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幸せは星のようだ  作者: 天春 鈴桜
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不思議な少女

初めまして、このサイトに関わらず初めて投稿した初心者です。よろしくお願いします。

書いてみたいと思っていたのですが、なかなか書くことができずにいて、覚悟を決めてついに出して見した。これからもできる限りやっていうこうと思うので、よろしくお願いします。

人は時に、悩み苦しむ。

そして、ほとんどの場合人間関係についてのことだろう。

ということは人と関わんなきゃ悩みとか苦しみとかほとんどなくなんじゃね?じゃあ俺人類で最も幸せだな、なんていうようなくだらないことを考えているうちに、この日も授業も終わりを告げていた。

「はぁ……終わった終わった。 特になんも聞いてないけど疲れたわ。 さすが学校、魔の空間だな」

「ため息つきたいのはこっちだわアホ……なんでお前のノートもとってやんなきゃなんないんだよ……おかげでこっちは疲労度2倍だわ、あとでちゃんと借りは返せよな?」

「あーあー聞こえねぇ、星野のガサガサした乾燥肌みたいな声なんて聞こえませーん」

「乾燥肌ってお前な……声の喩えとしてどうなんだよそれ……てか聞こえてんじゃねぇか……」

「ちょっと……そこの非リア2人、男同士でイチャついてるのちょっとキモいわよ、やめた方がいいわよ?」

あぁ……また絡んできやがった。 幼なじみっぽい感じで話しかけてくるけど特に昔から知ってた訳じゃない天童雪夜。 顔を中の上、成績はそこそこ良いが運動はこれっぽっちもできず体育は常に赤点ギリギリをさまよっているレベルだ。 それでも赤点をとったことがないのは雪夜の世渡りの上手さなんだろうけど……ん?なんでそんな詳しいのかって? 知るかよそんなの、たまたまだよたまたま。

「ねぇ、ちょっと聞いてる? なんかぼーっとしてるけど、熱でもあるの? 保健室行く?」

「熱なんてないしぼーっとしてるのはいつもだろ、またまだ俺の事はわかってないみたいだな雪夜は。 あと、6時間目終わったんだから保健室とか行くくらいなら即帰るわ」

「なによもう、せっかく人が心配してやってるのに、たまには素直に人の厚意を受けてみたら、春幸君」

「おい、下の名前で呼ぶのはまだ許すけど君付けは本当にやめろ、引くぞ……」

「はいはい、ちょうど良い暇つぶしになってくれてありがとね、春幸、それと一応星野。 んじゃまた明日、バイバーイ」

「一応ってなんだよ一応って……」

「まあいつもあんなもんだろあれは、そういうもんだと割り切ればイラッとくるぐらいですむさ、多分」

「お前も大概適当だな……」

「んじゃ俺帰るわ、あとのことはよろしくな、星野」

「またホームルームさぼりかよ……理由は? 体調不良でいいのか?また」

「あぁ、そんなんで頼む、じゃあな星野、次お前の顔を見るのは遺影かな」

「縁起の悪いこと言ってないで早く帰れアホ、言い訳してやんないぞ」

「はいはい、じゃあなー」

「おう、また明日」


「まだホームルームの時間だから人がいなくてこの道も歩いてて気分がいいな」

いつもの登下校で歩く見慣れた道も、人が居るか居ないかで全く見え方が違う、やっぱ1人って最高、幸せのあるべき姿だな。

なんて歩いてると、見慣れない制服を着た女の子が猫を抱えて戯れていた。

「……」

「ん?なんですか?」

「え、あ、その、いや、な、なんでもないです……」

やべぇずっと見てた上にきょどるとかただの不審者だろ俺……何事もないうちにさっさと帰ろ……

「あのー……もしかして、猫、お好きなんですか?」

「え?あー、まぁ嫌いではないな」

何真面目に答えてんだ俺、あほか、アホだったな。

「そうなんですか……私も猫、好きなんです。 猫だけじゃなくて、動物全般が」

「へー、そりゃすごい、俺は人と虫と鳥以外なら基本的に大丈夫ってところだな」

「ふふっ、人が苦手なままじゃこの世界生きていけないですよ? 面白い人ですね、見たところ学生さんですけど、おいくつなんですか?」

「あー、俺は七星春幸、15歳だ。 君は?」

「私は、如月夏月、七星さんと同じ15歳です!」

「春幸でいいよ、同い年か、よろしくな」

「私も夏月で大丈夫です! こちらこそよろしくです」

不思議な子だなこの子。 普通初対面で名前聞いてくる人なんか居ないし、同い年ってわかっても敬語使ってるし。 まあ、変わり度合いで言うと俺も似たようなもんか。 どうせ暇だし、話すくらいならいいか。

「それで、春幸さんは何がお好きなんですか?」

「え、んー、そんなにないけど……強いて言うなら星、かな」

「星は私も大好きなんです! 気が合いますね!」

「お、おう、そうだな」

ガツガツ来るなこの子、出会い厨っぽくないし俺なんかにそんな輩が取り付く訳ないからそうではないようだけど。 変わってるのは確かだな。

「春幸さん! もしよかったら、今度私と天体観測しに行きませんか? 私、望遠鏡持ってますし、良く見れる場所も知ってるんです!」

いきなりデートのお誘いか……なんて冗談は置いといても女の子と2人で天体観測……しかも会ったばっかり……これはいかがなものか。 ただ、驚くほどこの子からは悪意が感じられないんだよな……素直な世間知らずな子なのかな。 良し、しっかり大人の怖さを思い知らせてあげなきゃな。

「よし……じゃあ今度二人で見に行こう……」

「あー! 春幸が女の子ナンパしてる! 最低!」

「落ち着けって天童……目立つだろ恥ずかしい」

「星野はこの状況見てなにも思わないの!?」

なんかめんどくさいヤツら来ちゃったよ……

「君たち、誤解だよ? 普通に話してただけだよ?」

「えー絶対嘘よ! 嘘! そう言っても私は騙されないわよ! この私のスーパーセンサーがあなたの悪事を見逃しません!」

「キャラ変わってんぞ……おい、星野。 こいつをどうにかしてくれ」

「はいはい、よし、天童、春幸、こっちに来なさい、帰るぞ」

「そうね、早くこの変態からあの女の子をきりはなさなきゃね!」

「だから誤解だってば……」

「あ、あのぉ……春幸さん、帰っちゃうんですか……?」

「ん?あー、まあ、そろそろ帰ろうかな。 また今度会えたら話そう、じゃあな」

「あ、はい! わかりました! 楽しみにしてます!」

「おう、また今度な夏月」

「やっぱり春幸ナンパしてたんじゃない……」

「してねーよ! てか、しててもお前には関係ないだろ」

「まあ、そうだけどさ……」

「ん?なんだ?」

「なんでもないわよ!」

「楽しそうな人たちだなぁ……私も、春幸さんともっとああやって楽しく話したいな……」

「惚れたのか? あの男に」

夏月が抱えていた猫が、夏月にしかわからない言葉で話しかけた。

「惚れる……その感情は、どんなものなのですか?」

「そのうちわかるさ、夏月、君にも……」

空は徐々に暗くなっていき、その黒猫の瞳が、天上の星たちのように輝いていた。 そして、星の輝きと共に、夏月の体はその黒猫とは反対の、純白の毛並みに覆われた猫へと姿を変えた。

「天体観測……楽しみだなぁ」

そんな少女のつぶやきが空へと吸い込まれ、輝く星の一つになった。



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