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幸せは星のようだ  作者: 天春 鈴桜
2/3

日常

よろしくお願いします。

引き続き頑張ります。

「ただいまー……って、誰もいないんだけどな」

家に帰っても誰もいない、人の声と言えばテレビか自分の独り言くらい、それが当たり前のようになっている。 その理由は両親の共働き、及び遊び癖によるものなんだよな…… ま、俺的には1人で気楽で嬉しいから、学費と生活費がなくならなければいいわけであって。 とかなんとか思いながら自分の部屋に戻り、ベットに寝転がっていつもの通りぼーっとしながら今日のことを思い出してみた。

「それにしても、あの夏月って子はすごかったな…… それに、猫…… できれば、あんまり見たくなかったんだけどな……」

春幸の目線の先には、春幸がまだ10代になりかけの頃の写真があった。 そこには、春幸、父、母、そして今はもういない妹の栞那の姿があった。

「栞那も……動物とか猫とか好きだったな…… それでよく一緒に猫を拾ってきてよく怒られてたっけ」

猫を見ると、嫌でも栞那のことをおもいだしてしまう。 あの頃は、家族の仲がよくて、いつも中心には栞那がいて、それなのに俺は……。

「……嫌なこと思い出しちまったな…… さっさと風呂入って忘れて寝るか、今日は」

そう言って、誰に宣言するわけでも誰かが聞いているわけでもないのに、ひとりつぶやきながらなにかから逃げるように早く眠った。


「だから、何度も言ってるだろ……」

次の日、学校に向かうと予想はしていたがやっぱり昨日のことを問い詰められていた。 めんどくさいどっか行けと言いたくなるが、中途半端な解釈で誤解されたままなのも嫌なので渋々答えている。

「いや、だって天体観測って夜にやるもんでしょ……それを2人でなんて、絶対何かあるわよ! それに昨日初めて会ったばっかりの子でしょ!? あんたどうかしてるわよ!」

「いや、自分でもそう思うんだけど、暇だったし悪意は感じなかったし……それに、なんかよくわかんないんだけど、妹……栞那のにおいがしたような気がしたから、それで、な」

「妹の……って、真面目に考えちゃったけど、妹のにおいに反応する兄貴ってちょっとどうなの……それに、あんたの妹ってたしか5年前に……」

「あぁ……だからほとんど気分みたいなもんだ。 だいたい、もう会わないかも知れないんだしさ」

「んー……それもそうね、いいわ、もしもう一度会って天体観測本当に行くようなことになったら私たちも行くわ、いいわね星野」

「うぃーす、天童さん」

「お前らな……まあ、2人はさすがにどうかと思ってたから良いけどよ……」

「よし! じゃあ決まりね! あー、夜に星を見るとかなんかワクワクするわね!」

「星は夜しか見えないだろ……」

「おっ、チャイムなったな、春幸、ノート」

「おう、よろしく頼むぜ星野。 約束のいちごミルクはちゃんと用意してあるからよ」

「当たり前だ。 それがなきゃこんなことやってない」

「はいはーい、授業始めるわよ! 静かにしなさい」

こうして、いつも通りのつまらない授業が始まった。 この先生の授業はなんでこんなつまんないんだろうか……なんてことを考えているうちに6時間過ぎていた。 まじかよ昼食ったか俺、いや、終わったなら食ったんだろうけど。 まじぼーっとしてるとここまで早いのか、やっぱぼーっとしてるやつが最強なのかもな。

「春幸! 星野! 帰るわよ!」

「なんでお前がリーダーみたいになってんだよ……ていうか、一緒に帰る前提かよ……友達作れ友達」

「い、いいのよそんなの! それに私はあんたらが可哀想に見えたからこうして誘ってあげてるだけ! 感謝しなさい」

「はいはい、わかりましたよ天童さん」

「ちーがーいーまーす! 天童さんじゃなくて、雪夜!」

「はいはい、わかりましたよ雪夜」

「よろしい!」

「早く帰んないと人が多くなって校門が混むぞ」

「おう、そうだな、早く行こう」

そう言いながら3人で、この騒がしい日常という名の鉄格子から早歩きで出ていった。

星はまだ、光に隠れて、誰にも気づかれないまま輝いている。

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