プロローグ
時として運命は不思議な、いや、悪意に満ちているかもしれないな。
ただ時として困るような……困るなんてもんじゃあないがとにかく……あまりにも数奇な巡り合わせをするものだ。
一年か、半年前か、私は精神科の事業に成功し社会や地域の人達の精神的な健康に貢献していた。
今となっては過去の称号だが……
「あら、シュリーさん。ご飯キレイに食べてくださったんですね。今、片付けますから」
看護師が私にニコリと微笑みながら言ってくる。
「今日のカレー、美味しかったです。また食べたいですね」
そして私は看護師にペコリと小さくお辞儀をする。
看護師はこちらをちら、と見て部屋から出ていった。
どうせまた私が精神的な異常者かどうか、判断しかねているか、異常者の気まぐれな行動だとでも思っているのだろう。
看護師が考えることかどうかは置いておいてね、私の被害妄想かもしれないし。
私は過去に医者としての立場で重病な精神的な病を持った患者を施設に入居……汚い言い方をすれば押し付けたりしていた。
私がやるよりよほど治りが早いときもあった、私は顔が怖いからね。
……でも皮肉なことに私自身が入院患者に成り果ててしまった。
でもね?実際に私は狂ってなどいない。
正常なんだ、周りは決して認めやしないがね。
この施設の患者になってしまったのは当時私が体験した真実を周りに話すことを選択したからだ。
それは誰もが目を反らし、認めたくないような……おぞましい出来事だったからだ。
……これ以上世間には知らせまいとしていたが貴方には少しだけ、話そうと思うんだ。
聞いて、くれるかい?