深夜の訪問者
「…せい」
あ〜……今日も誰も来ないな……。
頬杖をつきながら私は微睡んでいる。
と言うか普通ならもう閉めてもいい時間だ……だってだれも来ないし……もう寝てよっかなぁ……
「シュリー先生!!」
「ワァ!?」
看護師が大声をあげて私は呼ぶ、驚いて椅子から転げ落ちてしまった。
「イテテ……なんだい急に?耳元で大きな声で呼ばなくたって良いじゃないか……」
「一回で気づかない先生が悪いんですよ、患者さんが来てますよ、対応してください」
「へぇ?こんな診察時間終わるギリギリにかい?イタタ……腰打った」
「何いってるんですか!それがシュリー先生のお仕事でしょうに、ほら!ちゃんと椅子に座って応対の準備する!!今から呼んできますから、待たせてるんですからね」
「はいはい……」
やれやれ……今日の診察始まってから今の今まで誰も、人っ子1人来なかったと言うのに……そもそもなんでこんな時間にわざわざ……。
「先生、こちらがお見えになった方です。はい資料」
「うん、ありがとう」
「では私はこれで失礼しますね」
そういって看護師は下がっていった、さてとこっからが私の仕事だ。
彼は……アレン・スミスさんか、性別男性、職業考古学者、年齢50歳……50歳!?
とてもそうは見えない、25歳くらい若く見えるぞ。ガッシリし過ぎずそれでいて細すぎない肉付き、ストレートで手入れされてそうな金髪に、お肌は皺なんか無くてピチピチ、目元クッキリ!
これで50歳なら私なんかお爺ちゃんだな、お爺ちゃん。
「夜分遅くに恐れ入ります、アレン・スミスと申します。椅子に座ってもよろしいでしょうか?」
「あ、ああ!!どうもすみません、驚いてしまっていて、どうぞどうぞ」
「ハハハ、よく驚かれるんですよ、特に年齢で、ね。ではご遠慮なく……よいしょっと」
まず本題に入る前に世間話でも始めようかな、うん。
「それにしても今夜は冷えますね」
「そうですね、寒い日は特に星が綺麗に見えますねぇ」
「ですねぇ、雲がないからなんでしょうが寒さは余計と感じやすいですから、まぁ私の部屋は寒い日は常に暖房焚いてますけど。そして暖かい部屋の窓から満天の星空が見えるのがこの部屋の唯一の救いであり娯楽の1つですよ。あ、珈琲でも飲みますか?自分で買ってるんですよインスタント珈琲、だからタダでどうです?なんて」
「良いですね、頂きます」
「ブラックで?」
「はい」
私はインスタントの珈琲の粉を2つのカップに入れ、お湯を注ぐ。
部屋に安っぽいながらも珈琲の匂いがたちこめる。
そして珈琲を飲みながら私達二人はしばらく他愛のない会話をした。
明日の天気がどうとかファッションとか……当たり障りのない会話だ。まずちゃんと話してくれる土台は大切だしね、こんな夜中だ。
スミスさんにどれだけ時間を使っても怒られはしまい。
二人とも二杯目のを珈琲を飲み終わったので……そろそろ頃合いかな、本題に入るとするか。
「どうぞ、3杯目を」
「ああ、ありがたい……私は、飲みすぎているかな?」
「いいですよ気になさらないでください安いヤツですし私も飲みまくってますからね、そうだ!そろそろ本題に入りましょう。今夜は一体どうなされたんですか?スミスさん」
「ええ……実は最近困ったことに……奇妙な夢を見るんです」
彼は私に夢の話を語ってくれるようだ。