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敗北と生存、そして謎

二体のアラクネロスの囲まれた俺たちはピクリとも動けないでいた。

一体でも手に負えない悪夢が二匹なんて状況で、簡単に打開策なんて浮かぶ訳も無かった。

 

「ギィィィィィィィイィィィィィ!!!!!」


小さなアラクネロスが出す鳴き声。

ああ、もう終わりか。

短い今生だったな。

諦めて目を瞑る。

……ん?予想していた衝撃が襲ってこない。

不思議に思い目を開けるとそこには二体のアラクネロスの姿はなかった。

なぜか二体のアラクネロスは、この場から去っていた。


「た、助かったのか……?」


その場に糸が切れたマリオネットのようにへたり込む。


『スタン!だいじょぶ!?』


少し離れた場所にいたサクラが心配そうに俺のほうに駆け寄ってきた。


「あ、ああ。HPも状態異常もなんともない」


驚いたことにアラクネロス達は罠にかかった獲物を無視して、何処かへと去っていったのだ。

おかしい。ゲームではアラクネロスはここら一帯のボス的な存在で、交戦したら最後どちらかが敗北するまで戦闘を止めることのないいわゆる逃げられない系のモンスターだったはずだ。戦闘をしてから逃げ出すことも出来なくはないけど、今のパーティのレベル的には不可能であると断言していい。それが、俺達が逃げるならまだしも無抵抗な餌とかした存在を何もしないでも送る?これは一体……?


『スタン!とにかくもどろ?ここにいたら戻ってくるかも』


「……そうだな」

ぼうとしていた俺は考え事を一時中断する。

そして、サクラを肩に乗せて、俺は罠から出て最短距離で街へと戻った。

途中、魔物が出てきたが無視した。

アラクネロスとの戦闘未遂後に戦う気が起きなかったからだ。

いや、正確に言うなら戦う事ができる状態じゃなかった。

持っていた片手剣はへし折れ、丸盾も吹っ飛んだ時ぶつけたのか持ち手がガタついている。

何よりサクラには大丈夫だと言ったが、実際には俺自身の体はボロボロで至る所から悲鳴をあげていた。

たった一撃...それも余波だけでこれか。出来れば二度と戦いたくないな...

そう考えているうちに街に着いたのでそのままギルドに向かった。

ドアを開けて中に入ったところでやっと恐怖が薄れて落ち着いてきた。


『スタンだいじょうぶ?』

「ああ、大丈夫だよ」


まだ、心配そうなサクラにそう言って1歩踏み出した瞬間体に異変が起きた。

街に帰ってきて安心したせいか踏み出した足がカクンッと力が抜けたのだ。

そのせいで足がもつれ側を歩いていた厳ついオッサンにぶつかって倒れ込んだ。


「ぬお!?坊主なにし...っておい!?どうした坊主!?しっかりしろ!」

『スタン!?』


オッサン驚いた声とサクラの悲鳴を聞きながら俺の意識は途切れた。







ん...ここは...?

目を開けると見た事が無い場所のベットの上だった。

周りを見渡すと俺の少ない装備が机の上に置かれていた。

それを見て今の自分の状態を見ると上半身裸で包帯を大量に巻かれていた。

ええっと...確かギルドでぶっ倒れたんだよな?じゃあ、ここはギルドかな?

意識を失う直前の記憶を思い出しつつそう考えていると目の前のドアが開いて、サクラを抱きしめたユリさんが姿を現した。


「良かった。目が覚めたんですねスタン君」

『うはぁ...やわらかーい...』

「は、はい。お蔭さまで...」


サクラの恍惚とした声に思わず顔を背ける。

だが、そんな事より話さなければいけない事があることを思い出してユリさんの方を向くと、真面目な顔をしたユリさんが椅子に座って俺を見ていた。


「スタン君私の質問に覚えている範囲でいいので答えてもられますか」

「わ、分かりました」


いつものユリさんとのギャップに驚きながらもしっかりと頷く。


「では、スタン君。貴方は初心者殺し-アラクネロスに襲われた。違いますか?」

「っ...そうです。奴の罠にハマって」

「やはりそうですか...」


それからのユリさんの話を纏めるとこうだ。

ギルドで倒れた俺をこの救護室に運んで、治療する為に装備を外した時に強い粘着性の糸を見つけた。

ユリさんはその糸がアラクネロスの糸に余りにも似ていた為検査にかけるとアラクネロスの糸で間違いないと結果が出た。

更に俺と同じように森に行った冒険者達が次々に帰還し、アラクネロスがいたと報告した。

その為俺もアラクネロスに襲われた可能性があると判断し起きるのを待っていたという事だった。

俺は追加情報としてアラクネロスが二匹いた事をユリさんに話すと驚いた顔で慌てだした。


「え、ええ!?アラクネロスが二匹もいたんですか!?」

「はい。でも、何故か襲われなかったんですよね。まぁ、おかけで今生きてるんですど」

「これは騎士団に協力を要請した方がいいかもしれないかも知れませんね...でも、初心者殺しは昨日討伐されたはずなのに何故...?」


俺の言葉が聞こえないくらいユリさんはううーんと頭を抱えて考え込んでいた。

そういえば俺の怪我は一体全体どういう状態なんだろうか?


「あのユリさん俺の怪我ってどんな感じなんですか?」

「へ?あ、ああ!そう言えば怪我の話はしてませんでしたね!安心してください。命に別状はありませんし、後遺症が出たりする程の怪我じゃなかったそうです」

「あ、そうなんだ。良かった...」

「ただ、二、三日は過度の運動は控えて下さい。冒険者業もダメですよ」

「分かりました」


ユリさんは俺の返事に笑顔で頷き仕事に戻っていった。

部屋に残った俺はサクラを額に乗せもう一眠りする事にした。

やれやれ、酷い目にあった...でもなんでアラクネロスが二匹も...やっぱりゲームと違う?でもユリさんも驚いてたし.....いや、考えるのは今度にしよう

俺はそう決め目をつぶるとすぐに深い眠りに落ちていった。

どーもこんにちは!急遽担当になった欠陥少年です!!

最近夏なのに土砂降りが降ったりと、夏と梅雨が逆転してるみたいだなぁと感じております。まぁ、暑い事には変わりないんですけどね!

さて、それでは次のスタン君の冒険を乞うご期待!


誤字・脱字の指摘、感想・批評等を随時募集しています。

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