夢の話
「夢……ですか?」
「ええ、そうです」
彼は珈琲を口に運ぶ。
「真夜中に……私は墓地に現れます、するとどこからともなく声が聞こえてくるのです」「声が?」
「ええ、私は声が聞こえる方……納骨堂へと足を進めるのです……そこは不思議と居心地が良いのです、私は足を進めていきます。そのうち私は地下にたどりつくのです……」
彼は……考古学者だ。
職業柄歴史的な書物の読書や調査が夢をもたらし、脳に負担をかけているだけだ……。
だがこの話している間の彼の表情はなんだ?
絶対の自信のような……いや、盲信?
「ふむ、それで?どうしたいんだい?」
「先生、地下に何が潜んでいたと思いますか!?」
「グッ!」
彼は、スミスさんは私の肩を力強く力任せに掴んでき顔を近づけて、彼の手はふるえている。
「そこにはね、死体の肉を咀嚼する怪物がいたんだよ!!ゾンビだよ先生!!1人2人じゃないんだ、おびただしい数の奴らは列を作って行進しているんだ……!!」
急に急変したぞ、一体なにが……!?
「どこに行って何をするつもりなのか……、私は恐ろしかったんだ。その先に村やなにか、生きている人がいたら知らせなくちゃならないからな、だから私はそれを、化け物たちの列を岩棚の影から見ているんだ……なぜ私は逃げなかったんだ?いや、そんなことは重要じゃないんだ、とにかく私は見ていた、すると突然足場が崩れてしまったんだ……そして私は怪物どもの列の真ん中に真っ逆さま!!」
そしてスミスさんは一旦言葉を切って、私から手を離し1つ呼吸して言う
「そしてそこで目が覚める」
……なんなんだ、一体なんなのだこいつは。夢の話にしては出来すぎている。
ここまで彼を、こいつは一体何を見ているんだ!?
「でもね先生、私を苦しめているのはこの夢だからではない、私がなぜこんなに苦しんでいるか、真の恐怖とはこの夢が……」
「真実であることですよ、先生。ククッ」