれこわい!たおされちゃう!』

 

 「ごめん。ごめん。冗談、大丈夫だよ。サクラは俺の従魔の証があるからね」


 くすくすと笑いながら冗談だと打ち明ける。


「えー!スタンひどいよ!」


そう言いながらサクラはぺちぺちと首筋に体当たりしてくる。

もちろん本気で体当たりしてくるってことはなく、あくまでも怒ってるってことを伝えるから怪我なんかはしないけど。

「さ、遊んでないで受付に行くぞ」


 『もー!はじめに遊びだしたのスタンじゃん!』


 ぷいっとそっぽを向いてしまった。からかいすぎたかな?

 ま、本気で怒ってるわけじゃないだろ。

 そして、依頼の紙を取ってその場を離れた。

 受付に行くとすでに列ができていた。

 とりあえず最後尾に並んだ。

 

 『けっこうならんでるねー。どこもこんな感じなの?』

 

 もう機嫌が直ったのか普通に話しかけて気た。よかった。本気で怒ってるなくて。


 「まあ、こんなもんだろう。王都だし。地方のギルドだとこんなには並ばないはずだよ」


 『ふーん。そうなんだ』


 おいおい。お前から聞いてきたのにそのそっけない答えは何だよ。

 もっとなんかあるだろ。

 

 「そういえばサクラって何歳なんだ?」


 『うーん。生まれてからほとんどすぐにスタンにあったから0歳かな!』


 「ほー。ってころは赤ちゃんてことか」


 『もー。そうかもしれないけど、赤ちゃんはひどいよ!』

 

 そんなふうにじゃれ合っていたら、いつの間にか俺らの番まできていた。


 「あら、スタン君じゃないですか」


 「あれ、ユリさんじゃないですか。冒険者登録の担当じゃなかったんですか?」


 「ああ、本来はそうなんですけど、朝の忙しい時間帯にはお手伝いとして入ってるんですよ。それで、今日はクエストですか?」


 「はい。これなんですけど」


さっき取ってきた依頼書をユリさんに渡す。

受け取った依頼書をユリさんはしげしげと見る。

昨日は居眠りをしていたが、仕事をしているときは目がきりっとしていてかっこいい。

よくよく見ていたらこの人結構綺麗じゃないか?

 いや、よく見なくても綺麗だよな。

 さすが、王都って感じのお姉さんだし。

 仕事もできる。

 居眠りしてた時は可愛さも出てたし。

 おっぱいおっきいし。.....おっぱいおっきい!

 

『むー』


ん?サクラがうなってる。どうしたんだろう。腹でも減ったのかな?


「......うん。この依頼なら大丈夫ですね。新人の人には多いんですけどね。危険な依頼を持ってくる人。例えば、はちみつの採取とか。スタン君はちゃんと考えられてますね」


「そ、そうですか?」


 にっこりと笑うユリさんに照れ笑いながら俺はそう言った。


 『むー。スタン!はやくいこ!』


 「いてっ!」


 少し怒気を含みながらサクラはまた首筋にぺちぺちと体当たりしてきた。

 今度はサクラには何もしてないのに結構強い威力だ。


 「いて、いって!わ、わかったよ。行くよ!。じゃあ、ユリさん俺らはこの辺で」


 「はい。頑張ってくださいね!」


 いい笑顔で頑張ってくださいと言われ俄然やる気が出てきた。


 『スタンは・や・く!』


 いつの間にか肩から降りたサクラは後ろから踵らへんを押して俺を動かそうとしていた。まあ、足を踏ん張って耐えたんだが。それでも結構力あるなこいつ。

 そんなに早く戦いたいのか?

 ま、やる気なのはいいことか。


 「待てって。まだ道具とか揃ってないから一旦宿に戻って装備整えるぞ」


 『とにかくはやく!』


 そして俺は、ユリさんにいってきますと言ってギルドを後にした。

 その間もサクラは俺を押していたがどうしたのだろうか?



 

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